「こども誰だれでも通園つうえん制度せいど」試行しこう的てき事業じぎょうの指針ししん こども家庭かてい庁ちょう

保育ほいく所しょなどの利用りよう要件ようけんを緩和かんわ 来年度らいねんどから各地かくちで試行しこう的てき事業じぎょう

政府せいふが創設そうせつを目指めざす「こども誰だれでも通園つうえん制度せいど」は、すべての子こどもの育そだちを支ささえることを目的もくてきに保育ほいく所しょなどの利用りよう要件ようけんを緩和かんわし、親おやが就労しゅうろうしていなくても時間じかん単位たんいなどで子こどもを預あづけられるようにする新あらたな通園つうえん制度せいどです。

令りょう和わ8年度ねんどからすべての自治体じちたいで実施じっしされるのを前まえに、来年度らいねんど、各地かくちで試行しこう的てきな事業じぎょうが行おこなわれる予定よていで、25日にち、こども家庭かてい庁ちょうで開ひらかれた保育ほいく所しょの事業じぎょう者しゃや専門せんもん家からによる検討けんとう会かいで具体ぐたい的てきな指針ししんが取とりまとめられました。

それによりますと、対象たいしょうとなるのは0歳さい6か月かげつから3歳さい未満みまんの子こどもで、保育ほいく所しょや認定にんていこども園えん、幼稚園ようちえん、地域ちいき子育こそだて支援しえん拠点きょてん、児童じどう発達はったつ支援しえんセンターなどで行おこなうとしています。

また、提供ていきょう体制たいせいを確保かくほするため、1人にん当あたりの利用りよう時間じかんの上限じょうげんを「月つき10時間じかん」とするとほか、慣なれるまでに時間じかんがかかる子こどもへの対応たいおうとして、初回しょかいなどに「親子おやこ通園つうえん」を取り入とりいれることも可能かのうとするということです。

試行しこう的てき事業じぎょうについて、こども家庭かてい庁ちょうはおよそ150の自治体じちたいでの実施じっしを想定そうていして公募こうぼを行おこなっていますが、今後こんご、すべての自治体じちたいで実施じっしすることを見据みすえ、計画けいかく的てきに提供ていきょう体制たいせいを整備せいびするよう求もとめています。

“働はたらいていなくても子こどもを預あづけられる”新あらたな通園つうえん制度せいど

国くにが創設そうせつを目指めざす「こども誰だれでも通園つうえん制度せいど」は、親おやが働はたらいていることを原則げんそくとする今いまの保育ほいく所しょの制度せいどに加くわえて、親おやが働はたらいていなくても月つきに一定いってい時間じかん、子こどもを預あづけられるようにする新あらたな通園つうえん制度せいどです。

対象たいしょうとなるのは0歳さい6か月かげつから3歳さい未満みまんの子こどもです。

認可にんかされた保育園ほいくえんや認定にんていこども園えんなどに通かよっていない3歳さい未満みまんの子こどもの数かずは、令りょう和わ3年度ねんど、全体ぜんたいの6割わりに当にあたるおよそ146万まん人にんと推計すいけいされています。

新あらたな制度せいどは、子こどもにとっては保育ほいくの専門せんもん職しょくがいる環境かんきょうで家庭かていとは異ことなる経験けいけんができたり、同どう世代せだいの子こどもなど家族かぞく以外いがいと関かかわる機会きかいが得えられたりするほか、親おやにとっても育児いくじ負担ふたんの軽減けいげんや孤立こりつ感かんの解消かいしょうにつながることなどが期待きたいされています。

今後こんごは検討けんとう会かいで取とりまとめられた事業じぎょうのあり方ありかたなどを踏ふまえ、本格ほんかく実施じっしを見据みすえた試行しこう的てきな事業じぎょうを各地かくちで行おこなう予定よていで、来年度らいねんどは全国ぜんこくおよそ150の自治体じちたいで行おこなうことを想定そうていし、実施じっしする自治体じちたいの公募こうぼが行おこなわれています。

