1月の地震で被災した住民が暮らす輪島市の仮設住宅の団地では、記録的な大雨で5か所が床上浸水の被害を受けました。
県はこのうちの2か所について、年内をめどに再び入居できるように復旧工事を進める方針で、工事に向けた準備が30日から始まりました。
このうち、市中心部の「宅田町第2団地」は142棟すべてで浸水の被害が出ていて、市の職員が貴重品などを部屋に残していないかや、電気などの契約を解約したかを確認した上で、住民から部屋の鍵を受けとっていました。
県や輪島市などによりますと、この仮設住宅で暮らす住民は避難所や知り合いの家などに避難していて、一時的に退去する手続きを終えた後に復旧工事に向けた調査を始めることにしています。
仮設住宅で暮らす51歳の男性は「不安はありますが、一緒に暮らす母親が通院している病院も近いので、復旧が終わったらこの仮設住宅で再び暮らす予定です」と話していました。
一方で65歳の男性は「雨が降るたびに怖いと思うのでもうこの仮設住宅に戻るつもりはありません」と話していました。
県によりますと輪島市にあるほかの3か所の仮設住宅の団地についても復旧させる方針ですが、具体的な時期のめどは立っていないということです。
安否不明の人たちの捜索続く
また輪島市では、今も連絡が取れず安否がわからない人たちの捜索が続けられています。
輪島市久手川町の塚田川周辺では今月21日の記録的な大雨で川が氾濫して住宅4軒が流され、中学3年生の喜三翼音さんなどの安否がわかっていません。
30日も午前6時ごろから警察や消防、自衛隊などがおよそ300人の態勢で、塚田川の上流から海岸付近にかけて捜索を続けています。
隊員たちは流木やがれきを撤去したり、スコップで土砂を取り除いたりしながら捜索にあたっていました。
喜三さんの自宅からおよそ500メートル下流では、流木などをクレーンで移動させて手がかりをさがしているほか、災害救助犬による捜索も行われています。
警察や県によりますと、記録的な大雨で能登地方ではこれまでに13人の死亡が確認されていて、29日午後の時点で能登町で1人が災害に巻き込まれたおそれがあり行方不明になっているほか、輪島市の3人といまも連絡が取れず、安否がわかっていません。
30日の捜索は日没ごろまで続けられる予定です。