18・19歳さい 起訴きそで実名じつめい報道ほうどうも可能かのうに 少年しょうねん法ほう改正かいせい ポイントは？

子こどもと大人おとなの間まのような立場たちばに位置いちづけられたことで、20歳さい以上いじょうや17歳さい以下いかとは異ことなる新あらたな処分しょぶんや手続てつづきが設もうけられ、これまでよりも扱あつかいが厳きびしくなります。

改正かいせい少年しょうねん法ほうでは、新あらたに成人せいじんとなる18歳さいと19歳さいを、引き続ひきつづき保護ほごの対象たいしょうとする一方いっぽう、17歳さい以下いかとは異ことなる立場たちばとして、「特定とくてい少年しょうねん」と位置いちづけ、特例とくれい規定きていが設もうけられました。

この中なかでは、事件じけんを起おこした場合ばあいは、すべて家庭かてい裁判所さいばんしょに送致そうちする仕組しくみを維持いじしたまま、家庭かてい裁判所さいばんしょから検察官けんさつかんに原則げんそく「逆ぎゃく送致そうち」する事件じけんの対象たいしょうを拡大かくだいしています。

家庭かてい裁判所さいばんしょから検察官けんさつかんに原則げんそく、逆ぎゃく送致そうちする事件じけんの対象たいしょうが拡大かくだいされることで、これまでのように、少年しょうねん院いんに送おくられたり、保護ほご観察かんさつを受うけたりするケースが減へってしまうと、立ち直たちなおりに向むけた教育きょういくの機会きかいが失うしなわれるという課題かだいもあります。

少年しょうねんによる残虐ざんぎゃくな事件じけんでは、たびたび週刊しゅうかん誌しなどが逮捕たいほされた少年しょうねんの実名じつめいや顔かお写真しゃしんを報ほうじ、実名じつめい報道ほうどうの是非ぜひが議論ぎろんされてきました。

平成へいせい9年ねんに神戸こうべ市しで起おきた児童じどう連続れんぞく殺傷さっしょう事件じけんでは、新潮社しんちょうしゃの写真しゃしん週刊しゅうかん誌しが逮捕たいほされた当時とうじ14歳さいの元もと少年しょうねんの顔かお写真しゃしんを掲載けいさいし、書店しょてんでの販売はんばいや図書館としょかんでの閲覧えつらんを中止ちゅうしする動うごきが各地かくちで広ひろがりました。

また、平成へいせい11年ねんに山口やまぐち県けん光ひかり市しで起おきた母子ぼし殺害さつがい事件じけんでは、当時とうじ18歳さいの元もと少年しょうねんの実名じつめいや顔かお写真しゃしんが掲載けいさいされた本ほんが出版しゅっぱんされました。

元もと少年しょうねんが著者ちょしゃに対にたいして出版しゅっぱんの中止ちゅうしや賠償ばいしょうを求もとめる裁判さいばんを起おこしましたが、「実名じつめいや顔かお写真しゃしんの掲載けいさいは、社会しゃかい的てきな関心かんしんの高たかさなどを考かんがえると、少年しょうねん法ほうを考慮こうりょしても違法いほうとはいえない」として、本ほんの出版しゅっぱんを認みとめ、賠償ばいしょう責任せきにんもないとした判決はんけつが確定かくていしています。

法ほう改正かいせいに合あわせて参議院さんぎいんの本ほん会議かいぎでは、◇罪つみを犯おかした若者わかものの社会しゃかい復帰ふっきを促進そくしんするため、資格しかく制限せいげんのあり方ありかたについて必要ひつような措置そちを講こうじることや、◇実名じつめいなどの報道ほうどうを可能かのうにすることで、更生こうせいの妨さまたげにならないよう十じゅう分ふんに配慮はいりょすることを求もとめる付帯ふたい決議けつぎも報告ほうこくされました。

