地球規模の水資源枯渇時代への突入
国際連合が発表した最新の報告書によれば、世界はもはや「水危機」や「水ストレス」といった表現では捉えきれない、取り返しのつかない「水破産」の新時代に突入したと警告されている。
国連大学が20日に公表したこの報告書は、学術誌『ウォーター・リソーシズ』に掲載された研究を基にまとめられたものであり、地球規模で水資源の枯渇が深刻化している現状を明らかにしている。
世界各地では、従来想定されていた以上に深刻な水問題が顕在化している。例えば、アフガニスタンの首都カブールは、近代都市として初めて水資源が完全に枯渇する危機に直面しており、メキシコ市では地下帯水層からの過剰な取水によって、年間約50センチもの地盤沈下が進行している。
さらに、アメリカ南西部では、干ばつにより減少したコロラド川の水資源をめぐり、州同士の対立が絶えず続いている。
国連大学水・環境・保健研究所の所長であり、報告書の著者であるカーベ・マダーニ氏は、「この状況を単なる危機と呼び続けることは、その一時的な性質を暗示してしまう。実際には、我々は新たな現実、すなわち従来よりもはるかに厳しい制約下に適応せざるを得ない状況にある」と述べ、現状の深刻さを強調している。
水破産とは、自然が雨や雪として供給する水量を超えて人類が水を消費し続けることにより、河川や湖、湿地、地下帯水層からの取水量が補充速度を大幅に上回り、結果として水資源の負債を積み重ねている状態を指す。気候変動による猛暑や干ばつが追い打ちをかけ、水資源の利用可能量は一層減少している。その影響で、河川や湖は縮小し、湿地は干上がり、帯水層は枯渇へと向かい、地盤の崩壊や陥没、砂漠化、雪不足や氷河の融解など、さまざまな環境問題が連鎖的に発生している。
報告書によれば、1990年以降、世界の大型湖沼の50%以上が水量を失い、主要な地下水脈の約70%が長期的な減少傾向にある。過去50年間で欧州連合(EU)に匹敵する面積の湿地が消失し、1970年以降、氷河は30%も縮小した。また、水資源に比較的余裕のある地域でさえ、汚染の進行によって飲料水として利用可能な水量が減少している。
マダーニ氏は「多くの地域が水文学的限界を超えて生活しており、もはや従来の状態に戻ることは不可能だ」と指摘する。実際、世界では約40億人が毎年少なくとも1カ月は水不足に直面しているにもかかわらず、水は依然として当然のものとして消費され、節水への意識改革は十分に進んでいない。そのため、「信用枠が拡大し続けている」と同氏は警鐘を鳴らす。
ロサンゼルスやラスベガス、イランのテヘランなどでは、水供給が厳しいにもかかわらず都市の拡張や開発が続けられているが、「すべてが正しく見えるのは、そうではないと気づく瞬間までであり、その時には既に手遅れである」とマダーニ氏は述べる。
地域ごとに影響の度合いは異なり、中東や北アフリカでは極めて高い水ストレスと気候変動への脆弱性が顕著である。南アジアの一部では、地下水に依存した農業や急増する都市人口により、慢性的な水不足が深刻化している。アメリカ南西部もまた、コロラド川の水資源分配協定が現実に即していないことから、恒久的な新しい水不足状態に直面している。
このような状況を受け、マダーニ氏は「水資源の枯渇という現実を認識することで、各国は短期的な危機対応から、不可逆的な被害を軽減するための長期的な戦略へと転換できる」と指摘する。報告書は、農業における作物転換や効率的な灌漑、AIやリモートセンシングを活用した水資源監視、汚染削減、湿地や地下水の保護強化など、多角的な対応を求めている。
さらに、水は「分断された世界をつなぐ架け橋」となり得るとも報告書は述べる。「水の価値と重要性を理解する国が増えていることが希望である」とマダーニ氏は語り、報告書が行動を促す契機となることを期待している。「水破産という現実を受け入れることで、ようやく人々や経済、生態系を守るための厳しい選択が可能となる。対策を先送りすればするほど、負債は増大するばかりだ」と警告している。