羽田はた空港くうこう事故じこ 交信こうしん記録きろくやり取やりとり詳細しょうさい “18分ぶんの避難ひなん”機内きないで何なにが

「やり取やりとりの詳細しょうさいは」

「“18分ぶんの避難ひなん” 機内きないでは何なにが」

交信こうしん記録きろくの詳細しょうさいと、乗客じょうきゃくの証言しょうげんをまとめました。

※記事きじ文末ぶんまつに管制かんせい官かんと双方そうほうの機体きたいとの詳細しょうさいなやり取やりとりを掲載けいさいしています。

2日にち午後ごご6時じごろ、日本にっぽん航空こうくう516便びんが羽田はた空港くうこうの滑走かっそう路ろに着陸ちゃくりくした直後ちょくごに、出発しゅっぱつしようとしていた海上かいじょう保安庁ほあんちょうの航空こうくう機きと滑走かっそう路上ろじょうで衝突しょうとつして炎上えんじょうし、海上かいじょう保安ほあん官かん5人にんが死亡しぼう、1人にんが大だいけがをしました。

また、日本にっぽん航空こうくうによりますと、516便びんの乗客じょうきゃく乗員じょういんで新あらたに1人にんがけがをしていたことがわかり、あわせて15人にんがけがや体調たいちょう不良ふりょうで医療いりょう機関きかんを受診じゅしんしたことが確認かくにんされたということです。

15人にんは全員ぜんいん、乗客じょうきゃくだということです。

交信こうしん記録きろくの詳細しょうさいは

この事故じこについて、国土こくど交通こうつう省しょうは3日にち夜よる、管制かんせい官かんと双方そうほうの機体きたいが英語えいごでやり取やりとりしていた交信こうしん記録きろくの和訳わやくを公表こうひょうしました。

事故じこ4分ふん前まえ：午後ごご5時じ43分ふん

それによりますと、事故じこの4分ふん前まえの午後ごご5時じ43分ふんに、管制かんせい官かんは日本にっぽん航空こうくう機きに対にたいし、C滑走かっそう路ろへの進入しんにゅうを継続けいぞくするよう指示しじしています。

この際さい、管制かんせい官かんは「出発しゅっぱつ機きがあります」と伝つたえ、およそ2分ふん後ごには「着陸ちゃくりく支障ししょうなし」とも伝つたえています。

事故じこ2分ふん前まえ：午後ごご5時じ45分ふん

さらに、事故じこの2分ふん前まえの午後ごご5時じ45分ふんに、管制かんせい官かんは海上かいじょう保安庁ほあんちょうの航空こうくう機きに対にたいし、誘導ゆうどう路上ろじょうの停止ていし位置いちまで地上ちじょう走行そうこうするよう指示しじしています。

これに対にたいし、海上かいじょう保安庁ほあんちょうの航空こうくう機きは誘導ゆうどう路上ろじょうの停止ていし位置いちに向むかうと復唱ふくしょうしています。

事故じこ発生はっせい：午後ごご5時じ47分ふん

このあと、事故じこが起おきた午後ごご5時じ47分ふんまで管制かんせい官かんから海上かいじょう保安庁ほあんちょうの航空こうくう機きに対にたいし、滑走かっそう路ろへの進入しんにゅうを許可きょかする記録きろくはありませんでした。

一方いっぽう、海上かいじょう保安庁ほあんちょうによりますと、海上かいじょう保安庁ほあんちょうの機長きちょうは、事故じこのあと「進入しんにゅう許可きょかを受うけたうえで滑走かっそう路ろに進入しんにゅうした」と報告ほうこくしているということで、まったく食い違くいちがう認識にんしきを示しめしているということです。

事故じこ原因げんいんを調しらべている国くにの運輸うんゆ安全あんぜん委員いいん会かいは調査ちょうさ官かん6人にんを現地げんちに派遣はけんし、海上かいじょう保安庁ほあんちょうの航空こうくう機きからブラックボックスを回収かいしゅうするなどけさから本格ほんかく的てきな調査ちょうさを始はじめていて、今後こんご、双方そうほうの機長きちょうらから話はなしを聞きくなどして当時とうじの状況じょうきょうや事故じこの原因げんいんを調しらべることにしています。

“避難ひなんの18分ふん” その時とき、何なにが

日本にっぽん航空こうくうは2日にちの事故じこについて、羽田はた空港くうこうに着陸ちゃくりくしてから乗客じょうきゃく乗員じょういん379人にん全員ぜんいんが機体きたいの外そとに避難ひなんするまで18分間ふんかんだったと明あきらかにしました。

この18分間ふんかんに何なにがあったのか。乗客じょうきゃくの証言しょうげんをまとめました。

【着陸ちゃくりく】

“ドンドンドン 機体きたいがバウンド”

「最初さいしょは普段ふだん通どおりの着陸ちゃくりくかなと思おもったが、そのあとドンドンドンと機体きたいがバウンドした。外そとに出でたらエンジンが燃もえていたので、ただ事ただごとではないなと思おもった。どんどん火の手ひのてがまわって、機体きたいから離はなれたあとは機体きたいがすべて燃もえているような状況じょうきょうだった」（群馬ぐんま県けん 50代だい男性だんせい）

“腰こしが浮き上うきあがるくらいの衝撃しょうげき”

