日本新闻: ドイツメルケル首相の16年安定した支持得るも難民政策で批判

4期き16年ねんにわたってドイツを率ひきい、ヨーロッパで強つよいリーダーシップを発揮はっきしてきたメルケル首相しゅしょう（67）は今期こんきかぎりで政界せいかいを引退いんたいすることを表明ひょうめいしています。

アンゲラ・メルケル首相しゅしょうは67歳さい。

4期き16年ねんにわたって、ドイツを率ひきい、ヨーロッパ政治せいじにおいてもリーダーシップを発揮はっきしてきました。

2005年ねんドイツで初はじめての女性じょせい首相しゅしょうに

旧きゅう東ドイツひがしどいつ育そだちの物理ぶつり学者がくしゃで、1989年ねんのベルリンの壁かべ崩壊ほうかいをきっかけに政治せいじ活動かつどうに加くわわり、2005年ねん、歴代れきだい最年少さいねんしょうの51歳さいで、ドイツで初はじめての女性じょせいの首相しゅしょうに就任しゅうにんしました。

16年ねんにわたってドイツが直面ちょくめんした数々かずかずの難局なんきょくで手堅てがたい手腕しゅわんを発揮はっきし、中道ちゅうどう右派うはの「キリスト教きょう民主みんしゅ同盟どうめい」に所属しょぞくしながら、脱だつ原発げんぱつや同性どうせい婚こんの容認ようにんなど、リベラル寄よりの政策せいさくも推し進おしすすめ、幅広はばひろい層そうから安定あんていした支持しじを得えてきました。

2期き目めに入はいった2009年ねん以降いこう、ギリシャで多額たがくの財政ざいせい赤字あかじが発覚はっかくしたことをきっかけにヨーロッパの信用しんよう不安ふあんが広ひろがると、ドイツの経済けいざい力りょくと比較的ひかくてき健全けんぜんな財政ざいせい状況じょうきょうを背景はいけいに、EU＝ヨーロッパ連合れんごうの対策たいさくを主導しゅどうします。

ギリシャなどには財政ざいせいの立て直たてなおしのために緊縮きんしゅく策さくや構造こうぞう改革かいかくを迫せまりながら、ドイツ国民こくみんの税金ぜいきんを安易あんいに支援しえんのために投入とうにゅうしないというきぜんとした態度たいどを取とり、国内こくないでの支持しじが高たかまりました。

2011年ねんの東京とうきょう電力でんりょく・福島ふくしま第だい1原子力げんしりょく発電はつでん所しょの事故じこの際さいには、従来じゅうらいの方針ほうしんを一転いってんさせて「脱だつ原発げんぱつ」を決きめるなど、世論せろんの動向どうこうを見極みきわめながら大胆だいたんに方針ほうしん転換てんかんする一いち面めんも見みせました。

2014年ねんウクライナ危機きき

2014年ねん、ウクライナ東部とうぶで、親しんロシア派は勢力せいりょくと政府せいふ軍ぐんとの間まで戦闘せんとうが起おきた「ウクライナ危機きき」では、みずから調停ちょうてい役やくとなって、ロシアのプーチン大統領だいとうりょうなどと協議きょうぎして停戦ていせん合意ごういに持ち込もちこみ、国際こくさい的てきにも評価ひょうかされました。

また、自由じゆう貿易ぼうえきの推進すいしんや気候きこう変動へんどう対策たいさくなどで多国たこく間かんの協調きょうちょうを訴うったえ続つづけ、2016年ねんにアメリカの大統領だいとうりょう選挙せんきょで自国じこく第だい一いち主義しゅぎを掲かかげるトランプ氏しが勝利しょうりすると、欧米おうべいメディアから「自由じゆう民主みんしゅ主義しゅぎの最後さいごの守もり手しゅ」とも評ひょうされました。

一方いっぽうで中国ちゅうごくに対にたいしては、新疆ウイグルしんきょうういぐる自治じち区くなどでの人権じんけん問題もんだいをめぐって国際こくさい的てきな懸念けねんが強つよまる中なかでも経済けいざい的てきな結び付むすびつきを重視じゅうしし、ロシアに対にたいしても、天然てんねんガスをドイツに運はこぶための海底かいていパイプライン「ノルドストリーム2」の計画けいかくを推進すいしんし、アメリカやEUの加盟かめい国こくの中なかから批判ひはんや反発はんぱつを受うけました。

2015年ねん “難民なんみん受け入うけいれ”で求心力きゅうしんりょく失うしなう

2015年ねんに中東ちゅうとうのシリアなどからの難民なんみんを受け入うけいれた決断けつだんは、その後そのごメルケル首相しゅしょうの求心力きゅうしんりょくを失うしなわせていくことになります。

メルケル首相しゅしょうは当初とうしょ、「助たすけを求もとめる人ひとたちを保護ほごするのは当然とうぜんだ」として、難民なんみんの受け入うけいれに寛容かんような姿勢しせいを示しめし、100万まん人にんを超こえる難民なんみんがドイツに到着とうちゃくしました。

しかし、ドイツの女性じょせいが難民なんみんらの集団しゅうだんに乱暴らんぼうされる事件じけんなどが起おきると国内こくないで批判ひはんが高たかまり、前回ぜんかい2017年ねんの連邦れんぽう議会ぎかい選挙せんきょでは、難民なんみんの受け入うけいれに反対はんたいする右派うは政党せいとう「ドイツのための選択肢せんたくし」の躍進やくしんを許ゆるし、地方ちほう選挙せんきょでも与党よとうは相次あいついで敗北はいぼくを喫きっしました。

2018年ねん、メルケル首相しゅしょうは一連いちれんの責任せきにんをとる形かたちで与党よとうの党とう首の座くびのざを退しりぞき、首相しゅしょうとして4期き目めを終おえたあとは政界せいかいから引退いんたいすると表明ひょうめいしました。

2020年ねんコロナ対応たいおうで再ふたたび存在そんざい感かん

しかし去年きょねん、国内こくないで新型しんがたコロナウイルスの感染かんせんが拡大かくだいすると、危機ききへの対応たいおうで再ふたたび存在そんざい感かんを増ましていきます。

去年きょねん3月つきに隣国りんごくとの往来おうらいを制限せいげんした際さいには、移動いどうの制限せいげんがいかに困難こんなんな決断けつだんかを国民こくみんに率直そっちょくに説明せつめいして理解りかいを求もとめ、去年きょねん12月つきにはより厳きびしい措置そちの必要ひつよう性せいを感情かんじょうをあらわに訴うったえました。