日本新聞: ウクライナにスロバキアがNATO加盟国として初の戦闘機供与

ウクライナにスロバキアがNATO加盟かめい国こくとして初はつの戦闘せんとう機き供与きょうよ

Mar 25, 2023 05:03

Furigana

ウクライナの隣国りんごくスロバキアは、NATO＝北大ほくだい西洋せいよう条約じょうやく機構きこうの加盟かめい国こくとして初はじめて、ウクライナに戦闘せんとう機きを供与きょうよしました。ロシアの軍事ぐんじ侵攻しんこうに対にたいして徹底てってい抗戦こうせんを続つづけるウクライナへの軍事ぐんじ支援しえんが相次あいついでいます。

ウクライナ東部とうぶドネツク州しゅうの地元じもと当局とうきょくは24日にち、激戦げきせん地ちバフムトからおよそ20キロ西にしにあるコスチャンチニウカで、ロシア軍ぐんによるミサイル攻撃こうげきがあり、避難ひなん施設しせつに着弾ちゃくだんして、バフムトからの避難ひなん民みんなどあわせて3人にんが死亡しぼうしたと、SNSで明あきらかにしました。

バフムトをめぐって、ウクライナ陸軍りくぐんの現地げんち司令しれい官かんは23日にちに「ロシアの主力しゅりょく戦力せんりょくになっている民間みんかん軍事ぐんじ会社かいしゃワグネルは力ちからが尽つきつつある」とSNSで指摘してきし、領土りょうど奪還だっかんに向むけた反転はんてん攻勢こうせいに乗り出のりだすことを強調きょうちょうしました。

こうした中なか、ウクライナの西にしの隣国りんごくスロバキアは23日にち、軍事ぐんじ支援しえんの一環いっかんで、旧きゅうソビエト製せいのミグ29戦闘せんとう機き4機きをウクライナに引き渡ひきわたしたことを明あきらかにしました。

ウクライナ空軍くうぐんによりますと、戦闘せんとう機きを実際じっさいに供与きょうよしたのは、NATOの加盟かめい国こくとしてはスロバキアが初はじめてだということです。

ポーランドもすでに同おなじ戦闘せんとう機きを供与きょうよする方針ほうしんを表明ひょうめいしているほか、EU＝ヨーロッパ連合れんごうは23日にち、今後こんご1年間ねんかんで100万まん発はつの弾薬だんやくを供与きょうよする支援しえん策さくを承認しょうにんしていて、欧米おうべい各国かっこくの軍事ぐんじ支援しえんが相次あいついでいます。

一方いっぽう、ウクライナでクリミア問題もんだいを統括とうかつする政権せいけん高官こうかんは24日にち、SNSで「戦争せんそうの終結しゅうけつはクリミア解放かいほうから始はじまる」という文言もんごんが、ことし中ちゅうに政府せいふの戦略せんりゃくに明記めいきされる方針ほうしんを明あきらかにしました。

ロシアが9年ねん前まえに一方いっぽう的てきに併合へいごうしたクリミアをめぐっては、プーチン大統領だいとうりょうが今月こんげつ18日にちに訪問ほうもんし、ロシア側がわの支配しはいを誇示こじしています。

ロシアの安全あんぜん保障ほしょう会議かいぎのメドベージェフ副ふく議長ぎちょうは、24日にちに公開こうかいした国営こくえいメディアとのインタビューで、ウクライナがクリミア奪還だっかんに乗り出のりだせば「核かく抑止よくし力りょくの原則げんそくに規定きていされたものを含ふくむ、あらゆる防衛ぼうえい手段しゅだんを使つかう根拠こんきょになる」と述のべ、再ふたたび核かく戦力せんりょくをちらつかせて威嚇いかくしました。

防衛ぼうえい研究所けんきゅうじょ高橋たかはし杉雄すぎお室長しつちょう “戦闘せんとう機きは最強さいきょうの防空ぼうくう兵器へいき”

スロバキアがウクライナに対にたいし戦闘せんとう機きの供与きょうよを行おこなったことについて、防衛ぼうえい省しょう防衛ぼうえい研究所けんきゅうじょの高橋たかはし杉雄すぎお防衛ぼうえい政策せいさく研究けんきゅう室長しつちょうは、「戦闘せんとう機きは最強さいきょうの防空ぼうくう兵器へいきなので一番いちばん期待きたいできるのは防空ぼうくう能力のうりょくの強化きょうかだ。ロシアの巡航じゅんこうミサイルの迎撃げいげきに使つかうことが十分じゅうぶんに考かんがえられ、これまで以上いじょうに巡航じゅんこうミサイルの撃墜げきつい率りつを高たかめることが期待きたいできる」としています。

一方いっぽうで、今回こんかいの供与きょうよは数かずが少すくなく、直ただちに戦況せんきょうに大おおきな変化へんかをもたらすものではないとしたうえで「戦闘せんとう機きの供与きょうよはこれまでなかったので、今回こんかいその口火くちびを切きったことで、今後こんご、アメリカのF16など、さらなる戦闘せんとう機きの供与きょうよにつながればいいとのねらいもあるのではないか」と指摘してきしています。

また、戦闘せんとう機きに加くわえ、ヨーロッパ諸国しょこくから続々ぞくぞくと供与きょうよされている戦車せんしゃや弾薬だんやくなどが戦況せんきょうにどのような影響えいきょうを与あたえるかについては、高橋たかはし室長しつちょうは「準備じゅんびが整ととのった兵器へいきを今いま、バフムトなど東部とうぶで行おこなわれている消耗しょうもう戦せんに穴埋あなうめ的てきに投入とうにゅうしてしまえば、戦況せんきょうは大おおきく変かわらないだろう。例たとえば戦車せんしゃであれば、100両りょう近ちかくをまとめて1か所かしょに投入とうにゅうできる状況じょうきょうになるまでがまんすれば戦況せんきょうが大おおきく変かわる可能かのう性せいが出でてくる」と分析ぶんせきしています。

そのうえで「戦況せんきょうに大おおきな変化へんかをもたらすとすれば、4月つきの末すえや5月つきごろだろう。今後こんご1か月かげつや2か月かげつという長ながいタイムフレームで考かんがえたときにウクライナ側がわの反撃はんげき能力のうりょくが強化きょうかされると考かんがえられる」としています。

このほか、イギリスがウクライナに劣化れっかウラン弾だんの供与きょうよを決きめたことに対にたいし、ロシアが強つよく反発はんぱつしていることについては「劣化れっかウラン弾だんというのは弾たまの中心ちゅうしん部分ぶぶんの芯しんに劣化れっかウランという放射ほうしゃ性せいの落おちたウランを使つかっているだけで、核かく爆発ばくはつは一切いっさい起おこらない。ロシアの主張しゅちょうは全まったくのうそで言いいがかりだ」と指摘してきしました。