「ボンっというかなり大おおきい音おとがして、火ひが見みえた。腰こしが浮き上うきあがるくらいの衝撃しょうげきだった。1分ふんくらいして煙けむりが入はいってきて、呼吸こきゅうが難むずかしくなった感かんじがした。乗員じょういんが『大丈夫だいじょうぶですか、落ち着おちついて』と声こえをかけていて、乗客じょうきゃくはみな落ち着おちついていたが、緊張きんちょう感かんがあった」（群馬ぐんま県けんの50代だい男性だんせい）

“ガシャーンという音おと 照明しょうめいが暗くらく”

「着陸ちゃくりくする時とき、普段ふだんのドーンという音おとではなくガシャーンというような音おとがして、その後そのご機内きないの照明しょうめいが暗くらくなり、乗務じょうむ員いんから『落ち着おちついて下ください』というような声こえかけがありました。それから脱出だっしゅつするまで数すう分ふんほどだったと思おもいますが、私わたしがいた位置いちでは煙けむりが少すこし見みえる程度ていどで乗客じょうきゃくに大おおきな混乱こんらんはありませんでした」（前方ぜんぽうの席せき 55歳さい男性だんせい）

【その後そのご、機内きないは】

“焦げ臭こげくささ 一気いっきに充満じゅうまん”

「扉とびらが開ひらくまでの時間じかんは感覚かんかくだと5分ふんくらいだと思おもいます。機内きないの温度おんどはあつくはなかったが匂においは焦げ臭こげくささが一気いっきに充満じゅうまんしたような感かんじだった」（埼玉さいたま県けん 30代だい男性だんせい）

“小ちいさい子こども 多おおく泣き声なきごえ”

「乗客じょうきゃくはみんな混乱こんらんした様子ようすで、特とくに小ちいさい子こどもが多おおく泣き声なきごえがして、親おやがなだめている様子ようすでした。出火しゅっかが続つづいて煙けむりが機内きないに入はいってくるので、みんな不安ふあんでした」（神奈川かながわ県けん 60代だい男性だんせい）

“過か呼吸こきゅうのような状態じょうたい”

「CAの方ほうから『落ち着おちついてください』という機内きない放送ほうそうがあり、ほとんどの人ひとは、落ち着おちついていたが近ちかくに座すわっていた女性じょせいは過か呼吸こきゅうのような状態じょうたいになっていました」（埼玉さいたま県けん 59歳さい男性だんせい）

【避難ひなん】

“落ち着おちつくように” “立たたないで”

「機内きないでは『キャー』という叫び声さけびごえが聞きこえ、客室きゃくしつ乗務じょうむ員いんが『落ち着おちつくように』とか『立たたないでください』などと案内あんないしていた。煙けむりが充満じゅうまんしてきたので口くちと鼻はなを押おさえて身みを低ひくくして避難ひなんするように言いわれ、出口でぐちから案内あんないされて避難ひなんした。その後そのご家族かぞくに無事ぶじを伝つたえた」（22歳さい 男子だんし大学生だいがくせい）

“低ひくい姿勢しせいで 子こどもの口くちを押おさえて”

「家族かぞくだけは守まもりたいと思おもい、子こどもだけは煙けむりに当あたらないようにと、低ひくい姿勢しせいにさせて、妻つまには子こどもの口くちを押おさえてもらっていました。開ひらくことができた前まえの扉とびらから脱出だっしゅつ用ようの滑り台すべりだいで避難ひなんするまでには、10分ふんから15分ふんくらいはかかったように感かんじました。今いまは家族かぞくが無事ぶじでよかったと思おもっています」（埼玉さいたま県けん 33歳さい男性だんせい）

交信こうしん記録きろく （管制かんせい官かんと当該とうがい機きとのやりとりのみ抽出ちゅうしゅつ）

午後ごご5時じ43分ふん2秒びょう

日本にっぽん航空こうくう機き

「東京とうきょうタワー、JAL516スポット18番ばんです」

管制かんせい官かん

「JAL516、東京とうきょうタワーこんばんは。滑走かっそう路ろ34Rに進入しんにゅうを継続けいぞくしてください。風かぜ320度ど7ノット。出発しゅっぱつ機きがあります」

午後ごご5時じ43分ふん12秒びょう

日本にっぽん航空こうくう機き

「JAL516滑走かっそう路ろ34Rに進入しんにゅうを継続けいぞくします」

午後ごご5時じ44分ふん56秒びょう

管制かんせい官かん

「JAL516滑走かっそう路ろ34R着陸ちゃくりく支障ししょうなし。風かぜ310度ど8ノット」

午後ごご5時じ45分ふん1秒びょう

日本にっぽん航空こうくう機き

「滑走かっそう路ろ34R着陸ちゃくりく支障ししょうなしJAL516」

午後ごご5時じ45分ふん11秒びょう

海保かいほ機き

「タワー、JA722AC誘導ゆうどう路上ろじょうです」

管制かんせい官かん

「JA722A、東京とうきょうタワーこんばんは。1番目ばんめ。C5上じょうの滑走かっそう路ろ停止ていし位置いちまで地上ちじょう走行そうこうしてください」

午後ごご5時じ45分ふん19秒びょう

海保かいほ機き

「滑走かっそう路ろ停止ていし位置いちC5に向むかいます。1番目ばんめ。ありがとう」

このあと、事故じこが起おきた午後ごご5時じ47分ふんごろまで、管制かんせい官かんから海上かいじょう保安庁ほあんちょうの航空こうくう機きに対にたいする滑走かっそう路ろへの進入しんにゅう許可きょかの記録きろくはありませんでした。