最低さいてい賃金ちんぎん引き上ひきあげめぐり 大詰おおづめの議論ぎろん始はじまる 厚生こうせい労働ろうどう省しょう審議しんぎ会かい

労使ろうしの代表だいひょうなどが参加さんかする厚生こうせい労働ろうどう省しょうの審議しんぎ会かいが、毎年まいとし、引き上ひきあげ額がくの目安めやすを示しめし、それをもとに都道とどう府県ふけんごとに決きめられることになっていて、13日にち、審議しんぎ会かいで大詰おおづめの議論ぎろんが始はじまりました。

労働ろうどう組合くみあいは「コロナ禍かで広ひろがる格差かくさの是正ぜせいや社会しゃかいを支ささえるエッセンシャルワーカーの待遇たいぐう改善かいぜんのためにも大幅おおはばな引き上ひきあげが必要ひつようだ」などと訴うったえています。

一方いっぽう、中小ちゅうしょう企業きぎょうでつくる経済けいざい団体だんたいなどからは、業績ぎょうせきが悪化あっかした企業きぎょうがさらに苦くるしい状況じょうきょうに追い込おいこまれるとして現在げんざいの水準すいじゅんを維持いじするよう求もとめる声こえが出でています。

最低さいてい賃金ちんぎんをめぐっては、2019年度ねんどまでの4年間ねんかんは全国ぜんこく平均へいきんで25円えんから27円えんと毎年まいとし3％程度ていどの大幅おおはばな引き上ひきあげが続つづきました。

しかし、昨年度さくねんどは新型しんがたコロナウイルスの影響えいきょうで雇用こようを守まもることが最さい優先ゆうせんとされ、審議しんぎ会かいは目安めやすを示しめすことができず、全国ぜんこく平均へいきんで1円えんの引き上ひきあげにとどまっていて、今年度こんねんどは、大幅おおはばな引き上ひきあげとなるかが焦点しょうてんです。

審議しんぎ会かいでは、早はやければ13日にち中ちゅうにも引き上ひきあげの目安めやすが示しめされる見通みとおしですが、労使ろうしの間まで主張しゅちょうに隔へだたりが大おおきく議論ぎろんの難航なんこうも予想よそうされます。

最低さいてい賃金ちんぎんを都道とどう府県ふけん別べつでみると最もっとも高たかいのは東京とうきょうで1013円えん、次ついで神奈川かながわが1012円えん、大阪おおさかが964円えんとなっています。

一方いっぽう、最もっとも低ひくいのは秋田あきた、鳥取とっとり、島根しまね、高知こうち、佐賀さが、大分おおいた、沖縄おきなわの7県けんで792円えんとなっています。

最もっとも高たかい東京とうきょうと最もっとも低ひくい7つの県けんとの差さは221円えんとなっています。

最低さいてい賃金ちんぎんは生活せいかつ水準すいじゅんや、企業きぎょうの支払しはらい能力のうりょくなどをもとに決きめられ、最高さいこうと最低さいていの地域ちいき間かんの差さは2002年度ねんどは104円えんでしたが、この20年ねん近ちかくの間まで2倍ばい以上いじょうに広ひろがりました。

ITバブル崩壊ほうかい後ごの2002年度ねんどや2004年度ねんど、それに、リーマンショック後ごの2009年度ねんどには、厚生こうせい労働ろうどう省しょうの審議しんぎ会かいから引き上ひきあげ額がくの目安めやすは示しめされなかったほか、2003年度ねんどに示しめされた引き上ひきあげ額がくは0円えんでいずれも実際じっさいの引き上ひきあげ額がくも低ひくい水準すいじゅんにとどまりました。

政府せいふが「全国ぜんこく平均へいきんで時給じきゅう1000円えんを目指めざす」という目標もくひょうを掲かかげ、2016年度ねんどから2019年度ねんどまでは、引き上ひきあげ額がくが全国ぜんこく平均へいきんで25円えんから27円えんと毎年まいとし3％程度ていどの大幅おおはばな引き上ひきあげとなりました。

しかし、昨年度さくねんどは新型しんがたコロナウイルスの影響えいきょうで審議しんぎ会かいが引き上ひきあげの目安めやすを示しめすことができず全国ぜんこく平均へいきんで1円えんの引き上ひきあげにとどまりました。

