25日開かれた政府の対策本部でまとめられた支援パッケージでは
▽生活再建に向けて、半壊以上の家屋を解体する際の費用の自己負担を、特例でゼロにするとともに
▽最大300万円の被災者生活再建支援金を迅速に支給するなどとしています。
また
▽従来のプレハブの仮設住宅だけでなく、比較的、耐用年数が長い木造の仮設住宅も建設するなどし、被災者のニーズに応じた住まいの確保策を講じていくとしています。
▽なりわい支援では、中小企業の工場などの復旧費用を、15億円を上限に4分の3まで補助するのに加え、ここ数年で被災し、今回も再び被害にあった事業者には、追加の支援を行うほか
▽農業用機械や漁船などの復旧も後押しするとしています。
このほか
▽「輪島塗」を含めた伝統産業の立て直しに向けて、必要な道具や原材料の確保を支援していくことも盛り込まれました。
さらに
▽観光業を支えるため、被災地周辺の北陸地域を対象に、早ければ3月以降、1泊2万円を上限に、国が観光客の宿泊代の半額を補助する「北陸応援割」を実施し、能登地方でも復旧・復興の状況を見つつ、より手厚い支援策を検討するとしています。
政府は今年度予算や新年度予算案の予備費を活用し、一連の支援策を実行に移していく方針です。
「半壊」以上の家屋の解体費支援
今回の地震では、「半壊」以上の被害を受けた家屋について、解体にかかる費用を国や市町村が全額負担します。
災害で家屋が被害を受けた場合、自治体が発行するり災証明書で「全壊」と認められると、解体費用の全額を国や市町村が負担することになっています。
これについて、政府が、能登半島地震を「特定非常災害」に指定したことから、今回は、り災証明書で「大規模半壊」と「中規模半壊」それに「半壊」とされた場合も特例的に国や市町村が全額を負担することにしています。
同様の措置は、2016年の熊本地震や、2019年の東日本台風でもとられています。
仮設住宅の建設費負担
被災者の住宅の確保に向けて石川県は、従来のプレハブの仮設住宅に加えて、木造の仮設住宅も建設する方針を示していて、国も財政的に支援する方針です。
プレハブの仮設住宅は5週間程度の工期で完成することから、避難生活の早期の解消につながりますが、将来的には撤去するため、被災者は、いずれは転居する必要があります。
このため石川県は、入居者が希望すれば住み続けることができる木造の仮設住宅も整備する計画です。
木造の仮設住宅は2つのタイプを整備する予定でこのうち、
▽長屋タイプのものは、市街地や近郊の空き地に1か所当たり10戸から50戸ほどを建設します。
工期は2か月程度と見込まれています。
一方、
▽戸建てのタイプのものは、もとからある集落内の空き地などに建設され、今は離れた場所に避難している被災者がふるさとに帰ることができるようにするねらいがあります。
仮設住宅は、ことし3月末までに合わせておよそ3000戸が着工される計画で、国も財政的に支援する方針です。
北陸地方の観光業支援 「北陸応援割」実施など
政府は、北陸地方の観光業を支援するため、国が観光客の宿泊料金を補助する「北陸応援割」を実施します。
早ければ3月以降、▽石川県、▽福井県、▽富山県、それに▽新潟県の4県を訪れる観光客の宿泊料金の半額を、1人1泊当たり2万円を上限に補助します。
地震による被害が特に大きかった、石川県の能登地方については、
▽復興の状況を見ながら、より手厚い、旅行需要の喚起策を検討するほか、
▽地震で被害を受けた観光拠点や観光資源の復旧計画の策定や実行を支援します。
このほか、地震の影響で被災地周辺の観光地で宿泊施設のキャンセルが相次いでいることを踏まえ、来月から3月にかけて交通機関や観光地の現状に関する情報発信を重点的に行うほか、3月の北陸新幹線の金沢・敦賀間の開業にあわせた観光プロモーションも実施するなど、観光客の誘致を進めるとしています。