イスラエル軍の空爆を受けたのはガザ地区にある12階建ての建物で、アルジャジーラやAP通信などの海外メディアの事務所のほか、一部は住居として使われていました。
アルジャジーラは空爆のおよそ1時間前、建物のオーナーを通じてイスラエル当局から退避を命じられたため、事務所からカメラなどの機材を持ち出す猶予を求めましたが受け入れられず、記者やスタッフは直ちに避難したということです。
イスラエル軍による空爆の一部始終はNHKのガザ事務所が撮影していました。
映像からは、空爆による大きな爆発音が聞こえた後、建物は大きな煙に包まれました。
最初の攻撃から5分後、爆発音とともに赤い火柱が上がると、建物はゆっくりと崩れ、立ち上がる黒い煙の中に消えていきました。
アルジャジーラによりますと、空爆が始まる前にすべての人が建物から避難したということです。
イスラエル軍の広報官は「ハマスの諜報機関が入っている建物を空爆した。ハマスは民間の報道機関を隠れみのとして使用している」とツイッターに投稿し、建物への空爆を正当化しました。
一方、ガザ地区を実効支配するイスラム原理主義組織ハマスは声明を発表し「テルアビブの市民らは激しい報復を受けるだろう」とさらなる攻撃を示唆しました。
声明では「衝撃におののいている。かろうじて死者は出なかったが、信じられないほどひどいことが起きている。きょう行われた攻撃で、ガザ地区で何が起きているか、世界は知ることが難しくなってしまった」としてイスラエルを強く非難しています。 これに関連してアメリカのバイデン大統領は15日、イスラエルのネタニヤフ首相と電話会談した際にジャーナリストの安全に対する懸念を伝え、安全を確保するよう求めました。 中東カタールのテレビ局アルジャジーラもイスラエル軍の攻撃でビル内の事務所が破壊されたことを受けて「我々ジャーナリストの安全を明らかに脅かし、業務を妨害するような残虐な行為を非難する。イスラエル政府に対しあらゆる法的な措置をとり、完全に責任を負わせる」とする声明を発表しました。
テルアビブ近郊に住むコンサルタント業の土田英理也さん(47)は現地時間の15日午後1時半ごろ、家族とテルアビブ市内で買い物をしていたところ、街に攻撃を知らせる警報が鳴り響いたということです。 土田さんは近くにシェルターが見当たらなかったことから、家族とともに建物の壁に身を寄せました。 そこで撮影した映像からは、上空にイスラエルの迎撃ミサイルのものとみられる白い煙の軌道が複数確認され、爆発音が6回ほど聞こえました。 その後、土田さんの妻が家で留守番していた子どもたちに連絡して、自宅のシェルターに避難したことを確認したということです。 土田さんは「子どもが通う学校のそばにロケット弾が落ち、1人が亡くなったことをニュースで知り、子どもは近くに友人が住んでいることからショックを受けていた。きのうも子どもが公園でひとりでランニングしていたところに警報が鳴ったこともあり、日々の生活で心が休まらない」と攻撃が市民生活に影響を及ぼしている状況について語りました。 土田さんは「私たちはロケット弾の攻撃を受け、ガザ地区では一般市民が空爆に巻き込まれている。第三者としてどちらが正しいとは言えないが、暴力が止まらなければ憎しみが生まれるだけなので一日も早く攻撃が終わってほしい」と話していました。
AP通信がイスラエル非難「信じられないほどひどい」
イスラエル在住の日本人「一日も早く攻撃終わって」