一方いっぽうで制度せいどの本格ほんかく実施じっしに向むけては、▽保育ほいく現場げんばの人員じんいん配置はいちのあり方ありかたや、▽利用りよう可能かのう枠わくの定さだめ方かた、▽障害しょうがいのある子こどもを受け入うけいれる体制たいせいの整備せいびなど、引き続ひきつづき検討けんとうが必要ひつような課題かだいもあります。

国くには試行しこう的てきな事業じぎょうを通をとおして課題かだいの整理せいりや検証けんしょうを行おこない、令りょう和わ8年度ねんどには法律ほうりつに基もとづく新あらたな通園つうえん制度せいどとして全国ぜんこくのすべての自治体じちたいで実施じっしする方針ほうしんとなっています。

本格ほんかく実施じっしに向むけた課題かだい

1.保育ほいく現場げんばの負担ふたん軽減けいげん

「こども誰だれでも通園つうえん制度せいど」の本格ほんかく実施じっしに向むけては、新あらたに子こどもを受け入うけいれる保育ほいく現場げんばの負担ふたんをどのように軽減けいげんしていくかが課題かだいの1つになっています。

今年度こんねんど、国くにのモデル事業じぎょうを行おこなっている自治体じちたいのひとつ、千葉ちば県けん松戸まつど市しの保育園ほいくえんでは、待機たいき児童じどう対策たいさくでつくられたプレハブの空あき教室きょうしつを活用かつようして、ことし8月つきから保育園ほいくえんなどに通かよっていない子こどもの定期ていき的てきな預あずかりを行おこなっています。

対象たいしょうとなるのは原則げんそく3歳さい未満みまんの子こどもで、定員ていいんは8人にん。

週しゅうに1から2回かい、一いち日にち最大さいだいで7時間じかん利用りようできます。

保育園ほいくえんでは、慣なれない環境かんきょうに戸惑とまどう子こどもの不安ふあんや負担ふたんを軽減けいげんできるよう専属せんぞくの保育ほいく士し3人にんを配置はいちするなど、手厚てあつい体制たいせいで対応たいおうにあたっているといいます。

一方いっぽうで、来年度らいねんどから始はじまる試行しこう的てきな事業じぎょうでは、より多おおくの子こどもを受け入うけいれることになるため、保育ほいく士しは子こどもの特性とくせいなどを把握はあくするのに時間じかんがかかるほか、子こどもも慣なれるまでにより時間じかんがかかるなど、現場げんばの負担ふたんの増加ぞうかが懸念けねんされるということです。

「心こころに余裕よゆうないとよい保育ほいくできない 人員じんいん配置はいち考かんがえてほしい」

新しん松戸まつど南部なんぶ保育ほいく所しょの木村きむら良子りょうこ所長しょちょうは「短みじかい時間じかんで多おおくの子こどもを預あずかることになるので保育ほいく士しのスキルも必要ひつようになるし、心こころに余裕よゆうがないとよい保育ほいくはできない。保育ほいく士しが苦くるしくならないように人員じんいん配置はいちなどについても考かんがえてほしい」と話はなしていました。

2.定員ていいんに余裕よゆうがない都市とし部ぶでの受け皿うけざら確保かくほ

保育ほいく所しょの定員ていいんなどに余裕よゆうがない都市とし部ぶでは、子こどもを受け入うけいれるための受け皿うけざらの確保かくほが課題かだいとなります。

松戸まつど市しは今年度こんねんど、未み就園児えんじを預あずかる国くにのモデル事業じぎょうの対象たいしょうを「育児いくじに負担ふたん感かんや閉塞へいそく感かんを感かんじている保護ほご者しゃ」に限定げんていして公立こうりつの3つの保育園ほいくえんで取り組とりくみを行おこなっていて、登録とうろくしている子こどもの数かずは今月こんげつ18日にち時点じてんで合あわせて51人にんとなっています。

