“ブラック・ジャック”の新作しんさく 生成せいせいAIで制作せいさく 報道ほうどう関係かんけい者しゃに公開こうかい

20日にち、東京とうきょう・港みなと区くの慶應義塾けいおうぎじゅく大学だいがくで報道ほうどう関係かんけい者しゃを対象たいしょうにした新作しんさく完成かんせいの報告ほうこく会かいが行おこなわれ、手塚てづか治虫おさむさんの長男ちょうなんでプロジェクトの総そう監督かんとくを務つとめた手塚てづか眞まことさんや、総合そうごうプロデューサーで人工じんこう知能ちのうが専門せんもんの慶應義塾けいおうぎじゅく大学だいがくの栗原くりはら聡さとし教授きょうじゅらが出席しゅっせきしました。

ことし6月つきから始はじまったプロジェクト「TEZUKA2023」は、連載れんさいから50年ねんを迎むかえる手塚てづか治虫おさむさんの代表だいひょう作さくの1つ「ブラック・ジャック」の新作しんさくを、生成せいせいAIを使つかって制作せいさくする試こころみです。

報告ほうこく会かいの冒頭ぼうとう、眞まことさんは「予定よていどおり完成かんせいしてほっとしています。AIと人間にんげんが協きょう働作業さぎょうでしっかりと作り上つくりあげることができて嬉うれしく思おもいます。大変たいへん興味深きょうみぶかいものが出来上できあがったと感かんじています」と述のべました。

今回こんかいの新作しんさくは、大おおまかなストーリーや新しんキャラクターのデザインについて生成せいせいAIとやり取やりとりして、そこで出でてきたアイデアを基もとに、クリエーターたちが手てを加くわえて制作せいさくを進すすめてきました。

参加さんかしたクリエーターの1人にんで映画えいが監督かんとくの林はやし海象せいうちさんは「AIはタイトルなどのアイデアを出だしてくれました。会話かいわをしている感かんじで作業さぎょうは進すすみ、こちらの聞きき方かたが変へんだと違ちがう答こたえを出だしたりして楽たのしかったです」と話はなしていました。

報告ほうこく会かいでは冒頭ぼうとうの5ページが紹介しょうかいされ、ブラック・ジャックと助手じょしゅのピノコが訪問ほうもん先さきの企業きぎょうのCEOから患者かんじゃを診みてほしいと依頼いらいを受うけ、物語ものがたりの核かくとなるキャラクターがベッドの上うえで横よこたわっているシーンが公開こうかいされました。

ブラック・ジャックの新作しんさくは、22日にちに秋田あきた書店しょてんから出版しゅっぱんされる「週刊しゅうかん少年しょうねんチャンピオン」に掲載けいさいされます。

「AIが人間にんげんの『創造そうぞう性せいのサポート』にどれだけ貢献こうけんできるのか」

今回こんかいのプロジェクトは、生成せいせいAIを使つかってブラック・ジャックの新作しんさくに挑いどむだけではなく「AIが人間にんげんの『創造そうぞう性せいのサポート』にどれだけ貢献こうけんできるのか、その可能かのう性せいと課題かだいを探さぐる」という「研究けんきゅう」も主おもなねらいです。

制作せいさくにあたっては、大おおきく2つの生成せいせいAIを使つかって人間にんげんと「協きょう働」で作業さぎょうを進すすめました。

大おおまかなストーリー作づくりには、テキストを生成せいせいするAIを、新あらたに登場とうじょうするキャラクターの顔かおの造形ぞうけいのアイデアは画像がぞう生成せいせいAIを使用しようしました。

ストーリー作づくりでは、テキストを生成せいせいするAIに、ブラック・ジャックの物語ものがたりの構造こうぞうや世界せかい観かん、登場とうじょう人物じんぶつの属性ぞくせいといった「作風さくふう」を取り込とりこんだ指示しじ文ぶん、プロンプトを打ち込うちこむことで、ストーリーの大おおまかな「プロット」を生成せいせいさせました。

キャラクター作づくりには、画像がぞう生成せいせいAIに「ブラック・ジャック」や手塚てづかさんの他ほかの作品さくひんのキャラクターを学習がくしゅうさせることで「手塚てづか治虫おさむ風ふう」の絵えを生成せいせいできるようカスタマイズしました。

