日本新聞: ハチミツ二郎さん生死をさまよって「今の方が後遺症ひどい」

ハチミツ二郎じろうさん生死せいしをさまよって「今いまの方ほうが後遺症こういしょうひどい」

Jun 18, 2021 16:06 1

Furigana

「目めが覚さめたとき、“8日間にちかん寝ねてた”って言いわれたんですけど、そのとき流ながれていたテレビを見みて、ぞっとしました」

お笑おわらい芸人げいにんのハチミツ二郎じろうさんは、去年きょねん12月つき14日にちに新型しんがたコロナウイルスに感染かんせんしていることが分わかり、意識いしきを失うしなった状態じょうたいが8日間にちかん続つづきました。

目めが覚さめたあと、「もうすぐクリスマス」というニュースを見みて、がく然がくぜんとしたといいます。

およそ1か月かげつ間かん入院にゅういんして、現在げんざいは仕事しごとにも復帰ふっきしましたが、「退院たいいん直後ちょくごよりも、今いまの方ほうが後遺症こういしょうに悩なやまされている」と話はなす二郎じろうさん。

お世話おせわになった看護かんご師しやリハビリの先生せんせいから「コロナの怖こわさを伝つたえてほしい」と託たくされ、みずからの経験けいけんを公おおやけにしています。

「今いま思おもえば目めや鼻はなに手てを持もっていく癖くせが…」

お笑おわらいコンビ「東京とうきょうダイナマイト」のハチミツ二郎じろうさん（46）。

3年ねん前まえ、体調たいちょう不良ふりょうをおして仕事しごとに向むかい、急性きゅうせい肺炎はいえんによる急性きゅうせい心不全しんふぜんになったことがあり、感染かんせんには人一倍ひといちばい、気きを遣やっていたといいます。

ハチミツ二郎じろうさん

「倒たおれてからは2か月かげつに1回かい定期ていき検診けんしんを受うけているのですが、血糖けっとう値ちも高たかいので、主治医しゅじいには『二郎じろうさん、コロナにかかったら必かならず重症じゅうしょう化かするよ』と言いわれていました。うがい、手洗てあらい、マスクの着用ちゃくようを徹底てっていして、外出がいしゅつもほとんどしなかった。今いま思おもえば、目めや鼻はなに手てを持もっていく癖くせがあるので、原因げんいんといえばそれくらいかなと思おもいます」

感染かんせん発覚はっかく後ごに保健所ほけんじょに予測よそくしてもらった感染かんせん日びと前後ぜんごの3日間にちかんは、家いえから一いち歩ほも出でていなかったそうです。

念ねんのため購入こうにゅうしていた「パルスオキシメーター」で

去年きょねん12月つき13日にち、風邪かぜのような症状しょうじょうが出で始はじめました。

症状しょうじょうが軽かるかったので普段ふだん通とおり過すごしていると、翌日よくじつの昼ひる頃ごろ、40度ど近ちかくまで急激きゅうげきに熱ねつがあがりました。

しかし、市販しはんの解熱剤げねつざいで熱ねつは下さがり、症状しょうじょうもほとんどなかったといいます。

このとき、二郎じろうさんは血液けつえき中ちゅうの酸素さんその値ねを見みる「パルスオキシメーター」で、酸素さんそをどの程度ていど取り込とりこめているかを示しめす『酸素さんそ飽和ほうわ度ど』を計はかり、主治医しゅじいに相談そうだんしていました。

3年ねん前まえの入院にゅういんの際さいに毎日まいにち検査けんさしていたことから、念ねんのため購入こうにゅうしていました。

酸素さんそ飽和ほうわ度どの正常せいじょう値ちは96％以上いじょうとされ、厚生こうせい労働ろうどう省しょうの「診療しんりょうの手引てびき」では、93％以下いかでは酸素さんそ吸入きゅうにゅうが必要ひつようとしています。

この日ひの夜よるの二郎じろうさんの値ねは、88％まで下さがっていました。

主治医しゅじいに伝つたえると、「コロナと関係かんけいなくても、救急きゅうきゅう車しゃで運はこばれるレベルだ」と言いわれ、急いそいで救急きゅうきゅう隊たいを呼よんだといいます。

