穴は壁面の4メートルから8メートルの高い位置にあったため、警察は午後3時すぎから高所作業車を出して、中の状況を調べました。
その結果、警察によりますと、複数の穴に弾丸のような金属片がめり込んでいるのが見つかったということです。
これらは、発砲地点と安倍元総理大臣が演説していた地点の延長線上にあり、容疑者が撃った銃の弾と考えても矛盾はないということです。
警察は穴の中から金属片を回収して鑑定するとともに、容疑者の作った手製の銃が強い威力を持っていたとみて捜査を進めています。
そのうえで「殺傷力のある弾1発1発が拡散するので、周囲の人が被害を受けるおそれは十分にあったと思う」と話しました。 威力については「容疑者がつくった銃弾は、本来であればクマなどの大型動物を対象にして使うサイズと見られ、拳銃とは比べ物にならない殺傷力がある」と指摘しています。 一方、容疑者がインターネット上の動画を参考に銃を製造したという趣旨の供述をしていることについては「銃の構造を解説する海外の報道番組などがアップロードされていて、それらの断片的な情報を参考に自分なりに工夫してつくったのだと考えられる。法的な規制は難しく、現時点では動画投稿サイトの自己規制で削除するなど、民間レベルで規制する以外は対応は難しいのが現状だ」と話しています。
容疑者は、事件前日の今月7日の未明、奈良市内にある宗教団体の施設で試し撃ちをしたと供述し、近くに住む住民も「午前4時ぐらいにバーンと破裂するような音を1回聞いた」などと話しています。 この宗教団体の施設から80メートルほど離れた住宅の玄関近くに設置された防犯カメラの映像では、今月7日の午前4時ごろ、発砲音のような、「パーン」という乾いた音が1回、確認できます。 この住宅に住む男性によりますと、奈良県警の担当者が13日、防犯カメラの映像を確認するため自宅を訪ねてきたということです。 男性は、「当時は音に気がつきませんでしたが、容疑者が家の近くで試し撃ちしたという話を聞いて驚いています」と話していました。
おととし9月に派遣会社に応募し、面接をした担当者は、容疑者について「もの静かな印象で、ことばづかいが丁寧で口かずがとても少ない人間だと感じた」と話していたということです。 履歴書にはこれまでの職歴として、アルバイトや派遣の仕事を転々としていた経歴に加え、測量に関係する資格や、宅地や建物の取り引きができる資格、それに、家計に関する金融や税制の資格などを取得していたと記されていたということです。 このほか、趣味の欄には、映画鑑賞や読書、パソコンゲームなどと書かれていたといいます。 容疑者は、去年は特段のトラブルもなく仕事を続けていましたが、ことしに入って、トラック運転手との間で口論になったことから、派遣会社の担当者が後日、指導を行ったところ素直な反応だったということです。 その後、ことし2月には体調不良を訴えて6日間休み、本人は「心筋あるいは食道の関係ではないか。ストレスが原因だと思う」と話していたということです。 まもなく職場に復帰しましたが、ことし4月には再度、体調がよくないと訴え、4月20日の勤務を最後に有給休暇を取ったうえで、退職したということです。 派遣会社の社長は「このような事件が起こり動揺しています」と話していました。
午後1時すぎには、献花に訪れた200人余りが列を作り、花を供えて手を合わせていました。 奈良県天理市から訪れた60代の女性は、「ありがとうございますの気持ちと安らかにお休みくださいと伝えにきました。安倍元総理大臣には直接お会いしたこともあったのですが、気さくに声をかけてくださるすばらしいお人柄でした。事件はあってはならないことで残念でしかたがありません」と話していました。 また、奈良市から子どもと親子3人で訪れた20代の父親は、「これまで日本のために働いてくださった安倍元総理大臣ということで、事件後から胸が締めつけられる思いがあったのでその気持ちをお伝えしました。実際にお会いしたことはありませんでしたが朗らかな印象があったからこそ胸にくるものがあり悲しい気持ちです」と話していました。
宗教施設の近くにある防犯カメラの映像では発砲音のような音
容疑者が登録していた人材派遣会社は
事件現場近くの献花台には13日も大勢の人