イギリスから
最新鋭の
空母「クイーン・エリザベス」が、インド
太平洋地域に
向けて
出航しました。
地政学的な
重要性が
増すこの地域への
関与を
強めるとともに、
影響力を
拡大させる
中国を
けん制するねらいも
あるとみられます。
イギリス政府は、ことし3月に発表した外交や安全保障の向こう10年の方針で、インド太平洋地域について経済面や安全保障面で重要性を増しているとして、関与を強める姿勢を打ち出し、その一環として、最新鋭の空母「クイーン・エリザベス」をこの地域に派遣することを明らかにしています。
海軍基地がある南部ポーツマスには22日、エリザベス女王も訪れ、空母の艦内を視察しました。
そして夜、空母は大勢の市民に見送られて出航しました。
空母を中心とする打撃群には、アメリカやオランダの艦艇も加わり、およそ7か月かけて地中海からインド洋、さらに太平洋を回ります。
インド太平洋地域では、日本や韓国、インドなどに寄港する予定で、日本の自衛隊との共同訓練も行う計画です。
英海軍トップ「インド太平洋地域への関与を体現」
イギリス
海軍のトップ、ラダキン
大将は、
空母「クイーン・エリザベス」の
出航を
前にNHKの
インタビューに
応じ、
今回の
派遣は
ヨーロッパだけでなく、
世界に
広く
目を
向ける「グローバル・ブリテン」という
外交方針のもと、インド
太平洋地域への
関与を
体現するものだと
述べました。
インタビューで、ラダキン大将はインド太平洋地域について、自由で開かれた海域だとしたうえで「中国も含めたすべての国がルールに基づいて行動すべきだ」と述べ、この地域で影響力を拡大する中国をけん制しました。
そして、イギリスは中国を戦略的な競争相手と位置づけているとし「今回の派遣を、中国は非常に高い関心を持って見るだろう。価値観と利益を共有するパートナーたちと協力し、われわれの新たな能力を示すことになり、中国はその意味について考える必要がある。われわれは対立を引き起こすことはしないが、やるべきことを自信を持って遂行する」と述べました。
また日本については、同じ海洋国家として関係の重要性を強調したうえで「イギリスにとって経済的に重要で、物事の見方もとても似ている。国際的なルールや自由貿易、そして、自由で開かれたインド太平洋を支持し、イギリスと同じ立場にある」と述べ、今後、自衛隊とより緊密な連携を図っていきたいとしました。