日本新聞: 秀吉が弟秀長に宛てた書状 “関係性うかがえる貴重な資料”

秀吉ひでよしが弟おとうと秀長ひでながに宛あてた書状しょじょう “関係かんけい性せいうかがえる貴重きちょうな資料しりょう”

Aug 5, 2024 05:08

Furigana

織田おだ信長のぶながの後継こうけい者しゃ争あらそいをめぐって起おきた小牧こまき・長久ちょうきゅう手しゅの戦たたかいの際さいに、羽柴はしば秀吉ひでよし、のちの豊臣とよとみ秀吉ひでよしが、弟おとうとの秀長ひでながに宛あてた書状しょじょうが東京とうきょう大学だいがく史料しりょう編纂へんさん所しょの研究けんきゅう者しゃによる調査ちょうさで確認かくにんされました。兄弟きょうだいの関係かんけい性せいがうかがえる貴重きちょうな資料しりょうだとしています。

書状しょじょうは、長野ながの県けん須坂すざか市しにある田中たなか本家ほんけ博物館はくぶつかんで見みつかり、東京とうきょう大学だいがく史料しりょう編纂へんさん所しょの村井むらい祐樹ゆうき准じゅん教授きょうじゅが調査ちょうさにあたりました。

その結果けっか、秀吉ひでよしの直筆じきひつとみられる花押かおうなどから、本能寺ほんのうじの変へんのあと、織田おだ信長のぶながの後継こうけい者しゃ争あらそいをめぐって起おきた1584年ねんの小牧こまき・長久ちょうきゅう手しゅの戦たたかいの際さいに、戦たたかいに参加さんかしていた弟おとうとの秀長ひでながに送おくった書状しょじょうと結論けつろんづけました。

秀吉ひでよしの書状しょじょうでは、信長のぶながの次男じなん、信雄のぶおがおさめていた尾張おわりの黒田くろだや一宮いちのみやを攻せめ火ひを放はなったと書かいていて、当時とうじ、近ちかくにいなかった秀長ひでながに対にたいし、秀吉ひでよしは「きっと煙けむりが見みえただろう」と冗談じょうだんを交まじえて、敵てきに与あたえた損害そんがいを伝つたえています。

また、秀長ひでながに対にたいし、敵対てきたいする織田おだ軍ぐんや徳川とくがわ軍ぐんに備そなえて、港みなとが近ちかい伊勢いせの城しろに行いき、水軍すいぐんの手配てはいをしっかり行おこなうよう命めいじています。

村井むらい准じゅん教授きょうじゅによりますと、秀吉ひでよしから秀長ひでながに宛あてた書状しょじょうが見みつかることは珍めずらしく、「弟おとうとだからこそ、気きを許ゆるして軽口かるくちをたたけるような関係かんけいであることがうかがえる。また、この戦たたかいでの秀長ひでながの具体ぐたい的てきな役割やくわりは、今いままで知しられていなかったが、秀吉ひでよしが敵てきをけん制けんせいするために、弟おとうとを重要じゅうようなポイントに派遣はけんしたことが分わかった」などと分析ぶんせきしています。