日本新聞: フリーランスや自営業育児で収入減への支援政府が具体策検討

多様たような働はたらき方かたが広ひろがる中なか、政府せいふはフリーランスや自営じえい業ぎょうの人ひとが育児いくじで収入しゅうにゅうが減へった場合ばあいに、経済けいざい的てきな支援しえんを行おこなう新あらたな仕組しくみを創設そうせつするなど、少子しょうし化か対策たいさくを強化きょうかする方針ほうしんを明あきらかにしていて、今月こんげつ末まつの取とりまとめに向むけて具体ぐたい策さくの検討けんとうを進すすめています。

政府せいふは、岸田きしだ総理そうり大臣だいじんが目指めざす「次元じげんの異ことなる少子しょうし化か対策たいさく」の具体ぐたい化かに向むけて、若わかい世代せだいの所得しょとくを増ふやすことや社会しゃかい全体ぜんたいの構造こうぞうや意識いしきを変かえることなどを基本きほん理念りねんに、専門せんもん家かなどから意見いけんを聞きき検討けんとうを進すすめています。

このうち、企業きぎょうなどに所属しょぞくせずに自由じゆうに契約けいやくを結むすんで働はたらくフリーランスや自営じえい業ぎょうの人ひとに対にたいしても、育児いくじによって収入しゅうにゅうが減少げんしょうした場合ばあいに経済けいざい的てきな支援しえんを行おこなう新あらたな仕組しくみを創設そうせつする方針ほうしんを明あきらかにしています。

内閣ないかく官房かんぼうの調査ちょうさでは、フリーランスは2020年ねんの時点じてんの推計すいけいで男女だんじょ合あわせておよそ462万まん人にんと増加ぞうか傾向けいこうにあり、比較的ひかくてき、柔軟じゅうなんな働はたらき方かたができるとして子育こそだて世代せだいからも注目ちゅうもくを集あつめています。

一方いっぽうで企業きぎょうなどで雇用こようされている人ひとは、一定いっていの条件じょうけんを満みたせば休職きゅうしょく中ちゅうも育児いくじ休業きゅうぎょう給付きゅうふ金きんが支給しきゅうされるのに対にたいし、フリーランスの人ひとには支援しえんの仕組しくみがなく、経済けいざい的てきな不安ふあんから出産しゅっさんをためらう人ひとも少すくなくないと指摘してきされています。

政府せいふは今月こんげつ末まつをめどに、こうした対策たいさくを盛り込もりこんだ具体ぐたい策さくのたたき台たたきだいをまとめる予定よていで、働はたらき方かたにかかわらず、すべての人ひとが安心あんしんして子育こそだてができる環境かんきょう整備せいびを進すすめたいとしています。

女性じょせいの働はたらき方かた多様たように仕事しごとと子育こそだて両立りょうりつ支援しえん課題かだいに

女性じょせいの多様たような働はたらき方かたやキャリアの選択せんたくが広ひろがり、共働ともばたらき世帯せたいも増加ぞうかする中なか、重要じゅうような課題かだいの1つとなっているのが仕事しごとと子育こそだての両立りょうりつ支援しえんの強化きょうかです。

国くにの労働ろうどう力りょく調査ちょうさによりますと、女性じょせいの就業しゅうぎょう者しゃ数すうは増加ぞうか傾向けいこうにあり、去年きょねんは3024万まん人にんと平成へいせい24年ねんからの10年間ねんかんで360万まん人にん余あまり、率りつにしておよそ14％増加ぞうかしています。

共働ともばたらき世帯せたいも増加ぞうか傾向けいこうが続つづき、去年きょねんは1262万まん世帯せたいと統計とうけいを取とり始はじめたおよそ40年ねん前まえと比くらべると2倍ばい以上いじょうに増ふえています。

一方いっぽうで、女性じょせいの正規せいき雇用こようの割合わりあいを年齢ねんれい別べつにみると、25歳さいから29歳さいの60％をピークに、30歳さいから34歳さいでは48％、35歳さいから39歳さいでは39％と年齢ねんれいを重かさねるに伴ともなって低下ていかしています。

出産しゅっさんや育児いくじを機きに退職たいしょくしたり働はたらき方かたを変かえたりするケースが多おおいとみられていて、働はたらき方かたにかかわらず仕事しごとと子育こそだての両立りょうりつをどう支援しえんしていくのか、国くにが検討けんとうを続つづけています。

フリーランスの女性じょせい “現状げんじょうに不安ふあん出産しゅっさんためらう”

フリーランスとして働はたらきながら、出産しゅっさんや育児いくじによって収入しゅうにゅうが減へった際さいに、経済けいざい的てきな支援しえんがない現状げんじょうに不安ふあんを感かんじ、出産しゅっさんをためらっているという人ひともいます。