ハチミツ二郎じろうさん

「体調たいちょうはそこまで悪わるくなかったので、もし酸素さんそ飽和ほうわ度どを計はかっていなかったら、そのまま寝ねていたかもしれません。よく『前日ぜんじつまで保健所ほけんじょとやり取やりとりしていたけど、翌日よくじつ連絡れんらくがなくなる』というケースを聞きくじゃないですか。自分じぶんも、坂道さかみちを下くだるように体調たいちょうが急変きゅうへんしていたかもしれない。パルスオキシメーターが、運命うんめいを左右さゆうしました」

次つぎに目めが覚さめたのは8日にち後ご

病院びょういんに運はこばれたあとは、人工じんこう呼吸こきゅう器きを使つかうために全身ぜんしん麻酔ますいを受うけ、そのまま意識いしきを失うしないました。

次つぎに目めが覚さめたのは8日にち後ご。

年の瀬としのせも迫せまる、12月つき22日にちでした。

意識いしきを失うしなっていた8日間にちかんで体重たいじゅうは20キロ減へり、手足てあしの筋肉きんにくが落おちて立ち上たちあがることすらできなくなっていました。

リハビリを続つづけながら回復かいふくするのを待まちましたが、体内たいないのウイルスの量りょうがなかなか退院たいいん基準きじゅんまで減少げんしょうせず、長ながい入院にゅういん生活せいかつを余儀よぎなくされました。

手てのしびれや倦怠けんたい感かん…「今いまのほうがひどい」

隔離かくりされた病棟びょうとうで家族かぞくにも会あえない日々ひびが続つづき、退院たいいんできたのは、年としが明あけた1月つき15日にちでした。

ハチミツ二郎じろうさんは退院たいいんから5か月かげつほどたった今たったいまも、手てのしびれや倦怠けんたい感かんといった症状しょうじょうに悩なやまされています。

しかも、退院たいいん直後ちょくごよりもひどくなっているといいます。

ハチミツ二郎じろうさん

「200メートルも歩あるいたら息いきが切きれます。歩あるいただけなのに、なぜか腕うでがすごい筋肉きんにく痛つうになるんです。どうきと息切いきぎれの原因げんいんは心臓しんぞうかと思おもって診みてもらったのですが、問題もんだいが無なかった。だから、コロナの後遺症こういしょうなんだろうなと思おもいます。IT系けいの会社かいしゃでの仕事しごともしているんですけど、もし通勤つうきんしなければならないと言いわれたら、しんどかったと思おもいます」

芸人げいにんとして若者わかものに伝つたえたい

当初とうしょは、新型しんがたコロナウイルスに感染かんせんしたことを公表こうひょうするか迷まよっていたというハチミツ二郎じろうさん。

しかし、看護かんご師しやリハビリを担当たんとうした先生せんせいから「芸人げいにんさんなので、ぜひ若わかい人ひとに向むけてメッセージを送おくってほしい」と託たくされ、みずからの体験たいけんを詳細しょうさいにブログにつづりました。

今いまは、SNSで直接ちょくせつやりとりする「ダイレクトメッセージ」を通をつうじて、コロナ患者かんじゃやその親族しんぞくからの相談そうだんに乗のっているといいます。

ハチミツ二郎じろうさん

「若わかい人ひとが感染かんせんしても、おそらく平気へいきなんです。ひとり暮くらしで自粛じしゅく生活せいかつが長引ながびくと、彼女かのじょに会あいにいくかもしれない、友達ともだちどうしで集あつまるかもしれない。でもその先さきで広ひろがるかもしれないのがコロナウイルス。『あなたは大丈夫だいじょうぶですけど、あなたとすれ違すれちがった人ひとが死しぬかもしれない』ということを伝つたえたいです。相談そうだんを受うけていて思おもうのは、連絡れんらくを取とれるようにしておいたほうがいいということ。もしおじいちゃんがひとり暮くらしなら、全然ぜんぜん元気げんきでも毎日まいにち電話でんわする。1人にんで暮くらしている人ひとがいれば、LINEでもいいから“大丈夫だいじょうぶか”とか、“何なにかあったら言いえ”とか、こまめに連絡れんらくした方ほうがいいと思おもいます」