Japanese News: 青森旧家のふすま絵大英博物館の狩野派の絵と対になる作品か

青森あおもり県けん中泊なかどまり町まちの旧家きゅうかが所蔵しょぞうするふすま絵えが、イギリスの大だい英えい博物館はくぶつかんにある江戸えど時代じだい初期しょきの狩野かの派はのふすま絵え「秋冬あきふゆ花鳥かちょう図ず」と対たいになる1つの作品さくひんである可能かのう性せいが極きわめて高たかいことが専門せんもん家かの調査ちょうさでわかりました。

青森あおもり県けん中泊なかどまり町まちの旧家きゅうか「宮越みやこし家か」は、大正たいしょうから昭和しょうわ初期しょきにかけて、当時とうじの当主とうしゅが私財しざいを投とうじて収集しゅうしゅうした貴重きちょうな美術びじゅつ品ひんのコレクションで知しられています。

このうち4枚まいのふすま絵えについて、狩野かの派はの研究けんきゅう者しゃとして知しられる元もと京都きょうと国立こくりつ博物館はくぶつかん主任しゅにん研究けんきゅう員いんの山下やました善よし也さんが調しらべたところ、大だい英えい博物館はくぶつかんが所蔵しょぞうし、江戸えど時代じだい初期しょきの狩野かの派はの絵師えしが描えがいたふすま絵え「秋冬あきふゆ花鳥かちょう図ず」と対たいになる、春はると夏なつを描えがいた作品さくひんである可能かのう性せいが極きわめて高たかいことが分わかりました。

宮越みやこし家かのふすま絵えには春はるを表あらわす桜さくらとキジや夏なつを表あらわす渓流けいりゅうが描えがかれていて、渓流けいりゅうの一部いちぶが「秋冬あきふゆ花鳥かちょう図ず」の図柄ずがらにつながっているほか、画風がふうや引ひき手しゅの金具かなぐの形かたちなども一致いっちするということです。

「秋冬あきふゆ花鳥かちょう図ず」はもともと、奈良なら県けん桜井さくらい市しの談だん山神さんじん社しゃにあったとされるもので、以前いぜんから春はると夏なつを描えがいた作品さくひんが存在そんざいする可能かのう性せいが指摘してきされていましたが、その行方ゆくえは長ながらくわかっていませんでした。

山下やましたさんは、このふすま絵えは行方ゆくえが分わからなかったもう1つの作品さくひんである可能かのう性せいが高たかいとしたうえで「豪華ごうか絢爛けんらん（ごうかけんらん）な桃山ももやま時代じだいから繊細せんさい優美ゆうびな江戸えど時代じだいへと移り変うつりかわる日本にっぽん文化ぶんかの変革へんかくを示しめす非常ひじょうに重要じゅうような作品さくひんだ。戦争せんそうや災害さいがいを免まぬかれて400年ねんもの間かん、よくぞ生き残いきのこってくれていたものだと思おもう」と話はなしています。

狩野かの派はとは

狩野かの派はは、室町むろまち時代じだいから明治めいじ時代じだいまでのおよそ400年ねんにわたって続つづいた日本にっぽん絵画かいがの中なかでも最大さいだいの流派りゅうはで、血縁けつえん関係かんけいでつながった狩野かの家かを中心ちゅうしんとした絵師えしの専門せんもん集団しゅうだんです。

創始そうし者しゃの狩野かの正信まさのぶは、室町むろまち幕府ばくふの将軍しょうぐん・足利あしかが家かの御用ごよう絵師えしを務つとめていました。

もともと水墨すいぼく画がの様式ようしきの「漢かん画が」を中心ちゅうしんとしていましたが、四季しきの風景ふうけいなどを描えがいた「やまと絵やまとえ」も取り入とりいれ、その後そのごも江戸えど時代じだいにかけて城しろや寺院じいんの障壁しょうへき画がなど幕府ばくふの仕事しごとを担になってきました。

文化財ぶんかざいとして貴重きちょうなものも多おおく、安土あづち桃山ももやま時代じだいに活躍かつやくし、織田おだ信長のぶながや豊臣とよとみ秀吉ひでよしに好このまれた狩野かの永ひさし徳とくなどのびょうぶ絵え「唐獅子からじし図ず屏風びょうぶ」や、江戸えど時代じだい初期しょきに狩野かの派はの絵師えしが描えがいたとされる風俗ふうぞく画がの傑作けっさく「彦根ひこね屏風びょうぶ」などが国宝こくほうに指定していされています。