中古車販売会社「ビッグモーター」の
店舗前の
街路樹伐採事件で、
伐採を
指示したとして
逮捕された
本社の
社員は、
各地の
店舗を
巡回点検する
立場を
唯一担い、
現場の
店舗に対して一定の
影響力を
持っていたことが
警察などへの
取材でわかりました。
点検の
成績などがよくなければ
降格処分につながったという
指摘もあり、
警察は
影響力を
背景に
伐採を
指示していたとみて
調べています。
「ビッグモーター」の社員の蒲原敏之容疑者(51)は、本社に勤務していた2年前、川崎市の「川崎店」の前の街路樹を伐採するよう指示したとして器物損壊の疑いで逮捕されました。
容疑者は当時、各地の店舗を巡回点検する「環境整備推進委員」の立場を唯一担い、現場の店舗に対して一定の影響力を持っていたことが警察などへの取材でわかりました。
会社が設置した特別調査委員会がまとめた報告書では、清掃や整理整頓など「環境整備点検」の成績や対応がよくなければ、降格処分につながっていたと指摘されています。
このなかで「本部の部長や次長らが事前にわざわざ対象店舗に訪れ、状況を確認して経営陣による本番の点検に備えることもあった」とか「修理作業をそっちのけにしながら、数日かけて清掃や整理整頓を行っていた」というケースが紹介されています。
容疑者もみずから店舗を直接訪れることがあったということで、警察は本社側の影響力を背景に伐採を指示していた疑いがあるとみて、さらに調べることにしています。
被害状況と逮捕の経緯
神奈川県内ではビッグモーターの店舗のうち
▽川崎市にある「川崎店」
▽平塚市の「平塚四之宮店」
▽藤沢市の「藤沢店」の
合わせて3店舗の前で街路樹が伐採されたり、除草剤がまかれりしたことがわかっています。
このうち今回、川崎店の前の街路樹の被害について、神奈川県警察本部が最初に立件した背景には、伐採について、本社側の具体的な指示があったと判断したためとみられます。
川崎店の前ではオオムラサキツツジ6本が切断されているのが見つかりましたが、去年8月、ビッグモーター側は街路樹を管理する川崎市に対し「本社の『環境整備推進委員』が店長に伐採を指示した」などと、説明していました。
店長がさらに従業員に指示して切られたとみられています。
会社関係者のこうした説明や一連の捜索で押収した業務の記録をもとに、警察は、本社の「環境整備推進委員」を当時、担っていた容疑者が伐採を指示した疑いがあるとみて逮捕に踏み切りました。
全国各地のビッグモーターの店舗前で木が伐採されたり、除草剤がまかれたりしたことをめぐって、逮捕者が出るのは今回が初めてで、警察は指示の実態を解明する必要があると判断したとみられます。
一方、神奈川県内では除草剤がまかれて枯れたとみられる平塚市と藤沢市の店舗前の街路樹についても、神奈川県から告訴状が出されています。
警察は除草剤と枯れたことの因果関係を調べるなど引き続き、捜査を進めることにしています。