誇大こだいネット広告こうこくで不適切ふてきせつな債務さいむ整理せいりに サポート団体だんたい立たち上あげへ

オンラインで開ひらかれた「大量たいりょう広告こうこく事務所じむしょによる債務さいむ整理せいり二に次じ被害ひがい対策たいさく全国ぜんこく会議かいぎ」の立たち上あげ準備じゅんび会かいには、多重たじゅう債務さいむの問題もんだいに詳くわしい弁護士べんごしや支援しえん者しゃなどおよそ20人にんが参加さんかしました。

会合かいごうでは、ネットの広告こうこくから2つの法律ほうりつ事務所じむしょに債務さいむ整理せいりを依頼いらいしたという30代だいの男性だんせいが「結局けっきょく、借金しゃっきんは減へらなかった上うえ、結果けっか的てきに借金しゃっきんの額がくよりも多おおい50万まん円えん以上いじょうの費用ひようを求もとめられ、生活せいかつが苦くるしくなり、ヤミ金きんで新あらたな借金しゃっきんを抱かかえてしまった」と自分じぶんの経験けいけんを話はなしました。

債務さいむ整理せいりを行おこなう場合ばあい

▽債権さいけん者しゃと交渉こうしょうして支払しはらい可能かのうな額がくを毎月まいつき支払しはらう「任意にんい整理せいり」や

▽債務さいむを免除めんじょしてもらうために裁判所さいばんしょで行おこなう「破産はさん手続てつづき」などの方法ほうほうがありますが

依頼いらいされた弁護士べんごしや司法しほう書士しょしは債務さいむ者しゃの生活せいかつ実態じったいに合あわせた支援しえんが求もとめられています。

しかし、準備じゅんび会かいによりますと、去年きょねん、多重たじゅう債務さいむ者しゃの支援しえん団体だんたいに対にたいして行おこなったアンケート調査ちょうさでは、ネット広告こうこくなどから誘導ゆうどうされた法律ほうりつ事務所じむしょに依頼いらいしたところ、本来ほんらい、「破産はさん手続てつづき」をすべき状況じょうきょうにもかかわらず「任意にんい整理せいり」に誘導ゆうどうされ、より負担ふたんが増ふえたなどといった相談そうだん事例じれいが、直近ちょっきんで37人にんから寄よせられていたということです。

相談そうだんの内訳うちわけでは、債務さいむ者しゃにとって

▽借金しゃっきんが減へらなかったという事例じれいが18件けん

▽事務所じむしょへの支払しはらいで新あらたな負債ふさいを抱かかえた事例じれいが14件けんあったということです。

また、37人にんのうち30人にんが弁護士べんごしや司法しほう書士しょしに直接ちょくせつ会あわずに、ネット上じょうで手続てつづきが進すすめられたということです。

準備じゅんび会かいを開ひらいた日弁連にちべんれんの消費しょうひ者しゃ問題もんだい対策たいさく委員いいん会かい多重たじゅう債務さいむ部会ぶかいの部会ぶかい長ちょうをつとめる三上みかみ理さとし 弁護士べんごしは「ネット広告こうこくから弁護士べんごしなどに依頼いらいして、きちんと面談めんだんや説明せつめいを受うけず、結局けっきょく解決かいけつにならなかった人ひとの相談そうだんを受うけていきたい。『国くにが認みとめた借金しゃっきん救済きゅうさい制度せいど』など、誤解ごかいを生うむようなものがあふれているので、ネット広告こうこくの在り方ありかたを問とうていきたい」と話はなしていました。

この団体だんたいは3月つきに発足ほっそくし、無料むりょうの電話でんわ相談そうだん会かいを開ひらくことにしています。

被害ひがい者しゃ「違和感いわかんあっても そういうものだと思おもった」

インターネットの広告こうこくから「借金しゃっきんを減へらせる」と誘導ゆうどうされ、依頼いらいした弁護士べんごしに高額こうがくな着手ちゃくしゅ金きんを支払しはらったうえ、借金しゃっきんは減へらずに、負担ふたんが増ふえたと訴うったえる40代だいの女性じょせいに話はなしを聞ききました。

