グーグル親会社による異例の100年債発行
米国のIT大手グーグルの親会社であるアルファベット社が、償還期間100年という極めて異例な社債を発行したことは、金融市場に大きな波紋を広げている。企業が資金調達を行う際には、一般的に株式または債券の発行が選択肢となるが、今回アルファベットが選んだ100年債という手法は、過去の事例を踏まえると必ずしも楽観視できるものではない。
同社はAI分野への巨額投資を背景に、数十億ドル規模の資金調達を進めており、時価総額が4兆ドルに迫る中、年間フリーキャッシュフローも約730億ドルに達している。それにもかかわらず、AIへの投資額が1850億ドルに上る計画であるため、保有する1260億ドルの現金では十分とは言い難く、追加の資金調達が必要とされた。
しかし、企業が100年債を発行する例は極めて稀であり、企業の永続性そのものが保証されているわけではない。実際、過去に100年債を発行した米IBMやJCペニー、モトローラといった企業は、その後必ずしも順調な経営を維持できたわけではなく、特にJCペニーは発行から23年後に破産申請を余儀なくされた。こうした事例を踏まえると、100年債の発行には企業の慢心や過信が指摘されることも少なくない。
100年債は、一般の投資家にとっては満期まで保有することが現実的ではなく、主に大学基金や政府系機関、生命保険会社、年金基金など、長期的な運用を前提とする機関投資家が主な買い手となる。
しかしながら、今回のアルファベットの100年債に対しては、発行直後から需要が殺到し、24時間足らずで約320億ドルもの資金が集まった。特に100年債には供給の10倍を超える注文が寄せられ、投資家の関心の高さが浮き彫りとなった。
過去の100年債発行には不吉な前例がつきまとうものの、アルファベットに対しては依然として強い投資需要が存在する。その要因としては、同社が政府公認の独占企業ともいえる地位を確立しており、優れた収益力とキャッシュフローを背景に、負債も過度に膨らんでいないことが挙げられる。実際、反トラスト法違反が認定されたにもかかわらず、ビジネスモデルの大幅な変更を迫られなかった経緯もあり、投資家にとっては100年という超長期の貸しつけ先として一定の安心感があるといえる。
このように、100年債の発行は過去の事例からはリスクも伴うものの、アルファベットの圧倒的な企業力と市場からの信頼を背景に、今回に限っては例外的な成功を収める可能性が高いのではないかと考えられる。