開心那選手が、日本選手史上最年少の12歳で銀メダルをつかんでから3年。15歳になった開選手は、誰にもまねできない滑りで2つ目のオリンピックの銀メダルを手にしました。
(スポーツニュース部 記者 松山翔平)
“誰にもまねできない”独創性で 2回目の五輪へ
ということばが好きだという開選手の滑りは、コースの縁で繰り出す玄人好みのテクニックと、ほかの選手が使わない設置物を使ったトリックで、そのことばどおり、誰とも似ていない独創性を持っています。
東京大会で銀メダルを獲得したあとも、そのスタイルをひたすら磨き、去年の世界選手権を制するなど確かな実力を身につけて臨んだ2回目のオリンピックでした。
予選では「すごい緊張」もトップ通過
6日の予選では大観衆を前に、とプレッシャーを感じながらのスタートとなりました。
それでもこれまで積み上げてきた自分の滑りを信じて臨んだ1回目、ボードの先端の車軸部分を滑らせる代名詞の「ノーズグラインド」などを確実に決めて、すべての技を決める「フルメイク」に成功します。
これでと緊張感から開放され、2回目にはさらに得点を伸ばして予選を全体トップで通過しました。
決勝は“すべて出し切る”と覚悟決め
決勝ではと臨んだ1回目のラン、開選手は多彩な技を繰り出し、最後はコース脇にある高さのある縁石にボードの裏側を当てるオリジナリティーあふれる技も見せました。
最初のランで91.98の高得点をマークしトップに立ったのです。
しかし、このあとライバルたちが立ちはだかりました。
最後の3回目のランではオーストラリアの14歳、アリサ・トルー選手が2種類の「540」を決める(ファイブ・フォーティー)会心のランを見せ、開選手は逆転を許します。
さらに高さのあるエアと多彩なトリックを見せた東京大会の銅メダリストでイギリスのスカイ・ブラウン選手にもかわされ、開選手は3位まで順位を落としました。
開選手は最後のランでと覚悟を決めていました。
冒頭にこだわって磨いてきた長い距離をかける「ノーズグラインド」を決めるとシンプルでスタイリッシュに見せるエア、さらに、空中でボードを1回転させてつかむ大技「キックフリップインディー」を完璧に決め、の滑りで締めくくりました。
得点は92.63の高得点で、順位を1つ上げ、2大会連続の銀メダルを手にしました。
開選手はとすがすがしい表情で語りました。
順位を超えて “いいラン”追い求め
勝ち負けだけでなく、みずから表現したい滑りを貫き、選手それぞれがチャレンジをたたえ合うことがスケートボードという競技の魅力の一つで、前回の東京大会でも大きな印象を残しました。
今大会でも決勝ではミスが続いた選手に別の選手が駆け寄ったり、自分の得点を上回った選手と抱き合ったりする姿があちこちで見られ、選手たちの笑顔が印象的でした。
決勝の3回のランで難しい技に挑んだもののフルメイクすることができず8位だった草木ひなの選手は「スケートボードは男女も年齢も関係なく、楽しいスポーツなので、本当に知ってもらいたい。これからも頑張れそう」と笑顔で振り返りました。
開選手もとライバルたちに感謝していました。
順位を超えて選手たちがそれぞれの滑りを追い求めるスケートボード。
パリオリンピックの舞台に立った選手たちはそれぞれがの滑りで会場を沸かせました。