おじいさん、おばあさんと不思議な声
山の茶店に、仲がいいおじいさんとおばあさんが住んでいました。おばあさんは「私が先に死んだら、焼かないで、押し入れに入れてください。おじいさんとずっと一緒にいたいから」と言いました。
おばあさんが病気で亡くなって、おじいさんは約束したとおりにしました。
その夜から、押し入れの中から「おじいさん、いる?」とおばあさんの声が聞こえました。おじいさんは怖くなって逃げましたが、おばあさんの声はどこまでも追いかけてきました。おじいさんは、道で倒れて亡くなりました。
おじいさんは、亡くなった人が行く川のそばで、おばあさんに会いました。おばあさんはうれしそうでした。おじいさんは「私はまだ生きたかったのに」と思いました。
閻魔様が「お前はまだ10年生きることになっている」と言って、おじいさんを生き返らせました。
10年が過ぎて、おじいさんは今度はちゃんと亡くなりました。閻魔様は、おじいさんが極楽に行くと話しました。おじいさんが道を歩いて行くと、茶店がありました。中には、おばあさんがいました。
おじいさんとおばあさんは「また一緒になれたなあ」と言って、喜びました。