日本新闻: 台湾で防空避難訓練中国のミサイル攻撃など想定軍事演習も

台湾たいわんで、中国ちゅうごくからのミサイルなどの攻撃こうげきを想定そうていした年としに1度どの防空ぼうくう避難ひなん訓練くんれんが、きょう22日にちから始はじまりました。これと並行へいこうして、年としに1度どの大だい規模きぼな軍事ぐんじ演習えんしゅうも行おこなわれています。

街頭がいとうに空襲くうしゅう警報けいほうのサイレン 30分間ふんかん屋外おくがいにいること禁止きんし

ことしの訓練くんれんは、22日にちから7月つき25日にちまで台湾たいわんを4つの地域ちいきに分わけて順じゅんに行おこなわれることになっていて、初日しょにちのきょうは、中部ちゅうぶの7つの市しと県けんで行おこなわれました。

予定よていの時刻じこくになると、街頭がいとうには空襲くうしゅう警報けいほうのサイレンが鳴り響なりひびき、住民じゅうみんのスマートフォンにも警報けいほうのメッセージが送信そうしんされました。

警報けいほうが出でてから30分間ふんかん、一般いっぱんの人ひとたちが屋外おくがいにいることは禁きんじられていて、台たい中ちゅう市内しないの繁華はんか街がいでは警察官けいさつかんが建物たてものの中なかに入はいるよう誘導ゆうどうし、車くるまだけでなく、客きゃくを乗のせた路線ろせんバスも停車ていしゃさせられました。

また、デパートはふだんより売り場うりばの照明しょうめいを暗くらくしたり、商店しょうてんはシャッターを下さげて営業えいぎょうを中断ちゅうだんしたりして、街まちは静しずまりかえっていました。

コンビニの店内てんないで警報けいほうの解除かいじょを待まっていた20代だいの女性じょせいは、「台湾たいわんは防衛ぼうえい力りょくを備そなえなければならず、避難ひなん訓練くんれんは必要ひつようです。私わたしは防空ぼうくうシェルターがどこにあるかも調しらべました」と話はなしていました。

停車ていしゃさせられたバスの乗客じょうきゃくの50代だいの男性だんせいも、「政府せいふに協力きょうりょくします。私わたしたちの警戒けいかい心しんを高たかめるのにプラスになりますから」と話はなしていました。

大だい規模きぼな軍事ぐんじ演習えんしゅうもことしは実戦じっせんに近ちかい形かたちに

台湾たいわんの全域ぜんいきでは、防空ぼうくう避難ひなん訓練くんれんと並行へいこうして、中国ちゅうごく軍ぐんの侵攻しんこうに備そなえる年としに1度どの大だい規模きぼな軍事ぐんじ演習えんしゅうも、22日にちから5日間にちかんの日程にっていで行おこなわれています。

初日しょにちは、中国ちゅうごく軍ぐんからミサイル攻撃こうげきなどを受うけにくい場所ばしょに戦闘せんとう機きや艦艇かんていを移動いどうさせる手順てじゅんを確認かくにんするなどの演習えんしゅうが行おこなわれました。

あす23日にち以降いこうは、主おもに対空たいくうミサイルなどを運用うんようして台湾たいわんの空域くういきの安全あんぜんを確保かくほする能力のうりょくや、対たい艦かんミサイルなどで敵てきの艦隊かんたいを迎撃げいげきする能力のうりょくのほか、台湾たいわんに上陸じょうりくした敵てきの部隊ぶたいを壊滅かいめつさせる作戦さくせんや、敵てきの特殊とくしゅ部隊ぶたいによって総統そうとう府ふなど台湾たいわんの中枢ちゅうすうが制圧せいあつされるのを阻止そしする作戦さくせんの検証けんしょうが行おこなわれる予定よていです。

このうち、澎湖みずうみ島とうなどの離島りとうで行おこなう反はん上陸じょうりく演習えんしゅうでは、実弾じつだんも使用しようされます。

台湾たいわん国防こくぼう部ぶによりますと、去年きょねんまでの演習えんしゅうでは、事前じぜんに台本だいほんに沿そってリハーサルも行おこなわれましたが、ことしは現場げんばの部隊ぶたいに具体ぐたい的てきなシナリオを知しらせないほか夜間やかんの演習えんしゅうを増ふやすなど、できるだけ実戦じっせんに近ちかい形かたちにするということです。