ことし7月つきから、クリエーターたちも参加さんかしてストーリーの作成さくせいに本格ほんかく的てきに取り組とりくみ、AIに指示しじを出だしたり、アイデアを相談そうだんしたりしながら物語ものがたりの骨格こっかくを固かためていきました。

9月つきからは新しんキャラクターを画像がぞう生成せいせいAIで大量たいりょうに生成せいせいさせ、物語ものがたりのイメージに近ちかい画像がぞうを「参考さんこう画像がぞう」として選えらんだうえで、クリエーターが登場とうじょう人物じんぶつを描えがいていく作業さぎょうが進すすめられました。

最後さいごはコマ割わりからペン入いれまで、人間にんげんの手てで1から漫画まんがが描えがき上あげられ、このたび32ページの完全かんぜん新作しんさくが完成かんせいしました

手塚てづか眞まことさん「何なにも考かんがえずまっさらな気持きもちで読よんでほしい」

手塚てづか治虫おさむさんの長男ちょうなんでプロジェクトの総そう監督かんとくを務つとめた手塚てづか眞まことさんは「雑誌ざっしの形かたちとなったときは感動かんどうしました。どんなクオリティーか、ブラック・ジャックになるのか不安ふあんだったが、完璧かんぺきではないですが、何なんとなくそれっぽいものには落とし込おとしこめたと思おもいます。AIを使つかいこなすことでさらにテンポよく制作せいさくできると思おもいますが、AIはレスポンスが早はやいのでAIがやればやるほど人間にんげんはもっと働はたらかないといけないとも感かんじました。まずは何なにも考かんがえずに、まっさらな気持きもちで読よんでほしいと思おもいます。どういう感想かんそうを持もつか。大だい否定ひていもいると思おもうし、賛否さんぴ含ふくめ、出でてきた声こえを率直そっちょくに聞ききたいです」と話はなしていました。

栗原くりはら聡さとし教授きょうじゅ「AI利り活用かつようの可能かのう性せい感かんじた 最後さいごは人間にんげん次第しだい」

プロジェクトの総合そうごうプロデューサーを務つとめた、人工じんこう知能ちのうが専門せんもんの慶應義塾けいおうぎじゅく大学だいがくの栗原くりはら聡さとし教授きょうじゅは「AIの利り活用かつようの可能かのう性せいを感かんじたのは間違まちがいないです。ただ、誰だれもがAIとコラボしてAIのよさを引き出ひきだせる、自分じぶんを高たかめられるかというとそうではないとも感かんじました。AIが生成せいせいしたものをただ受け入うけいれるだけではなく、生成せいせいされた内容ないように対にたいして人間にんげんが創造そうぞう性せいを高たかめて反応はんのうしていかないと、生いかせないと思おもいます。今いまのAIは苦労くろうしなくてもそれなりのものは生成せいせいできるし、それだけでも楽たのしいですが、より僕ぼくらが、人間にんげんが魂たましいを込こめることができるかどうかは、最後さいごは人間にんげん次第しだいと感かんじました」と話はなしていました。

林はやし海象せいうちさん「AIと人間にんげんが切磋せっさ琢磨たくま 面白おもしろい作品さくひん出でてくる」

クリエーターの1人にんとしてプロジェクトに参加さんかした映画えいが監督かんとくの林はやし海象せいうちさんは「AIは物語ものがたりを『壊こわす』という、いわゆる乱調らんちょうではない、無難ぶなんなアイデアが多おおいので、『攻せめる姿勢しせい』はまだ弱よわいと感かんじました。ただ、タイトルや人工じんこう臓器ぞうきの名称めいしょうのアイデアを提案ていあんしたのは驚おどろきました。言葉ことばを完全かんぜんに作り出つくりだしてきたので、どこで学まなんだのか、魅力みりょく的てきだと感かんじました。AIと人間にんげんが切磋せっさ琢磨たくましてタッグを組くんでいけば面白おもしろいと思おもえるような作品さくひんが出でてくると思おもいます」と話はなしていました。