日本新聞: フェンシング女子フルーレ団体日本が銅メダルパリ五輪

パリオリンピック、フェンシング女子じょしフルーレ団体だんたいの3位い決定けってい戦せんが行おこなわれ、日本にっぽんはカナダに1点てん差さで勝かち、フェンシングの女子じょしで初はじめてとなる銅メダルどうめだるを獲得かくとくしました。

フェンシングの団体だんたいは1チーム3人にんずつが総そう当あたりで戦たたかい、9回かいの対戦たいせんで、合計ごうけいのポイントが多おおかったチームか、先さきに45点てんを取とったチームが勝かちとなります。

東あずま晟あきら良りょう選手せんしゅ、上野うえの優ゆう佳けい選手せんしゅ、宮脇みやわき花はな綸選手せんしゅ、それにリザーブの菊池きくち小巻こまき選手せんしゅのメンバーで臨のぞんだ日本にっぽんは、3位い決定けってい戦せんで世界せかいランキング6位いのカナダと対戦たいせんしました。

試合しあいは序盤じょばんから両りょうチームがポイントを取り合とりあう互角ごかくの展開てんかいが続つづきましたが、途中とちゅうから宮脇みやわき選手せんしゅに替かわって登場とうじょうした、オリンピック初はつ出場しゅつじょうとなるリザーブの菊池きくち選手せんしゅが、積極せっきょく的てきな攻せめでリードを奪うばいます。

その後そのご、日本にっぽんは5ポイントにまでリードを広ひろげますが、徐々じょじょにカナダに差さを縮ちぢめられ、最終さいしゅうの第だい9試合しあいで1ポイント差さにまで詰め寄つめよられます。

ただ、最後さいごはチーム最年少さいねんしょうの上野うえの選手せんしゅが1ポイントを守まもりきり、32対たい33で勝かって、フェンシングの女子じょしで初はじめてとなる銅メダルどうめだるを獲得かくとくしました。

▽金メダルきんめだるはアメリカ、

▽銀メダルぎんめだるはイタリアでした。

“最高さいこうすぎます”

フェンシングでは、日本にっぽん女子じょし初はつのメダルを獲得かくとくした女子じょしフルーレ団体だんたいの選手せんしゅたちは満面まんめんの笑えみでインタビューエリアにあらわれ、「最高さいこうすぎます！」などと喜よろこびを語かたりました。

菊池きくち「チームを盛り上もりあげたい一心いっしんで戦たたかった」

団体だんたいのリザーブメンバーで、3位い決定けってい戦せんで途中とちゅう出場しゅつじょうして試合しあいの流ながれを呼び込よびこんだ菊池きくち小巻こまき選手せんしゅは「私わたしはここで出でるしかない、ここが本番ほんばんだと思おもっていたので、いいポイントをとってチームを盛り上もりあげたいというその一心いっしんで戦たたかった」と充実じゅうじつした表情ひょうじょうで話はなしていました。

上野うえの「メダル獲得かくとくしか目標もくひょうにしていなかった」

試合しあい時間じかん残のこりわずかで1ポイント差さのリードを守まもり切きった上野うえの優ゆう佳けい選手せんしゅは「怖こわかった。でもチームのみんなが信しんじてくれていたので勝かちきるだけと戦たたかった。メダル獲得かくとくしか目標もくひょうにしていなかったので本当ほんとうにうれしい」と興奮こうふんした様子ようすでした。

東ひがし「言葉ことばにあらわせられないくらいうれしい」

チームの中心ちゅうしんメンバーとして大おおきく貢献こうけんした東あずま晟あきら良りょう選手せんしゅは、「めちゃくちゃうれしい。グランパレで試合しあいが出来できること自体じたいが幸しあわせなのにメダルを持もって帰かえれるなんて言葉ことばにあらわせられないくらいうれしい」と笑顔えがおで答こたえていました。

宮脇みやわき「チームメイトに感謝かんしゃしたい」

初戦しょせんのポーランド戦せんで得点とくてんを重かさね劣勢れっせいのチームを救すくった宮脇みやわき花はな綸選手せんしゅは「私わたしが日本にっぽん代表だいひょうに入はいったときはオリンピックに出でるのが目標もくひょうでメダルなんて考かんがえられない状況じょうきょうだったが、フランス人じんのボアダンコーチが来きてみんなが強つよくなり実現じつげんしたメダル。チームメイトに感謝かんしゃしたい」と誇ほこらしい表情ひょうじょうで話はなしていました。

フランクコーチ「個人こじん戦せんの悔くやしさが団体だんたいの結果けっかに」

2017年ねんから日本にっぽん代表だいひょうのコーチに就任しゅうにんして、女子じょしフルーレの選手せんしゅたちを世界せかいトップクラスに導みちびいてきたフランス人じんのフランク・ボアダンコーチは「彼女かのじょたちはすごく努力どりょく家かで真面目まじめだ。日々ひび、自分じぶんたちの全すべてを出だすよう努力どりょくを惜おしまない。個人こじん戦せんで敗やぶれた悔くやしさが団体だんたいの結果けっかにつながった」と選手せんしゅたちをたたえました。