仕事しごとは事務職じむしょくで1日にち7時間じかん45分ふん勤務きんむし、日給にっきゅうは8980円えんです。

時給じきゅうに換算かんさんすると1158円えんとなり、東京とうきょう都との最低さいてい賃金ちんぎんの1013円えんに近ちかい水準すいじゅんです。

日給にっきゅうで給料きゅうりょうが支払しはらわれる場合ばあいも所定しょてい勤務きんむの時間じかんで換算かんさんし1時間じかんあたりの金額きんがくが最低さいてい賃金ちんぎんを確保かくほする必要ひつようがあります。

このため、最低さいてい賃金ちんぎんの引き上ひきあげは男性だんせいの収入しゅうにゅうが増ふえることにつながります。

男性だんせいによりますと1か月かげつの収入しゅうにゅうは手取てどりで平均へいきん15万まん円えんほど、日給にっきゅうで給料きゅうりょうが払はらわれるためその月つきに祝日しゅくじつなどが多おおいとおよそ12万まん円えんに減へってしまうといいます。

男性だんせいは実家じっかで親おやと暮くらしていて家賃やちんを支払しはらう必要ひつようはありません。

ただ月つきに数すう万まん円えんを渡わたしたうえで食費しょくひなどは自分じぶんで出だしているため貯金ちょきんはできないといいます。

毎月まいつき、給料きゅうりょう日びの前まえになると貯金ちょきんの残高ざんだかがほとんどなくなるため生活せいかつ費ひの節約せつやくのためにできるだけ買い物かいものは控ひかえています。

また来年らいねん3月つきで契約けいやく職員しょくいんとしての1年間ねんかんの契約けいやくが満了まんりょうとなるため、新あらたに仕事しごとを探さがす必要ひつようがあり生活せいかつの不安ふあんが大おおきいといいます。

男性だんせいは「病気びょうきなどになった時ときに多額たがくのお金おかねが必要ひつようとなるため生活せいかつがどうなってしまうのかという不安ふあんがあります。収入しゅうにゅうが少すくなく貯金ちょきんもほとんどないため今後こんご、結婚けっこんしても子こどもができたとしても幸しあわせにできるのかと考かんがえてしまいます。厚生こうせい労働ろうどう省しょうの審議しんぎ会かいには最低さいてい賃金ちんぎんの大幅おおはばな引き上ひきあげにつながる目安めやすを示しめしてほしいです」と話はなしています。

しかし、店みせを運営うんえいする会社かいしゃ側がわは新型しんがたコロナウイルスの感染かんせん拡大かくだいで東京とうきょう都とでは4度目どめの緊急きんきゅう事態じたい宣言せんげんが出だされ売り上うりあげの減少げんしょうが懸念けねんされます。

感染かんせん拡大かくだい前まえのおととしの同おなじ月つきと比くらべると、売り上うりあげはことし5月つきは56％、先月せんげつは42％にとどまり厳きびしい状況じょうきょうが続つづいています。

これまで国くにの雇用こよう調整ちょうせい助成じょせい金きんなどを利用りようしアルバイトやパート従業じゅうぎょう員いんの雇用こようを維持いじしてきました。

営業えいぎょう時間じかんの短縮たんしゅくなどで勤務きんむ時間じかんが減へっているものの、アルバイトやパート従業じゅうぎょう員いんに6月つきに支払しはらった給与きゅうよの総額そうがくは270万まん円えんあまりに上のぼります。

会社かいしゃによりますとアルバイトとパート従業じゅうぎょう員いんについて時給じきゅうをそれぞれ10円えん上あげると1か月かげつあたりおよそ2万まん6000円えん、30円えん上あげると1か月かげつあたりおよそ7万まん8000円えん人件じんけん費ひの負担ふたんが増ふえるといいます。

さらに営業えいぎょう時間じかんの短縮たんしゅくなどのない感染かんせん拡大かくだい前まえの勤務きんむ時間じかんで計算けいさんするとアルバイトとパート従業じゅうぎょう員いんの時給じきゅうをそれぞれ10円えんを上あげると1か月かげつあたりおよそ4万まん3000円えん、時給じきゅう30円えんを上あげると1か月かげつあたりおよそ12万まん8000円えん人件じんけん費ひが増ふえ、毎月まいつき負担ふたんし続つづけることを考かんがえると経営けいえい状況じょうきょうはさらに厳きびしくなるおそれがあるといいます。