「母乳ぼにゅうバンク」愛知あいち 豊明とよあけに開設かいせつへ 国内こくない3か所かしょ目め 東京とうきょう以外いがいで初はつ

現在げんざい、国内こくないでは2か所かしょが稼働かどうしていますが、いずれも都内とないにあるため、日本にっぽん母乳ぼにゅうバンク協会きょうかいは災害さいがい時じなどに備そなえ東京とうきょう以外いがいにも分散ぶんさんして設置せっちする必要ひつようがあるとして、クラウドファンディングで資金しきんを集あつめるなど準備じゅんびを進すすめてきました。

運営うんえいにはすでに都内とないで稼働かどうしている「日本にっぽん財団ざいだん母乳ぼにゅうバンク」が協力きょうりょくし、ドナーから集あつめた母乳ぼにゅうを低温ていおん殺菌さっきん処理しょりして送おくり、新あらたな母乳ぼにゅうバンクで冷凍れいとう保管ほかんする予定よていです。

そして、通常つうじょう時じは東海とうかい地方ちほう、災害さいがいなどで都内とないの母乳ぼにゅうバンクが稼働かどうできない緊急きんきゅう時じには全国ぜんこくの医療いりょう機関きかんにドナーミルクを送おくるということです。

母乳ぼにゅうの提供ていきょうには高たかい安全あんぜん性せいが求もとめられるため、国際こくさい的てきな基準きじゅんに基もとづいて運用うんようされ母乳ぼにゅうの提供ていきょう者しゃは、特定とくていの施設しせつで血液けつえき検査けんさなどを受うけたうえでドナー登録とうろくをして母乳ぼにゅうを提供ていきょうします。

提供ていきょうしてもらった母乳ぼにゅうは低温ていおん殺菌さっきん処理しょりし、細菌さいきん検査けんさなどをしたうえで母乳ぼにゅうバンクで冷凍れいとう保管ほかんします。

早産そうざんなどで1500グラム未満みまんの体重たいじゅうで生うまれた赤あかちゃんは「極ごく低てい出生しゅっしょう体重たいじゅう児じ」と呼よばれ、感染かんせん症しょうや病気びょうきにかかるリスクが高たかいとされています。

母乳ぼにゅうはそのリスクを減へらす効果こうかがあるとされ、生死せいしにかかわる腸ちょうの一部いちぶが“え死し”してしまう病気びょうきについては、人工じんこうミルクに比くらべ発症はっしょうリスクをおよそ3分ぶんの1に低下ていかさせられるという研究けんきゅう結果けっかもあります。

しかし、早産そうざんなどの場合ばあい、母親ははおやは体調たいちょうがすぐれず、母乳ぼにゅうが出でないことも少すくなくないため、ドナーを募つのって確保かくほしておく必要ひつようがあるのです。

水野みずのさんは活動かつどうを広ひろげるため「日本にっぽん母乳ぼにゅうバンク協会きょうかい」を設立せつりつ。

しかし、昭和しょうわ大学だいがく江東こうとう豊洲とよす病院びょういんの母乳ぼにゅうバンクは新型しんがたコロナウイルスの感染かんせん拡大かくだいの影響えいきょうで、去年きょねん3月つきに閉鎖へいさされました。

現在げんざい、国内こくないで稼働かどうしているのはいずれも東京とうきょう 中央ちゅうおう区くにあり、おととし、ベビー用品ようひん大手おおての「ピジョン」に開設かいせつされた「日本橋にほんばし母乳ぼにゅうバンク」と、ことし4月つきに日本にっぽん財団ざいだんの助成じょせいを受うけて開設かいせつされた「日本にっぽん財団ざいだん母乳ぼにゅうバンク」の2か所かしょとなっています。

厚生こうせい労働ろうどう省しょうも母乳ぼにゅうバンクの効果こうかの検証けんしょうや、全国ぜんこく展開てんかいに向むけた運用うんよう基準きじゅんやマニュアルの作成さくせいなどを支援しえんする事業じぎょうを令りょう和わ2年度ねんどから始はじめています。

一方いっぽうで母乳ぼにゅうバンクの利用りよう者しゃも少すこしずつ増ふえていて、昨年度さくねんどは、前まえの年度ねんどより157人にん多おおい360人にんの赤あかちゃんにドナーミルクを提供ていきょうしたということです。

そのためには需要じゅようと供給きょうきゅうの両面りょうめんで課題かだいがあり、ことし9月末げつまつ現在げんざいで母乳ぼにゅうバンクのドナー登録とうろくができるのは12都道とどう府県ふけんの17施設しせつにとどまり、ドナー登録とうろくが難むずかしい地域ちいきがありドナーミルクを確保かくほできる量りょうが限かぎられるという課題かだいがあります。

一方いっぽう、ドナーミルクを利用りようした医療いりょう機関きかんは全国ぜんこくの67施設しせつで、医療いりょう関係かんけい者しゃや保護ほご者しゃの認知にんち度どを高たかめるための周知しゅうちや運用うんよう面めんの支援しえんも求もとめられています。

また、国内こくないに2か所かしょある母乳ぼにゅうバンクはいずれも都内とないにあり、災害さいがい時じなどに提供ていきょうが難むずかしくなるリスクがあるため、日本にっぽん母乳ぼにゅうバンク協会きょうかいがクラウドファンディングで資金しきんを募つのるなどして東京とうきょう以外いがいの場所ばしょでの開設かいせつに向むけ準備じゅんびを進すすめていました。

出生しゅっしょう時じの体重たいじゅうは、わずか1224グラム。

感染かんせん症しょうや病気びょうきにかかるリスクが高たかいとされる「極ごく低てい出生しゅっしょう体重たいじゅう児じ」でした。

母親ははおやのみずきさんは、妊娠にんしん29週しゅう目めで突然とつぜん、腹痛はらいたに襲おそわれ、大学だいがく病院びょういんに救急きゅうきゅう搬送はんそうされ、そのまま帝王ていおう切開せっかいで出産しゅっさんすることになりました。

予定よてい日びより3か月かげつ近ちかく早はやい出産しゅっさんでした。

出産しゅっさん直後ちょくご、みずきさんは体調たいちょう不良ふりょうから十分じゅうぶんな量りょうの母乳ぼにゅうをあげることができませんでした。

こうした中なか、医師いしからは蒼あおい波なみくんの感染かんせん症しょうや病気びょうきにかかるリスクを減へらす効果こうかが期待きたいできるとして、母乳ぼにゅうバンクの利用りようを提案ていあんされました。

聞きき慣なれないことばに当初とうしょ、みずきさんは戸惑とまどいましたが医師いしの説明せつめいを受うけて、夫おっとの久ひささんとともに母乳ぼにゅうの大切たいせつさを知しり、生うまれてから3日にち目めまでドナーミルクを提供ていきょうしてもらいました。

その後そのご、母乳ぼにゅうが十分じゅうぶんに出でるようになり生うまれてから6日にち目めに撮影さつえいされた写真しゃしんでは蒼あおい波なみくんが綿棒めんぼうにしみ込しみこませたみずきさんの母乳ぼにゅうを口くちに含ふくんでいます。

蒼あおい波なみくんは3か月かげつ間かん入院にゅういんしたあと退院たいいんし、2歳さい5か月かげつとなった今いまでは体重たいじゅうが10キロを超こえ、取材しゅざいに訪おとずれた時ときも大好だいすきな車くるまのおもちゃで遊あそび、元気げんきな様子ようすで過すごしていました。