日本新聞: 鹿島建設元幹部脱税の疑いで告発復興事業で業者から謝礼金

鹿島かしま建設けんせつ元もと幹部かんぶ脱税だつぜいの疑うたがいで告発こくはつ復興ふっこう事業じぎょうで業者ぎょうしゃから謝礼しゃれい金きん

Jun 28, 2021 16:06

Furigana

大手おおてゼネコン「鹿島かしま建設けんせつ」の東北とうほく支店してん元もと幹部かんぶが東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさいの復興ふっこう事業じぎょうで下請したうけ業者ぎょうしゃから謝礼しゃれい金きんとして受け取うけとった現金げんきんなどおよそ2億おく2000万まん円えんを税務ぜいむ申告しんこくせず、8300万まん円えんを脱税だつぜいしたとして、所得しょとく税法ぜいほう違反いはんの疑うたがいで仙台せんだい国税局こくぜいきょくから告発こくはつされました。

告発こくはつされたのは鹿島かしま建設けんせつ東北とうほく支店してんの宮本みやもと卓郎たくろう元もと営業えいぎょう部長ぶちょう（54）です。

関係かんけい者しゃによりますと、宮本みやもと元もと部長ぶちょうは東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさいの復興ふっこう事業じぎょうとして福島ふくしま県けん富岡とみおか町まちで行おこなわれた被災ひさいした建物たてものの解体かいたい工事こうじで、下請したうけ業者ぎょうしゃから謝礼しゃれい金きんとして多額たがくの現金げんきんを受け取うけとりながら税務ぜいむ申告しんこくを行おこなっていなかった疑うたがいがあるということです。

宮本みやもと元もと部長ぶちょうは環境省かんきょうしょうからこの事業じぎょうを受注じゅちゅうした鹿島かしま建設けんせつなどの共同きょうどう企業きぎょう体たいの所長しょちょうを務つとめ下請したうけ業者ぎょうしゃの選定せんていに強つよい影響えいきょう力りょくを持もっていたということで、仙台せんだい国税局こくぜいきょくは宮本みやもと元もと部長ぶちょうが平成へいせい30年ねんまでの2年間ねんかんにおよそ2億おく2000万まん円えんを申告しんこくせず、8300万まん円えんを脱税だつぜいしたとして所得しょとく税法ぜいほう違反いはんの疑うたがいで仙台せんだい地方ちほう検察けんさつ庁ちょうに告発こくはつしました。

現金げんきんを提供ていきょうした下請したうけ業者ぎょうしゃは国税局こくぜいきょくの調しらべに対にたいし「工事こうじを受注じゅちゅうする見返みかえりだった」と話はなしているということで、元もと部長ぶちょうは提供ていきょうされた資金しきんを車くるまの購入こうにゅう費ひや遊興ゆうきょう費ひに充あてていたということです。

鹿島かしま建設けんせつは去年きょねん12月つき、宮本みやもと元もと部長ぶちょうを懲戒ちょうかい解雇かいこしています。

仙台せんだい地方ちほう検察庁けんさつちょうは告発こくはつを受うけて近ちかく元もと部長ぶちょうを所得しょとく税法ぜいほう違反いはんの罪つみで在宅ざいたく起訴きそするとみられます。

宮本みやもと元もと部長ぶちょうはNHKの取材しゅざいに対にたいし「検察けんさつと大おおきく争あらそうつもりはありません。被災ひさい地ちの方ほうには申し訳もうしわけなく思おもいます」などと話はなしています。

鹿島かしま建設けんせつ「誠まことに遺憾いかん再発さいはつ防止ぼうしに努つとめる」

元もと部長ぶちょうが告発こくはつされたことについて鹿島かしま建設けんせつは「このような事象じしょうが発生はっせいしたことは誠まことに遺憾いかんで、深ふかく反省はんせいするとともに、社員しゃいん教育きょういくを改あらためて徹底てっていするなど再発さいはつ防止ぼうしに努つとめてまいります」とコメントしています。

下請したうけ会社かいしゃの社員しゃいん「裏金うらがねや接待せったいで扱あつかいが全然ぜんぜん違ちがった」

宮本みやもと元もと部長ぶちょうが所長しょちょうを務つとめていた共同きょうどう企業きぎょう体たいの下請したうけとして工事こうじを受注じゅちゅうしていた福島ふくしま県けんの建設けんせつ会社かいしゃの社員しゃいんは「元もと部長ぶちょうは下請したうけ業者ぎょうしゃから焼き肉やきにくパーティーやゴルフなどで接待せったい漬づけになっていた。一緒いっしょに行いった業者ぎょうしゃからはスナックなどでも豪遊ごうゆうしたと聞きいている」と証言しょうげんしました。

そのうえで「共同きょうどう企業きぎょう体たいの現場げんばではキックバックを渡わたしたり接待せったいしたりする会社かいしゃとしない会社かいしゃの扱あつかいが全然ぜんぜん違ちがっていた。接待せったいなどをしなければ下請したうけ会社かいしゃはつきあってもらえないような空間くうかんだった。裏金うらがねや接待せったいがないと、よい現場げんばが回まわってこないというのはおかしいと思おもう」と話はなしていました。

専門せんもん家か「ゼネコン業界ぎょうかいでは発生はっせいしやすい構図こうず」

企業きぎょう経営けいえいや企業きぎょう戦略せんりゃくに詳くわしい専修せんしゅう大学だいがくの高橋たかはし義仁よしひと教授きょうじゅは今回こんかいの事件じけんについて「特別とくべつな税金ぜいきんも使つかわれている東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさいの復興ふっこう事業じぎょうで不透明ふとうめいなカネの流ながれがあったということは極きわめて問題もんだいで、被災ひさい地ちの人ひとたちは腹立はらだたしいはずだ」と指摘してきしました。

そのうえで「ゼネコン業界ぎょうかいでは大おおきな金きんを動うごかす権限けんげんを持もつ発注はっちゅう者しゃと下請したうけ業者ぎょうしゃとの関係かんけいの中なかで裏金うらがねが発生はっせいしやすい構図こうずがあり、こうした事件じけんは再発さいはつしないともかぎらない。企業きぎょう内ないでのコンプライアンスや法令ほうれい順守じゅんしゅの教育きょういくをこれまで以上いじょうに徹底てっていし、業績ぎょうせきだけではなくモラルや行動こうどうの質しつなども評価ひょうかする企業きぎょう風土ふうどに変かえていくべきだ」と話はなしています。