女性じょせいは生活せいかつ費ひのため、消費しょうひ者しゃ金融きんゆうから65万まん円えんを借かりていましたが、去年きょねん3月つき、インターネットの動画どうが配信はいしんサイトで見みた広告こうこくから、借金しゃっきんが減へるか無料むりょう診断しんだんできるウェブサイトに誘導ゆうどうされ、借金しゃっきん額がくや連絡れんらく先さきなどを入力にゅうりょくしたところ、都内とないの弁護士べんごし事務所じむしょから連絡れんらくが来きました。

そして、毎月まいつき、積立つみたて金きんを振り込ふりこむよう言いわれ、8か月かげつでおよそ13万まん円えんを払はらったということです。

その後そのご、消費しょうひ者しゃ金融きんゆうとの示談じだんの結果けっか、借金しゃっきんが減へることはなく、弁護士べんごし事務所じむしょとの契約けいやくを解除かいじょしましたが、積立つみたて金きんだと言いわれて払はらってきたお金おかねは着手ちゃくしゅ金きんだったとして返還へんかんされなったということです。

弁護士べんごし事務所じむしょとはネットのやりとりだけで、直接ちょくせつ会あわずに契約けいやくをしたというとです。

女性じょせいは「いかにも借金しゃっきんが減へった体験たいけん談だんのような動画どうがの広告こうこくを信しんじ、違和感いわかんがあっても弁護士べんごしが言いうならそういうものなのだろうと思おもってしまいました。人ひとをだますような弁護士べんごしや広告こうこくはなくなってほしいです」と話はなしています。

女性じょせいは別べつの司法しほう書士しょし事務所じむしょに相談そうだんして、破産はさん申請しんせいを進すすめることにしているということです。

相談そうだんを受うけた多重たじゅう債務さいむ者しゃの支援しえんをしている市民しみん団体だんたい「全国ぜんこくクレサラ・生活せいかつ債権さいけん問題もんだい被害ひがい者しゃ連絡れんらく協議きょうぎ会かい」の事務じむ局きょく次長じちょうで、司法しほう書士しょしの新川しんかわ眞一しんいちさんは「女性じょせいが依頼いらいした事務所じむしょは長期ちょうきの任意にんい整理せいりをしても本人ほんにんの借金しゃっきんが減へらないと分わかっているはずなのに、あえて示談じだんをさせるビジネスモデルを作り上つくりあげていると考かんがえられる。大量たいりょう集客しゅうきゃくのツールになっているネット広告こうこくの中なかには詐欺さぎまがいのものがあり、業界ぎょうかいをあげて対策たいさくしなければなりません」と話はなしていました。

弁護士べんごしの誇大こだい広告こうこく 懲戒ちょうかい処分しょぶんの事例じれいも

弁護士べんごしによる誇大こだい広告こうこくが懲戒ちょうかい処分しょぶんにあたると判断はんだんされる事例じれいも出でています。

千葉ちば県けん弁護士べんごし会かいは投資とうし詐欺さぎやロマンス詐欺さぎの被害ひがい救済きゅうさいで

▽「すべてお任まかせ頂いただければ丸まるっと解決かいけついたします」などとうたい

▽消費しょうひ者しゃ庁ちょうや金融きんゆう庁ちょうのロゴマークをつけてネット広告こうこくを出だしていたのは、日弁連にちべんれんの規程きていで禁止きんしされている「誇大こだい広告こうこくや過度かどな期待きたいを抱いだかせる広告こうこく」にあたる可能かのう性せいがあるなどとして、

70代だいの弁護士べんごしに対にたいして、去年きょねん6月つき、懲戒ちょうかい処分しょぶんに値あたいすると判断はんだんし、処分しょぶんの内容ないようを審査しんさしています。

広告こうこくについて消費しょうひ者しゃからの意見いけんを集あつめている日本にっぽん広告こうこく審査しんさ機構きこう＝JAROによりますと、法律ほうりつ事務所じむしょなどの相談そうだん業務ぎょうむの広告こうこくについての苦情くじょうが去年きょねんまでの3年間ねんかん、毎年まいとし、およそ200件けん寄よせられていて、中なかには「お金おかねが返かえってくるかのような表現ひょうげんがまぎらわしい」など内容ないように関にかんするものもあるということです。