第3回となる野球の国際大会「プレミア12」は、世界ランキング上位の12の国と地域が参加して9日に開幕しました。
世界ランキング1位の日本は井端弘和監督の下、初優勝を果たした前回に続く大会連覇を目指していて、13日夜、バンテリンドーム ナゴヤで行われた1次リーグの初戦で15位のオーストラリアと対戦しました。
日本は1回、ノーアウト一塁三塁から楽天、辰己涼介選手の犠牲フライで先制し、2回以降は相手のエラーなどもあり4回まで毎回得点を重ね、5対0とリードしました。
日本の先発は巨人のリーグ優勝に貢献し、代表に初めて選ばれた23歳の井上温大投手で、持ち味のキレのある速球を生かし5回まで無失点と好投しました。
しかし、6回にソロホームランを打たれると、後を受けた2人目のロッテ、横山陸人投手もツーランホームランを打たれて2点差に迫られました。
それでも打線は7回、DeNAの日本一に貢献した牧秀悟選手のタイムリーヒットで追加点を挙げ、8回には4番に入った阪神、森下翔太選手のタイムリーツーベースなどで3点を加えて突き放しました。
日本は7回以降、リリーフ陣が1本のヒットも許さずにリードを守り切り、9対3で勝って好スタートを切りました。
1次リーグは6チームによる総当たり戦で、日本はこのあと台湾に移動して15日から
▽韓国
▽台湾
▽キューバ
▽ドミニカ共和国と対戦します。
そして上位2チームに入れば2次リーグに進出することができます。
7回に適時打 DeNA 牧秀悟「勝つことで勢いに乗れる」
2点差に迫られた後の7回にリードを広げるタイムリーヒットを打つなど2安打をマークしたDeNAの牧秀悟選手は「ランナーが三塁まで進んでいたので楽な気持ちで打席に入れた。いい準備ができていたし、1球で捉えることができてよかった」と貴重な追加点となった1打を振り返りました。
そして、「点は取られたが取り返すことができたし、とてもいい勝ち方ができた。勝つことで勢いに乗れるし、いい準備をして次の試合に臨みたい」と意気込んでいました。
先発 巨人 井上温大「チームを勝ちに導けるようなピッチングを」
代表初選出で初戦の先発マウンドを任された巨人の井上温大投手は6回途中まで投げ5安打2失点と役割を果たし、「初戦はやっぱり大事な試合だと自分で感じていたので形は悪くてもなんとかゼロに抑えて試合を作ろうと思っていた。5回を投げきって試合を作ることができたのでよかった」と振り返りました。
また、8つの三振を奪ったことについて「カウントを有利に進めることができて、追い込んでから持ち球すべてを低めに投げきることができたのが要因だと思う」と話しました。
その上で今後に向けて「どの役割でもなんとかゼロに抑えて、チームを勝ちに導けるようなピッチングをしていきたい」と意気込みを話していました。
井端監督「非常にほっとしている」
井端監督は試合後の会見で「どんな点差でも勝てばいいと思っていた初戦だったので非常にほっとしている」と緊張から解放された様子で話していました。
9点を奪った打線については「得点圏にランナーが進んだときに各自がどうしたら点が入るか考えてくれた。それを初戦からできたことがよかった。ホームランを打たれて追いつかれることもあるのが国際試合だが、きょうは取れるところできっちり点を取れた」と手応えを感じていました。
試合のポイントについては、2点差に迫られたあとリードを広げた7回の牧選手のタイムリーを挙げ「ピッチャーは1人ランナーが出るとホームランで追いつかれるというイメージが出てきてしまうので、2点差で終盤を迎えるのがこわかった。そのなかで牧選手のタイムリーは大きかった」と振り返っていました。
台湾に場所を移して行われる今後の戦いに向けては「いいスタートが切れたと思うので、台湾にいっても変わらず一戦一戦、1球1球、1打席1打席全力でやるだけだ」と意気込んでいました。
【記者の目】23歳井上を先発 勝利と育成の両立目指す井端監督
2年後に行われるWBC=ワールド・ベースボール・クラシックを見据えて若手の育成にも力を入れる井端監督は、初代表で23歳の井上投手を初戦の先発に抜てきし、勝利をつかむとともに大きな経験を積ませることにも成功しました。
井端監督は、これまでもトップチームに大学生を招集するなど若手の発掘や育成面に定評があり、今大会も国際大会の経験が浅い選手を積極的に起用しながら連覇を目指す方針を示しています。
こうしたなか、大事な初戦のマウンドを託したのが代表に初めて招集した井上投手。
キレのある速球に魅力を感じていたのに加え、優勝争いをしていた巨人での堂々としたピッチングを見て、将来を背負えるピッチャーだと確信し、起用を決めました。
大抜てきに驚きを隠せなかった井上投手ですが、13日の試合では「ストレートが一番よかった」と立ち上がりからテンポよく投げ込んでいきました。
そして6回途中2失点と試合を作り、独特の緊張感がある国際大会で大きな経験を積みました。
井端監督は試合後、その井上投手について「初回は人生で一番緊張したマウンドだったと思うが、そこを無失点で切り抜けていいピッチングをしてくれた。このオープニングゲームを投げたというところで、精神的にも技術的にも一段上がったのではないかと思う」と話し、新戦力の活躍に手応えを感じていました。
13日の試合では、終始優位に試合を運べたことで井上投手以外にも6人の「初出場組」を起用して貴重な国際舞台を踏ませ、より緊張感が増していく今後の試合に備えました。
これから韓国やドミニカ共和国、キューバと言った数々の国際大会で死闘を演じてきた強豪との戦いが続く中でも経験の少ない選手たちが実力通りのパフォーマンスを出せるか。
勝利と育成の両立を目指す井端監督の真価はこれから問われることになりそうです。