
木村花さんの母 響子さん「さらなる改正に期待」

この中で響子さんは「今回の法改正は、ひぼう中傷による被害者の迅速な救済につながる大きな一歩だと思います。尽力くださった皆様には心から感謝を申し上げます」としています。
一方で、「被害者救済のためには、まだ十分であるとは思っておりません。まだまだ被害者が背負う精神的、経済的負担は大きいといえます。現在は、法的救済を受けるまでのハードルは極めて高い上に時間もかかります。法的救済を受けようとする間にも、次々にひぼう中傷は繰り返され、最初に求めた法的救済だけでは、実質的に被害者が救済されたことにならないこともあります。侮辱罪の厳罰化、SNS事業者に対する協力などの義務づけや罰則の創設など、さらなる改正に期待しています」としています。
去年6月以降、200件以上の投稿に対して、投稿者を特定するために仮処分の申し立てや裁判を起こしています。 はあちゅうさんは「人前に私生活を出すような仕事のしかたをしているので、それに対して悪い意見もあるのは当たり前で、それを受け止めるのが私の仕事だと思っていた。私をひぼう中傷する人たちがSNSや匿名掲示板でコミュニティー化してしまい日常的に嫌がらせを始めた。自宅の前で記念写真を撮られてネットに投稿されたり、ハッシュタグや匿名掲示板で、私が子どもを虐待しているかのような“児童虐待通報祭り”というのが行われ、実際に自宅に警察と児童相談所が2回来た。ネット上での被害にとどまらず、現実に生活を脅かされるような機会が何度もあったので、抑止の意味も込めて裁判に訴えようと決めた」と話しています。 また、「現時点では被害者側の分が悪く、法改正はすごくありがたいが、まだまだ最初の一歩だと感じている。現状では、ひぼう中傷については、『こういう被害がありました』とすべてをまとめて、自費で裁判を起こす必要がある。被害者の負担が大きすぎるのではないか」と話しています。
去年12月までの半年間に削除を求めた投稿は973にのぼり、このうち87%にあたる836の投稿が削除されたということです。 中にはSNSで掲載していた写真を悪用されて別のSNSでなりすまされ、侮辱されたというものやなりすまされて「コロナに感染した」などとうそを書き込まれたというものもあったということです。 また、この団体ではSNSの運営会社向けの対応指針をまとめ、明らかにひぼうや中傷にあたると判断できるケースでは、裁判の手続きをとらずに投稿した人の情報を開示するよう促しています。 セーファーインターネット協会の吉田奨 専務理事は、「表現の自由を守っていくためには、SNSの運営会社が自律的に対応することが大事だ。協会としてもより態勢を強化して、被害者や運営会社からの相談に応えられるような形にしたい」と話しています。
このうちフェイスブックは国内の利用者数が3300万人で匿名の利用者も多いSNS「インスタグラム」で、書き込まれたコメントにひぼう中傷につながる言葉など利用者が設定した言葉が含まれる場合、表示されなくなる機能や、自分の投稿にコメントを書き込める人を制限する機能などを設けています。
今回の法律についてフェイスブックは「改正後の規制に対応していく。利用者の安全は最重要課題で、対処するための効果的な解決策を検討すべく、政府や業界との協力を続けていく」とコメントしています。
今回の法律についてツイッターは「各国の法制度と自社のルールに従って適切なオペレーションに努めている。法改正後も、これまで同様、捜査機関などからの正式な照会依頼には迅速に対応していく」とコメントしています。
神田弁護士は「悪口を書かれた側ではなく、自分が書いたことは、ひょっとしたら悪口なんじゃないか、訴えられるんじゃないか、違法なことを書いてしまったんじゃないかと心配して相談に来る人がとても増えた。事件をきっかけに、一般の人が何気なくいろんなことを書いていたが、実は自分が書いていることが違法なことなんじゃないかと気づき始めたと言える」と指摘しています。 神田弁護士に寄せられる相談は、月ごとの件数でそれまでの5倍から10倍に増えたということです。 今回の法改正について、神田弁護士は「これまでは投稿者を特定するために2段階の設計になっていたが、それが1段階で済む。手続きの流れとしては、あまり変わらないが、若干楽になる、手続きが簡単になることが考えられる」としています。 神田弁護士によりますと、投稿者を特定するまでに、半年から、長いものだと1年程度かかっていましたが、新しい制度では海外の事業者であっても簡易に呼び出すことができるようになるため、迅速化が期待されるということです。 また、費用についても、これまでは40万円から60万円かかっていましたが、半額になる可能性もあるということです。 神田弁護士は「手続きで重要になるのは、サイトの管理者がどこの接続プロバイダーが使われているかを調べて、それを裁判所に知らせるところだ。新しい制度がうまく動いていくには、サイト管理者の協力が不可欠になる」と話しています。
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SNS運営会社の対応は
弁護士「サイト管理者の協力が不可欠」