厚生労働省によりますと、これまでに482万件、4兆6540億円の支給が決まっていますが、一方で不正も相次いでいて、未遂も含めると先月末までに全国で292件、およそ23億3000万円に上ることが分かりました。
実際には働いている従業員を休ませたように装うなどして、受け取った助成金を会社の運転資金に回すケースなどが多いということです。
また、SNS上では手数料を受け取って不正を指南するという書き込みも複数見られ、実態のない会社を使って申請する手口も確認されているということです。
厚生労働省は「申請方法を教えて手数料を得ようとする業者などには十分注意してほしい。悪質な不正については、企業名の公表や刑事告発も検討する」としています。
女性はふだんはパート従業員で、事業主などではないため助成金の受給資格はありませんが、SNS上で誰でも受け取れるという内容の書き込みを見て、連絡を取ったということです。 相手からは免許証など本人確認の資料などを送るよう指示され、手数料としておよそ6万円を支払ったということです。 女性は「『ほかの人も申請して認められている』と説明されて、悪いことではないとはずだと考えるようになった」と当時の心境を振り返っています。 女性はその後、助成金を受け取るために実態のない会社を通じて申請することなどを求められたため違法なことではないかと心配になり、弁護士に相談したということです。 女性は「最初はおいしい話だと思ったが、今は本当に後悔している。SNS上のあやしい情報には絶対に手を出さないと心に誓いました」と話しています。
警察庁によりますと、先月までに雇用調整助成金や緊急雇用安定助成金の不正受給で摘発された人は全国で15人に上っています。 元検事で詐欺事件に詳しい上原幹男弁護士は「国の助成金や給付金に絡んだあやしいもうけ話がSNS上などで多く見られる。安心させようと『弁護士がついている』とか、『絶対に捕まることはない』などと言って誘い込むのが特徴だ」と指摘しています。 そのうえで、「非常に軽い気持ちで不正に加担するケースも多いが、詐欺罪は10年以下の懲役で、罰金刑がない極めて重い犯罪だ。反社会的な組織が関与している可能性もあるので、十分注意してほしい」と呼びかけています。
不正申請の女性「本当に後悔している」
弁護士「詐欺罪は極めて重い犯罪 十分注意を」