都内とないでフリーランスのライターとして働はたらく31歳さいの女性じょせいは、大学だいがくの正規せいき職員しょくいんとして働はたらいていた5年ねん前まえに長女ちょうじょを出産しゅっさんし、産休さんきゅうや育休いくきゅうを取得しゅとくしておよそ1年ねん後ごに復職ふくしょくしました。

しかし、正規せいき職員しょくいんの働はたらき方かたでは将来しょうらい、子こどもの就学しゅうがくに伴ともなう問題もんだいや親おやの介護かいごの問題もんだいなどに直面ちょくめんした際さい、柔軟じゅうなんな対応たいおうが難むずかしいと感かんじ、非ひ正規せいき雇用こようなどを経へて2年ねん前まえからフリーランスとして働はたらくようになりました。

女性じょせいは「フリーランスの働はたらき方かたなら柔軟じゅうなんに仕事しごとを組み立くみたてられるので、子こどもが保育園ほいくえんで何なにかあってもすぐ駆かけつけられる安心あんしん感かんもありますし、将来しょうらい、学童がくどう保育ほいくなどに入いれなくて早はやく帰宅きたくすることになっても、仕事しごとを諦あきらめることなく、子こどもとの時間じかんをとれるかなと思おもっています。正せい社員しゃいんのころはこうした柔軟じゅうなんな対応たいおうが可能かのうなのか不安ふあん感かんが強つよかったです」と話はなしていました。

一方いっぽうで、この先さき、もう1人にん子こどもが欲ほしいという希望きぼうがあり、夫婦ふうふで話し合はなしあっていますが、出産しゅっさんや育児いくじによって収入しゅうにゅうが減少げんしょうしても支援しえんの仕組しくみがない現状げんじょうなどを考かんがえ、踏み切ふみきれずにいるといいます。

女性じょせいは「仕事しごとができない期間きかんは収入しゅうにゅうがゼロになってしまうので、家計かけいの状況じょうきょうなどを考かんがえると結論けつろんが先送さきおくりになってしまいます。フリーランスでも雇用こよう保険ほけんに類似るいじするような制度せいどができて、払はらったお金おかねをもとに支援しえんが受うけられるようになれば安心あんしんして出産しゅっさんや育児いくじに臨のぞめると思おもいます」と話はなしていました。

フリーランス協会きょうかい代表だいひょう理事りじ「諦あきらめていた人ひとたち救すくわれる」

フリーランスを支援しえんする団体だんたいがフリーランスとして働はたらきながら出産しゅっさんや育児いくじを経験けいけんした女性じょせいを対象たいしょうに2017年ねんに行いったアンケート調査ちょうさでは、仕事しごとへの復帰ふっきのタイミングは

▼「産後さんご3日にち以内いない」が9.4％、

▼「産後さんご1週間しゅうかん」が13.2％で

▼「産後さんご1か月かげつ」が22.2％、

▼「産後さんご2か月かげつ」が14.2％となり、

産後さんご2か月かげつ以内いないの復帰ふっきがおよそ6割わりにのぼったということです。

企業きぎょうなどに雇用こようされている人ひとは労働ろうどう基準きじゅん法ほうの母性ぼせい保護ほご規定きていで出産しゅっさん後ご、6週間しゅうかんは強制きょうせい的てきな休業きゅうぎょうが定さだめられ、原則げんそく8週間しゅうかん、つまり2か月かげつは就業しゅうぎょうさせてはならないとされていますが、フリーランスは法律ほうりつの適用てきよう外がいとなっています。

政府せいふがフリーランスに対にたいしても育児いくじによって収入しゅうにゅうが減へった場合ばあいに経済けいざい的てきな支援しえんを行おこなう新あらたな仕組しくみを創設そうせつすると明あきらかにしたことについて、フリーランス協会きょうかいの平田ひらた麻莉まり代表だいひょう理事りじは「これまでは保険ほけん料りょうなどを払はらいたいという気持きもちはあってもそもそも払はらう仕組しくみさえなかったので、今回こんかい制度せいどが整備せいびされることで無理むりをして産後さんごすぐに働はたらいていた人ひとや2人にん目めを諦あきらめていた人ひとたちが救すくわれるのではないか。子こどもと仕事しごとをどちらも諦あきらめずに両立りょうりつできるようになる、大おおきな道筋みちすじだと思おもいます」と話はなしていました。

そのうえで「フリーランスは就労しゅうろう時間じかんの長ながさや年収ねんしゅうもそれぞれ多様たようであるということを念頭ねんとうに置おいて、支給しきゅう対象たいしょうや支給しきゅう額がくなども会社かいしゃ員いんから見みたときにも不公平ふこうへいとならないようにすべての働はたらく人ひとが納得なっとくできるような制度せいどを目指めざしてほしい。フリーランスだからといって出産しゅっさんを諦あきらめなくてもい、安心あんしんして子育こそだてができる社会しゃかいになってほしいです」と話はなしていました。