航空会社 歴史的な落ち込み


こうした厳しい状況を受けて、航空大手2社は昨年度の業績予想で、ANAホールディングスが5100億円、日本航空が3000億円といずれも巨額の最終赤字を見込んでいます。両社は経営が悪化する中で雇用を守るため、一部の従業員を外部の企業に出向させる対応をとっています。
出張や旅行での利用が多かった新幹線は特に影響が大きく、緊急事態宣言が出た去年4月の利用者は、前の年と比べて、JR東海が90%、JR西日本が88%、JR東日本が87%といずれも大幅に減少しました。 去年11月には、3社とも減少幅はおよそ50%に回復しましたが、2度目の緊急事態宣言が出たことし1月には、JR東海が75%、JR東日本とJR西日本が73%と、再び大きく落ち込んでいて、本格的な回復の見通しはたっていません。 JR各社や主要な私鉄各社は昨年度の決算が軒並み最終赤字に陥る見通しで、安全に支障のない範囲で設備投資を先送りしたり、人件費を削減したりといった対応を余儀なくされています。 JR西日本は7日、東京で記者会見を開き、新型コロナウイルスの影響で昨年度の鉄道事業の収入は、前の年度と比べて51.8%減少したと発表しました。
その後は回復傾向が続き、減少幅は、11月には30%に回復しましたが、感染者が増えた12月には、40%に拡大しました。 厳しい環境が続く中、先月には、全国で18のホテルを運営する「ビスタホテルマネジメント」が、自力での経営に行き詰まり、東京地方裁判所に民事再生法の適用を申請しました。 大規模な合理化も相次ぎました。 関西の大手私鉄では、「近鉄グループホールディングス」が所有するホテルの3分の1にあたる8か所をアメリカの投資ファンドとつくる新会社に売却することを決めたほか、「阪急阪神ホールディングス」は、東京と大阪にある6つのホテルの営業を終了する方針を明らかにしました。 ワシントンホテルなどを全国に展開する「藤田観光」は、大阪市にある宴会施設で、2019年のG20大阪サミットでは、閣僚会合の会場にもなった「太閤園」を売却し、6月末で営業を終了することになりました。 依然として、感染収束のめどが立たない苦境が続く中、ホテル業界では、少しでも利用者を確保しようと、割安の料金でホテルを“生活の場”として提供する長期滞在型のプランを販売する動きが広がっています。
営業時間の短縮や休業が飲食店の経営に深刻な影響を及ぼしています。 日本フードサービス協会のまとめによりますと、全国の主な外食チェーンの去年1年間の売り上げは、前の年よりも15.1%減少しました。落ち込み幅は、リーマンショック後の2009年を上回り過去最大となりました。
主なチェーンでは、「甘太郎」などを展開するコロワイドがおよそ200店舗を閉店したほか、ワタミは、居酒屋100店舗余りを閉店し比較的売り上げの回復が早いとされる焼肉店に業態を転換しています。 居酒屋チェーン各社は、夜間の売り上げの減少を補うためランチ営業を強化するなど新たなサービスを模索していますが、アルバイトなど非正規で働く従業員も多い業種だけに雇用の維持も課題となっています。
民間の調査会社「エヌピーディー・ジャパン」は全国13万人の消費者から集めた毎日の支出のデータをもとに外食産業の市場規模を推計しています。それによりますと、去年1年間の外食業全体の売り上げは、おととしよりも27.2%減少しました。
消費者のライフスタイルの変化に企業側も対応を急いでいます。 ファミリーレストランのデニーズは、去年10月に宅配やテイクアウトの専門店を初めて東京 新宿に出店しました。従来の店舗に比べて店の賃料や人件費などのコストを抑えることができるとしていて、都内と埼玉県で、さらに2店舗出店しています。 また、ステーキチェーンの「いきなり!ステーキ」は、キッチンカーによる移動販売をことし2月から都内で始めています。外食を控える消費者のニーズを取り込むねらいで、今後、車両を増やすことも検討しています。
新型コロナウイルスの感染が拡大した影響で、マスクは去年1月下旬ごろから全国的に品薄となり、販売する店に長蛇の列ができたり、高く転売されたりと社会問題となりました。 このため政府は、去年3月、法律で転売を禁止したほか、4月には全国のすべての世帯に、布マスクを配布する方針も示しました。 厚生労働省と経済産業省によりますと、国の補助事業で去年3月ごろからマスクを生産するメーカーが増えるなど、国内の生産能力が向上したことに加え、その後は、停滞していた海外のマスクの流通も次第に回復し、状況は改善に向かったということです。厚生労働省は、一般のマスクの品薄状態が解消したのは7月末の段階だとしています。 1か月平均のマスクの流通量は、去年の秋ごろのデータで、国内生産分が2億9000万枚と感染拡大前の3倍以上、海外からの輸入量が14億枚と5倍以上になりました。国内全体の流通量は5倍近くに増加しているとしています。 また、業界団体の「全国マスク工業会」によりますと、一般用のマスクを生産する国内メーカーはこの1年で少なくとも3倍以上に増え、確認できるだけで100社以上にのぼるということです。
需要が高い状態は今も続き、ことし2月も500万リットルを超える生産量となっています。
鉄道会社 本格的な回復の見通したたず
ホテル・旅館 大規模な合理化も相次ぐ
居酒屋チェーン 営業時間短縮や休業で…
外食業界で拡大する「宅配」
品薄だったマスクは
アルコール消毒液は