二十年越しの旅先タトゥー、カバーアップに至る自己再生の記録
ある人々にとって、タトゥーは旅の記憶を象徴する唯一無二の存在であり、異国で体験した非日常の時間や場所を永遠に刻む芸術作品にほかならない。その一方で、若気の至りによる衝動的な選択の結果、後年にわたり悔恨の念に苛まれる者も少なくない。
私自身も、二十代前半にバリ島でほとんど熟慮することなく、流行の「トライバル」模様を腰に大きく彫った過去がある。しかも、そのデザインは時の流れとともに陳腐化し、私の嗜好や価値観の変化にまったく対応できないものとなってしまった。
年月を経るうちに、私はそのタトゥーを徹底的に忌避するようになり、ビーチやプールでは常に隠すことを余儀なくされた。タトゥーを見るたび、軽率な決断を下しがちだった過去の自分を思い出さずにはいられなかったのである。新型コロナウイルス感染症の世界的流行によってバンコクの自宅に閉じ込められていた2020年末、私はついにタトゥーの除去、あるいは修正を決意した。
当初はレーザー除去も検討したものの、その高額な費用から断念せざるを得ず、最終的にバンコクの「オール・デイ・タトゥー」へ相談するに至った。
同店は国際的な衛生基準を遵守し、英語対応可能な彫り師が多いことから、旅行者にも高く評価されている。特にカバーアップ、すなわち既存のタトゥーの上に新たなデザインを重ねる技術においては定評があり、オーナーのジャン・ルカ・トネロ氏によれば、全体の10〜15%が修正依頼で占められているという。
しかしながら、カバーアップは決して単純な作業ではなく、既存のタトゥーの大きさや色彩、線の細部など、数多くの要素を総合的に考慮する必要がある。特に黒色の大きなタトゥーの場合、単に新たなデザインを上から重ねるだけでは、満足のいく仕上がりにはなり得ないのである。
私の場合、有能な彫り師バード氏の助力を得て、人生の節目に関わるいくつかのデザイン案を検討し、最終的にカバーアップを実施した。
既存のタトゥーが横長であったことや、新しいデザインを背中上部まで拡大したいという要望もあり、サイズやバランスの調整には相当な困難を伴った。
施術は合計三回に分けて行われ、各回四〜五時間を要し、全工程の完了までには数ヶ月を要した。施術前には麻酔クリームが塗布され、痛みはある程度軽減されたものの、その効果は長時間持続するものではなく、毎回終盤には耐え難い痛みに歯を食いしばる場面もあった。とはいえ、その苦痛に見合うだけの結果が得られ、細部まで丁寧に仕上げられた新しいタトゥーは、かつての痕跡を完全に覆い隠すことに成功した。
この経験を通じて、信頼できるスタジオの選定がいかに重要であるかを痛感した。
トネロ氏は、タトゥーを入れる際にはまず、そのデザインが自身にとってどのような意味を持つのかを自問することが重要だと強調する。年齢とともに趣味や価値観は変化し得るものの、当時の自分にとって意義深いものであり、かつ完成度が高ければ、後悔することはほとんどないという。
また、スタジオの評判や施術例を事前に十分調査し、不明点があれば積極的に問い合わせるべきだと助言する。信頼できる店舗であれば、顧客の不安に真摯に対応してくれるはずだ。加えて、海外での施術時には言語的な障壁が想定されるため、彫り師とのコミュニケーションが円滑に行えるかどうかも重要な判断材料となる。
施術のタイミングや施術後の計画についても慎重な配慮が求められる。タトゥーは本質的に大きな外傷であり、感染症予防のため施術後二週間は患部を水に浸すことが厳禁とされる。そのため、多くの旅行者は旅程の終盤に施術を予約する傾向がある。
さらに、タトゥーの大きさやデザインの持続性も十分に検討すべきである。私が自分のタトゥーを嫌悪するに至ったのは、彫り師の技術や作品自体ではなく、当時の流行や一時的な感情に流され、十分な熟慮を欠いた自分自身の判断に原因があった。
トネロ氏は、流行のデザインであっても、それが自身にとって意味を持つのであれば問題ないとしつつ、恋人の名前を入れることは推奨しないと述べる。なぜなら、関係が永続するとは限らないからである。一方で、ペットや子どもの名前であれば、そのリスクは低いという。
本稿は2021年7月3日に初出された記事を再編集したものである。