日本新聞: 中国ワクチン供給で外交関係強化の動き活発化

中国ちゅうごくワクチン供給きょうきゅうで外交がいこう関係かんけい強化きょうかの動うごき活発かっぱつ化か

Jan 16, 2021 22:01

Furigana

国くにを挙あげて独自どくじのワクチン開発かいはつを進すすめてきた中国ちゅうごくは、このところ途上とじょう国こく向むけに中国ちゅうごく製せいのワクチンを供給きょうきゅうするなどして外交がいこう関係かんけいを強化きょうかする動うごきを活発かっぱつ化かさせています。新型しんがたコロナウイルスの感染かんせん拡大かくだいの初期しょきにマスクなど大量たいりょうの医療いりょう物資ぶっしを各国かっこくに輸出ゆしゅつした「マスク外交がいこう」に続つづく「ワクチン外交がいこう」を展開てんかいし、国際こくさい社会しゃかいでの影響えいきょう力りょくの拡大かくだいを図はかるねらいがあるものとみられます。習近平ちから国家こっか主席しゅせきは去年きょねん9月つきの国連こくれん総会そうかいで、中国ちゅうごくがワクチン開発かいはつに成功せいこうした場合ばあい、「世界せかいの公共こうきょう財ざいにする」と述のべ、自力じりきでの調達ちょうたつが困難こんなんな途上とじょう国こくに優先ゆうせん的てきにワクチンを提供ていきょうする意向いこうを示しめしていました。

王おう毅あつし外相がいしょうは、今月こんげつ4日にちから9日にちにかけて、アフリカ5か国かこくを訪問ほうもんし、ワクチン提供ていきょうに向むけた協力きょうりょくを約束やくそくし、このうちインド洋いんどようの島国しまぐにセーシェルでは、10日にちから中国ちゅうごく国有こくゆうの製薬せいやく会社かいしゃ「シノファーム」が開発かいはつしたワクチンの接種せっしゅが始はじまりました。

さらに、今月こんげつ11日にちから16日にちまで東南アジアとうなんあじあ4か国かこくを訪問ほうもんし、このうちミャンマーでは、アウン・サン・スー・チー国家こっか顧問こもんらとの一連いちれんの会談かいだんの中なかで、ワクチン30万まん回分かいぶんの無償むしょう提供ていきょうを表明ひょうめいしました。

また、中国ちゅうごく製せいワクチンの大だい規模きぼな接種せっしゅ開始かいしのタイミングに合あわせて訪問ほうもんしたインドネシアでは、ルトノ外相がいしょうとの会談かいだん後ごの記者きしゃ会見かいけんで「中国ちゅうごくはワクチンの国内こくない需要じゅようが急増きゅうぞうする中なかでも、最もっとも早はやい段階だんかいでインドネシアの友人ゆうじんにワクチンを提供ていきょうした」と述のべたうえで、ワクチンの研究けんきゅう開発かいはつと調達ちょうたつに継続けいぞく的てきに協力きょうりょくする意向いこうを示しめしました。

こうしたワクチンをめぐる協力きょうりょくの一方いっぽうで、中国ちゅうごくは相手あいて国こくに対にたいして、みずからが掲かかげる巨大きょだい経済けいざい圏けん構想こうそう「一帯いったい一路いちろ」への協力きょうりょくや、「核心かくしん的てき利益りえき」と位置いちづける台湾たいわんなどの問題もんだいで中国ちゅうごくの立場たちばへの支持しじを求もとめるなど、政治せいじ的てきな思惑おもわくもかいま見かいまみえます。

また、アメリカのバイデン次期じき政権せいけんが発足ほっそくする前まえに東南アジアとうなんあじあ各国かっこくに接近せっきんし、アメリカが関与かんよを強つよめる南シナ海みなみしなかい問題もんだいをめぐる対立たいりつをやわらげたいねらいもあるとみられます。

一方いっぽう、中国ちゅうごく国営こくえいの新華社しんかしゃ通信つうしんは、評論ひょうろんで「中国ちゅうごくが新型しんがたコロナウイルスの協力きょうりょくを進すすめるうえでは、いかなる地政学ちせいがく的てきな目標もくひょうや経済けいざい的てき利益りえきの計算けいさんもない」として「ワクチン外交がいこう」という指摘してきは「雑音ざつおんだ」と反論はんろんしています。