北海道では、去年10月下旬から1週間平均の新規感染者数が前の週との比較で増え始め、10月19日には1日の新規感染者数が17人だったのが、11月20日には304人となりことし2月上旬まで100人前後の日が続きました。
一方、東京都では去年11月上旬には1日の新規感染者数は100人前後でしたが、11月中旬には前の週との比較で増加が見え始めるようになり、さらに12月中旬には増加傾向が明確になって、ことし1月7日には1日で2520人とそれまでで最も多い感染者数となりました。
全国で見ても、増加が顕著になったのは去年11月中旬以降で、去年11月上旬までは1日の新規感染者数は1000人未満だったのが、11月下旬に2000人、12月末には4000人となり、ことし1月8日には8000人近くにまで上りました。
また、去年2月下旬に国内で最初に感染が広がったのも北海道で、2月28日には独自の緊急事態宣言を出して外出の自粛を呼びかけました。
このときも東京都で感染が拡大したのは、3週間余りのちの3月下旬以降で、その後、4月上旬には初めての緊急事態宣言が出されました。
閉めきった環境で感染しやすいことが最初に分かったのは、去年2月の「さっぽろ雪まつり」のときで、閉めきった休憩所で暖を取っていて感染が広がったケースなどがあったことを受けて、専門家が分析した結果、密閉された空間で一定の時間、ウイルスが含まれたごく小さな飛まつがしばらく漂い、それを吸い込むことで感染することが分かりました。 これをもとに、手洗いや消毒、マスクなしでの会話を避けることに加え、「密閉・密集・密接」の3密を避けるという対策が行われるようになりました。 また、換気することで感染リスクが下がるということも分かっています。 しかし、気温が下がる冬は室内での活動が増え、年末に向けて忘年会やクリスマス、正月休みなどで人と人との接触の機会が増えるため、感染リスクが高まるおそれがあるとして、厚生労働省の専門家会合は換気を含めた基本的な対策を徹底するよう呼びかけています。 ことしの冬はワクチン接種が進み、2回の接種を終えた人は全国で75%を超え、一定程度感染拡大が抑えられるとみられる一方、接種していない人での感染や接種を終えた人でも感染する「ブレイクスルー感染」が一部で起きることから、専門家会合は接種を終えた人を含めて引き続き、対策をとることが必要だとしています。
道内では、1日の新たな感染者が、今月16日におよそ1か月ぶりに30人を超えるなど、前の週の同じ曜日より感染者が多くなる日が増えています。 この状況について、道の新型コロナウイルス感染症対策本部は、NHKの取材に対し「一気に感染が拡大するような兆候は見られていない」との認識を示しました。 その理由として、感染者が増えているのは、札幌市と旭川市が中心だと指摘したうえで、札幌市については「医療機関でクラスターが発生したことで感染者が増えたが、現段階では市中で広がっているような状況ではない」としています。 また、旭川市についても「飲食店などでクラスターが発生していて、感染者が今後も散発的に出ると思われるが、感染が一気に拡大する兆候は見られていない」としています。 さらに、新たに感染しているのは、ワクチンを接種していない人がほとんどだとしています。 北海道では、保健所で感染者や濃厚接触者に話を聞くなどして、感染経路をつきとめ、感染の拡大を防ぐためのクラスター対策を行っているほか、道は基本的な対策を徹底するよう呼びかけています。 道の感染症対策本部は「今後も新規の感染者が増え続けるようであれば、第6波の入り口ということにもなりえるので、感染状況を引き続き、注視していきたい」としています。
また「市中にウイルスは存在していて油断していると増加してきてしまう。感染が高まってくる時期にさしかかっており、マスクを着用し、3密を避けること、換気をしっかり行うことなど、基本的な感染対策の徹底を心がける必要がある」と話しています。
「密閉・密集・密接」を避け、換気含めた対策を
道対策本部「一気に感染が拡大する兆候ない」
東邦大 舘田一博教授「基本的な感染対策の徹底を」