3位い決定けってい戦せんの戦たたかいぶりについては「カナダとはオリンピックの前まえも2回かい対戦たいせんしたが、毎回まいかい接戦せっせんになる。相手あいてはディフェンス寄よりの試合しあい展開てんかいが多おおい選手せんしゅたちで、日本にっぽんの選手せんしゅたちには攻せめに出でつつもできるだけ向むこうの攻撃こうげきを受うけないよう指示しじをした。上野うえの選手せんしゅが鋼はがねの足あしで最後さいごを耐たえきってくれたのが勝因しょういんだ」と振り返ふりかえりました。

そのうえで、就任しゅうにん当初とうしょは選手せんしゅたちをおとなしい“パンダ”にたとえて勝利しょうりへの執念しゅうねんを持もつよう促うながしてきたことを問とわれると、「パンダの時代じだいはとっくの昔むかしに終おわった。選手せんしゅたちは本当ほんとうにきれいな4匹ひきの虎とらになった」と笑えみを浮うかべていました。

菅原すがわらコーチ「メダルを取とる瞬間しゅんかんに立ち会たちあえて感激かんげき」

女子じょしフルーレの選手せんしゅとしてオリンピック3大会たいかいに出場しゅつじょうし、現在げんざいはコーチを務つとめる菅原すがわら智恵子ちえこさんは、3位い決定けってい戦せんの途中とちゅうでリザーブメンバーの菊池きくち小巻こまき選手せんしゅを投入とうにゅうしたねらいについて、「左ひだりききの菊池きくち選手せんしゅは左ひだりききの相手あいてに強つよい。カナダは左ひだりききの選手せんしゅが多おおかったので、そこで投入とうにゅうしようというのは話はなしをしていた。すごく調子ちょうしがよくて自信じしんを持もって送り出おくりだせた」と話はなしていました。

そのうえで、「この種目しゅもくで、初はじめてメダルを取とる瞬間しゅんかんに立ち会たちあえてすごく感激かんげきしている。大変たいへんなこともいっぱいあったがメダルをとれて全部ぜんぶが吹き飛ふきとんだ。自分じぶんが現役げんえき時代じだいにメダルが取とれず悔くやしい思おもいをしたが、選手せんしゅたちが叶かなえてくれた」と、教え子おしえごたちをたたえていました。

女子じょし初はつ出場しゅつじょうから60年ねん競技きょうぎの本場ほんばで歴史れきし塗り替ぬりかえる快挙かいきょ

ヨーロッパが競技きょうぎの本場ほんばのフェンシング。

長年ながねん、日本にっぽんの女子じょし選手せんしゅたちは世界せかいの厚あつい壁かべに跳ね返はねかえされてきました。

日本にっぽん女子じょしとしての初はじめてのオリンピック出場しゅつじょうは1964年ねんの東京とうきょう大会たいかいで、女子じょしフルーレの個人こじんと団体だんたいに出場しゅつじょうしましたが、いずれも予選よせん敗退はいたいでした。

その後そのごも女子じょしフルーレを中心ちゅうしんに大会たいかい出場しゅつじょうを続つづけましたが、上位じょうい進出しんしゅつはかなわない厳きびしい時代じだいが続つづきました。

2007年ねんにロシアで開ひらかれた世界せかい選手権せんしゅけんでは、女子じょしフルーレ団体だんたいで現在げんざいの代表だいひょうコーチを務つとめる菅原すがわら智恵子ちえこさんを中心ちゅうしんに、男女だんじょを通をつうじてこの大会たいかい初はつの銅メダルどうめだるを獲得かくとくしました。

菅原すがわらさんは翌年よくねん、北京ぺきんオリンピックの個人こじんで日本にっぽんの女子じょし選手せんしゅでは過去かこ最高さいこうの7位いに入はいりましたが、メダル獲得かくとくには届とどきませんでした。

このころから日本にっぽんフェンシング協会きょうかいでは外国がいこく人じんコーチの招しょうへいなど本格ほんかく的てきな強化きょうかに乗り出のりだし、10代だいのジュニア世代せだいから将来しょうらいを見据みすえた強化きょうかを進すすめてきました。

国際こくさい大会たいかいで表彰ひょうしょう台だいに上あがる回数かいすうも増ふえ、過去かこ最多さいたの選手せんしゅが出場しゅつじょうした3年ねん前まえの東京とうきょうオリンピックでは、女子じょしのメダルはならなかったものの、大会たいかい後ごには女子じょしサーブルで江村えむら美咲みさき選手せんしゅが世界せかい選手権せんしゅけんの個人こじん2連覇れんぱを果はたすなど飛躍ひやくを遂とげました。