また、台湾たいわん国防こくぼう部ぶは演習えんしゅうの宣伝せんでん工作こうさくにも力ちからを入いれていて、ことしは、AIのアナウンサーが演習えんしゅうについて説明せつめいする動画どうがをSNSなどで初はじめて発信はっしんしています。

中国ちゅうごく語ごだけでなく英語えいごや日本語にほんごなどあわせて18の言語げんごで作成さくせいし、中国ちゅうごくによる台湾たいわん侵攻しんこうの可能かのう性せいに懸念けねんが強つよまるなか、台湾たいわん軍ぐんが自衛じえい力りょくの強化きょうかに努つとめていることを内外ないがいにアピールするねらいがあるとみられます。

中国ちゅうごく報道ほうどう官かん “民進党みんしんとう当局とうきょくが独立どくりつを図はかろうと挑発ちょうはつ”

台湾たいわんで中国ちゅうごく軍ぐんの侵攻しんこうに備そなえる年としに1度どの大だい規模きぼな軍事ぐんじ演習えんしゅうが始はじまったことについて、中国ちゅうごく外務省がいむしょうの毛もう寧やすし報道ほうどう官かんは、きょう22日にちの記者きしゃ会見かいけんで、「台湾たいわん海峡かいきょうの情勢じょうせいが緊張きんちょうしている原因げんいんは、民進党みんしんとう当局とうきょくが外部がいぶ勢力せいりょくの容認ようにんと支持しじのもとで、独立どくりつを図はかろうと挑発ちょうはつを続つづけているからだ」と強調きょうちょうしました。

そのうえで、「緊張きんちょうをあおり、武力ぶりょくで独立どくりつを企くわだてたり、統一とういつを拒こばんだりするいかなるたくらみも、必かならず失敗しっぱいするだろう」と述のべ、台湾たいわんの頼よりゆき清徳せいとく政権せいけんをけん制けんせいしました。

背景はいけいに頼よりゆき政権せいけん発足ほっそく直後ちょくごから強つよまる中国ちゅうごくの軍事ぐんじ的てき圧力あつりょく

中国ちゅうごくは、ことし5月つきに発足ほっそくした台湾たいわんの頼よりゆき清徳せいとく政権せいけんを「台湾たいわん独どく立派りっぱ」とみなし、発足ほっそく直後ちょくごから軍事ぐんじ的てきな圧力あつりょくを強つよめています。

中国ちゅうごく軍ぐんは、頼よりゆき政権せいけん発足ほっそくから3日にち後ごに、台湾たいわんをほぼ取り囲とりかこむ海域かいいきや、中国ちゅうごくに近接きんせつする台湾たいわんの離島りとう、金きむ門もん島とうなどの周辺しゅうへんで軍事ぐんじ演習えんしゅうを始はじめました。

台湾たいわんを取り囲とりかこむ海域かいいきでの軍事ぐんじ演習えんしゅうは、蔡英文えいぶん前ぜん政権せいけん下かのおととし8月つきや去年きょねん4月つきにも実施じっししていますが、台湾たいわんの離島りとうやその周辺しゅうへんを軍事ぐんじ演習えんしゅうの対象たいしょう区域くいきとしたのは初はじめてです。

中国ちゅうごく国防省こくぼうしょうの報道ほうどう官かんも、「『台湾たいわん独立どくりつ』勢力せいりょくが挑発ちょうはつするたびに、われわれの報復ほうふくは一いち歩ほずつ進すすむ」と述のべ、今後こんごも頼よりゆき政権せいけんに対にたいし、軍事ぐんじ的てきな圧力あつりょくを強つよめると宣言せんげんしています。