一方いっぽうで来年度らいねんど、「こども誰だれでも通園つうえん制度せいど」の本格ほんかく実施じっしを見据みすえた試行しこう的てき事業じぎょうを行おこなう際さいには、受け入うけいれの対象たいしょうを保育ほいく園えんなどに通かよっていない3歳さい未満みまんの子こどもに広ひろげることになり、これらの子こどもを受け入うけいれるために必要ひつような定員ていいんは339人にん分ぶんに上のぼることがわかったということです。

必要ひつような定員ていいんは339人にん分ぶん 確保かくほの見通みとおし立たったのは43.7人にん分ぶん

このため、松戸まつど市しは保育園ほいくえんや幼稚園ようちえんを所管しょかんする課かなど関係かんけいする職員しょくいんによるプロジェクトチームを立たち上あげ、受け皿うけざらの確保かくほに向むけて検討けんとうを進すすめていますが、追加ついかで確保かくほできる見通みとおしが立たったのは合あわせて43.7人にん分ぶんで、目標もくひょうの2割わりにも満みたない状況じょうきょうだということです。

今月こんげつ19日にちに開ひらかれた検討けんとう会かいでは課題かだいや対応たいおう策さくについても意見いけんが交かわされ、出席しゅっせき者しゃからは「幼稚園ようちえんでは保育ほいく室しつの環境かんきょうの問題もんだいや乳児にゅうじの保育ほいく経験けいけんが十分じゅうぶんにないことなどから、0歳さいや1歳さいの子こどもの受け入うけいれに消極しょうきょく的てきな部分ぶぶんがあるので、環境かんきょうを整ととのえるための備品びひんを補助ほじょしたり研修けんしゅう会かいを開ひらいたりしたい」などといった意見いけんが出だされていました。

「未み就園児えんじを預あずかる意義いぎは大おおきい いかに工夫くふうしていくか」

松戸まつど市し保育ほいく課かの山内やまうち将すすむ課長かちょうは「保育ほいく所しょなどの定員ていいんに余裕よゆうがあるという状況じょうきょうではないが、未み就園児えんじを預あずかる意義いぎは非常ひじょうに大おおきいものがあるので、それをいかに工夫くふうしていくかだと考かんがえています。事業じぎょう者しゃや行政ぎょうせい、利用りよう者しゃが情報じょうほう共有きょうゆうをしながら連携れんけいし、制度せいどがよりよいものになるよう注力ちゅうりょくしていきたい」と話はなしていました。

「孤立こりつしている家庭かていなどが利用りようできる仕組しくみが大事だいじ」

保育ほいくや子育こそだて支援しえんの問題もんだいに詳くわしい玉川たまがわ大学だいがくの大豆だいず生田いくた啓けい友とも教授きょうじゅは「月つき10時間じかんの利用りようというのは、子こどもを預あづける親おやの立場たちばや保育ほいくの観点かんてんから考かんがえると短みじかい時間じかんだという課題かだいはあるものの、すべての子こどもに保育ほいく所しょとつながる機会きかいが保障ほしょうされるということが重要じゅうようだ。孤立こりつしている家庭かていや、病気びょうきや障害しょうがいなどで保育ほいく所しょなどとつながりにくい子こどもも利用りようできる仕組しくみにしていくことが大事だいじになる」と評価ひょうかしました。

一方いっぽうで、受け皿うけざらの確保かくほや保育ほいく現場げんばの負担ふたん軽減けいげんを進すすめるためには保育ほいく士しの配置はいち基準きじゅんの改善かいぜんや働はたらき方かたの見直みなおし、人手ひとで確保かくほの取り組とりくみなどが不可欠ふかけつだとしています。

そのうえで、今後こんごに向むけては「必要ひつような手続てつづきを簡素かんそ化かするなど利用りようしやすい仕組しくみをつくり、今後こんご、試行しこう的てきな事業じぎょうで出でてくる現場げんばの課題かだいや解決かいけつ策さくを国くにや自治体じちたいとも共有きょうゆうしながら、子こどもにとってよりよい制度せいどにしていくことが重要じゅうようだ」と指摘してきしています。