韓国メディアは、いくつものミサイルを複数の場所からほぼ同時に発射することで、迎撃などを難しくするねらいがあるという見方を伝えていて、北朝鮮としては、アメリカと韓国の同盟強化や日本を含む3か国の連携を強くけん制したとみられます。
韓国軍の合同参謀本部は、北朝鮮が5日午前9時8分ごろから9時43分ごろにかけて、首都ピョンヤン郊外のスナン(順安)付近など複数の場所から日本海に向けて、短距離弾道ミサイル8発を発射したと明らかにしました。
また韓国大統領府は、緊急のNSC=国家安全保障会議を開き、対応を協議すると発表しました。
北朝鮮は同じスナン付近から、5月12日に短距離弾道ミサイル3発を、5月25日には、ICBM=大陸間弾道ミサイルと推定される1発と短距離弾道ミサイル2発を、それぞれ発射したと韓国軍が発表していました。
韓国の通信社、連合ニュースは「8発を同時に発射するのは事実上、初めてだ」としたうえで、いくつものミサイルを複数の場所からほぼ同時に発射することで、発射地点への先制攻撃や、ミサイルの迎撃を難しくするねらいがあるという見方を伝えています。
北朝鮮がことしに入って、異例の高い頻度で弾道ミサイルなどの発射を繰り返す中、5月、ソウルで開かれた米韓首脳会談では、核 ミサイル開発を加速する北朝鮮を念頭に、アメリカの核戦力を含む抑止力の強化や、合同軍事演習の規模拡大に向けた協議の開始などで合意し、さらに東京で開かれた日米首脳会談では、北朝鮮の核 ミサイル問題に深刻な懸念を共有したうえで、一層緊密な連携を確認しました。
加えて6月3日、日米韓の北朝鮮担当の高官による協議が行われたのに続いて、4日までの3日間、米韓両軍が、原子力空母を投入した共同訓練を4年7か月ぶりに実施したばかりです。
このため、北朝鮮としては、こうしたタイミングで再び発射を強行することで、米韓同盟の強化や日米韓3か国の連携を強くけん制したとみられます。