実際じっさい、台湾たいわん国防こくぼう部ぶは7月つき、中国ちゅうごく軍ぐんの多数たすうの戦闘せんとう機きや爆撃ばくげき機きが台湾たいわん海峡かいきょうの「中間ちゅうかん線せん」やその延長えんちょう線せんを越こえたあと、台湾たいわん本島ほんとうの南みなみから南東なんとう側がわに回り込まわりこんで西太平洋にしたいへいようの上空じょうくうまで飛行ひこうし、空母くうぼ「山東さんとう」とともに訓練くんれんを行おこなったと発表はっぴょうしています。

一方いっぽう、6月つきには、台湾たいわん北部ほくぶの川かわの河口かこうに中国ちゅうごく軍ぐんの艦艇かんていの艇てい長ちょうだった元もと少佐しょうさの男おとこが乗のった小型こがた船せんが侵入しんにゅうする事件じけんが起おき、中国ちゅうごくが武力ぶりょく攻撃こうげきに至いたらない、いわゆるグレーゾーンの手法しゅほうで台湾たいわん側がわの対応たいおうを試ためしたという見方みかたも出でています。

専門せんもん家か “台湾たいわんの防衛ぼうえいに国際こくさい的てき関心かんしんを高たかめるねらい”

台湾たいわんで始はじまった防空ぼうくう避難ひなん訓練くんれんや軍事ぐんじ演習えんしゅうで台湾たいわん当局とうきょくが発信はっしんに力ちからを入いれていることについて、台湾たいわんと中国ちゅうごくの政治せいじに詳くわしい東京とうきょう大学だいがくの松田まつだ康博やすひろ教授きょうじゅは、「国際こくさい的てきな関心かんしんを高たかめて、日本にっぽんも含ふくめ多おおくの国々くにぐにに、台湾たいわんの防衛ぼうえいに協力きょうりょく的てきな姿勢しせいをとってもらいたい狙ねらいがある」と分析ぶんせきしました。

また、中国ちゅうごくが台湾たいわんの頼よりゆき清徳せいとく政権せいけんへの圧力あつりょくを強つよめていることについて、「中国ちゅうごくは今後こんご4年間ねんかん、さまざまな政治せいじ的てきな方法ほうほうを使つかって圧力あつりょくをかけ、政権せいけん交代こうたいを狙ねらう方向ほうこうに動うごいている」と述のべ、中国ちゅうごくとしては「台湾たいわん独どく立派りっぱ」とみなす頼よりゆき政権せいけんへの圧力あつりょくを強つよめ、次つぎの総統そうとう選挙せんきょで下野げやさせたい思惑おもわくがあると指摘してきしています。

ただ、松田まつだ教授きょうじゅは、中国ちゅうごくの台湾たいわんへの圧力あつりょくは常態じょうたい化かしているとし、いわゆる「台湾たいわん有事ゆうじ」については、「切迫せっぱくした危機ききはおそらくない。中国ちゅうごくはさらに軍備ぐんび拡張かくちょうを続つづけ、チャンスを見みて、武力ぶりょくを背景はいけいとした動うごきを強つよめるのではないか」と述のべました。

そのうえで、「台湾たいわんとしては、自主じしゅ的てきな防衛ぼうえいの努力どりょくを進すすめると同時どうじに、アメリカとの軍事ぐんじ的てきな協力きょうりょくを進すすめ、長ながいスパンで中国ちゅうごくの軍事ぐんじ的てき圧力あつりょくに対応たいおうしていくのではないか」と指摘してきしました。

林はやし官房かんぼう長官ちょうかん “在留ざいりゅう邦人ほうじんには注意ちゅうい喚起かんきを行おこなった”

林はやし官房かんぼう長官ちょうかんは午後ごごの記者きしゃ会見かいけんで、「訓練くんれんについて政府せいふとしてコメントする立場たちばにはないが、現地げんちの公共こうきょう交通こうつう機関きかんの一時いちじ運行うんこう停止ていしなど、在留ざいりゅう邦人ほうじんが留意りゅういすべき点てんは、日本にっぽん台湾たいわん交流こうりゅう協会きょうかいのホームページで注意ちゅうい喚起かんきを行おこなうとともに、在留ざいりゅう邦人ほうじんに対にたいし領事りょうじメールが発出はっしゅつされている」と述のべました。