警察に勤務する唯一の女性「捜査管理官森久佐が歩んだ道
社会の側面から警察は往々にして「男性中心の職場」と見なされる中、2023年春、福岡県警南署の森久佐警部(53歳)が、福岡県警における初の女性捜査管理官として就任した。この出来事は単なる昇進に留まらず、従来の価値観を揺るがす象徴的な出来事としても捉えられている。本記事では、彼女がどのような道を歩み、また捜査に対してどれほどの情熱を抱いてきたのかを紹介し、警察組織の変化や多様性についても考察する。
森警部は、幼少期に警察官であった父親の姿に影響を受け、早くから警察官になることを夢見ていた。小さい頃から制服に憧れ、人気ドラマ『あぶない刑事』の主人公さながらの活躍を夢見ていたのである。しかし、父親はその願いに反対だった。
にもかかわらず、森警部は夢を諦めることなく、志を貫き、1994年に福岡県警の採用試験に合格した。この年から男女共学となった警察学校に入校し、彼女の新たな挑戦が始まった。
1996年には、福岡県警生活安全部(現・薬物・違法武器対策課)で女性として初めての捜査員に任命される。
その後、南署や博多署に異動し、2004年には第1捜査課で重大事件の捜査を担当した。性犯罪事件に関しては、10年以上にもわたり、被害者の心の傷は決して消えないことを痛感し、警察の役割は犯人を逮捕することだけでなく、被害者が再び平穏な日常を取り戻すまで支えることであると考えるようになった。
森警部が自身の職責の意味を深く実感したのは、ある性犯罪の被害者の家を訪問したときだった。男性の警察官では開かなかったドアを、優しい声をかけた途端に開けてくれた被害者の涙ながらの反応は、警察官としての意義や責任に気付かせる瞬間であった。彼女にとって、被害者が人生の新たな一歩を踏み出し、幸せな報告をしてくれることこそが最大の「報酬」となったのである。
2025年4月時点で、福岡県警における女性警察官の比率は11%に達しており、目標を上回る成果を挙げている。森警部は「性別が捜査能力を決めるものではなく、逆に女性であるからこそ得られる視点がある」と強調する。出産や育児休業中に乳がんが発覚したが、療養を経て復帰し、仕事と家庭を両立させている。
「性別を理由に諦める必要はない」と語る彼女の言葉は、多くの人々に勇気を与えることだろう。
その長い道のりを支えてくれた同僚や上司への感謝を述べた森警部は、今後も人々の安全を守り、苦難に直面した人が安心して夜を迎えられる社会を築くという強い信念を胸に、警察の新たな時代を切り拓き続ける。