平成へいせい8年ねんに少年しょうねんによる傷害しょうがい致死ちし事件じけんで16歳さいの長男ちょうなんを亡なくし、「少年しょうねん犯罪はんざい被害ひがい当事者とうじしゃの会かい」の代表だいひょうを務つとめる武たけるり子るりこさんは、18歳さいと19歳さいが起訴きそされた場合ばあい、実名じつめい報道ほうどうが可能かのうになることについて「たしかに名前なまえや顔かお写真しゃしんが出でると少年しょうねんの立ち直たちなおりに影響えいきょうはあるかもしれないが、犯罪はんざいを起おこした事実じじつがある以上いじょう、実名じつめい報道ほうどうはついてくるものだという自覚じかくを持もたせることが大事だいじだと思おもう。名前なまえが出でたから社会しゃかいで仕事しごとがしにくいなどは理由りゆうにならない」と話はなしています。

その上うえで「少年しょうねん法ほうが改正かいせいされるたびに『厳罰げんばつ化か』と言いわれるが、私わたしたち被害ひがい者しゃ家族かぞくとしては、ようやく『適正てきせい化か』してきたと思おもっている。しかし、改正かいせいされても法律ほうりつが適切てきせつに運用うんようされなければ変かわらない。少年しょうねん院いんも少年しょうねん刑務所けいむしょも被害ひがい者しゃの視点してんを入いれた教育きょういくをしていただきたい」と話はなしています。

また、家庭かてい裁判所さいばんしょから検察けんさつに原則げんそく逆ぎゃく送致そうちする事件じけんの対象たいしょうが広ひろがることについて、「少年しょうねんの未来みらいを変かえるためには少年しょうねん院いんの先生せんせいや保護司ほごしなど、信頼しんらいできる大人おとなとの出会であいが必要ひつようだ。私わたしも少年しょうねん時代じだいにお世話おせわになった方々かたがたと関係かんけいを続つづけさせてもらい、再ふたたび犯罪はんざいを犯おかすこともない。少年しょうねん法ほうが改正かいせいされると、こうした機会きかいが減へってしまう」と話はなしています。

その上うえで「謝罪しゃざいや償つぐないの気持きもちをもって事件じけんの被害ひがい者しゃの方々かたがたと向き合むきあっていくためには、少年しょうねん自身じしんの生活せいかつを安定あんていさせていくことが何なによりも大事だいじだ」と話はなしています。

声明せいめいでは「18歳さいと19歳さいを『特定とくてい少年しょうねん』とし、家庭かてい裁判所さいばんしょから検察官けんさつかんに逆ぎゃく送致そうちする事件じけんの対象たいしょうを拡大かくだいするとされたことや、起訴きそされた場合ばあいに実名じつめい報道ほうどうが可能かのうとされたことは、現行げんこうの少年しょうねん法ほうの内容ないようを大おおきく後退こうたいさせた」としています。

逆ぎゃく送致そうちの対象たいしょう事件じけんの扱あつかいについては、「家庭かてい裁判所さいばんしょは保護ほごが必要ひつようか十分じゅうぶん、調査ちょうさした上うえで慎重しんちょうに判断はんだんすべきだ」としています。

また、起訴きそ後ごの実名じつめい報道ほうどうについては「インターネット上じょうでの掲載けいさいによって、少年しょうねんについての情報じょうほうが半永久はんえいきゅう的てきに閲覧えつらん可能かのうとなることや、起訴きそされたとしても、裁判所さいばんしょの判断はんだんによって再ふたたび家庭かてい裁判所さいばんしょに移うつされ保護ほご処分しょぶんとなる可能かのう性せいがあることも踏ふまえ、少年しょうねんの健全けんぜん育成いくせいや更生こうせいの妨さまたげにならないように十分じゅうぶんに配慮はいりょし、事案じあんの内容ないようや報道ほうどうの公共こうきょう性せいについて、慎重しんちょうに検討けんとうするべきだ」としています。

一方いっぽう、改正かいせい法ほうの付則ふそくには、施行しこうから5年ねん後ごに、社会しゃかい情勢じょうせいなどの変化へんかを踏ふまえて、18歳さいと19歳さいに関にかんする制度せいどのあり方ありかたを見直みなおすことが盛り込もりこまれています。

このことから、今回こんかい新あらたに設もうけられた手続てつづきや処分しょぶんに加くわえ、更生こうせいに向むけた支援しえんの仕組しくみが十分じゅうぶんに機能きのうしているのかなど、法律ほうりつの実効じっこう性せいも厳きびしく検証けんしょうされることになります。

改正かいせい少年しょうねん法ほうは、来年らいねん4月つき1日にちに施行しこうされます。