日本で増加する「{熟年離婚;じゅくねんりこん」
長年連れ添った夫婦が離婚に踏み切るという現象は、日本に限らず、価値観や社会構造の変化を反映している。特に日本においては、従来の家族観や結婚観が揺らぐ中で、熟年離婚の増加が顕著となっている。この現象を読み解くには、単に夫婦関係の問題に還元するのではなく、広く社会の変化や、個人の生き方に関する意識の変化を把握する必要がある。
民法改正後の家族制度と熟年離婚
日本の家族制度は長らく伝統的な価値観に基づいていたが、民法改正以降、法律的にも家族の在り方が変化した。
これに伴い、夫婦関係における男女の役割分担や、経済的な依存関係が見直されつつある。熟年離婚が増加している背景には、こうした制度的な変化が無視できない。
熟年世代の女性による離婚申立ての増加
厚生労働省の統計に拠れば、結婚20年以上の夫婦による離婚は、全体の約26%を占めており、女性からの申立てが男性の2倍に上る。婚姻費用の分担請求に関しても、女性からの申立てが男性の10倍に達していることから、依然として女性の経済的自立が難しい状況であると考えられる。
離婚理由の多様化と個人の意識
離婚理由の上位には「性格の不一致」が挙げられているが、これは状況の一部に過ぎない。
実際には、経済的な問題、精神的暴力、不貞行為など、様々な要因が絡み合っている。林直子弁護士が指摘するように、情報化の進展によって女性の間で「このまま我慢し続けることが果たして正当なのか」と自問するようになったことが大きい。スマートフォンやSNSによる情報へのアクセスの容易化は、個人の意識変化に拍車をかけた。
最期に
熟年離婚の増加は、単に夫婦関係の破綻にとどまるものではなく、伝統的な価値観や家族制度の変容、個人の生き方を見直す動きの一端として捉えることができる。したがって、この現象を解決すべき「問題」とみなすか、新たな「選択」とみなすかは、今後における社会の在り方にも関わる重大な問いいであると言える。