日本新闻: 臓器売買や娘の“身売り”もアフガニスタン食料不足深刻化で

臓器ぞうき売買ばいばいや娘むすめの“身売みうり”もアフガニスタン食料しょくりょう不足ふそく深刻しんこく化かで

Jan 10, 2022 23:01

Furigana

アフガニスタンでは、イスラム主義しゅぎ勢力せいりょくタリバンが復権ふっけんして以降いこう、国際こくさい社会しゃかいからの支援しえんが停滞ていたいするなどして、食料しょくりょう不足ふそくが一段いちだんと深刻しんこく化かしています。本格ほんかく的てきな冬ふゆを迎むかえた現地げんちでは、食料しょくりょうを買かうため、金銭きんせんと引き換ひきかえに幼おさない子こどもを嫁とつがせる親おやがいるなど、人々ひとびとは人道じんどう危機ききに直面ちょくめんしています。

アフガニスタンでは去年きょねん8月つき、イスラム主義しゅぎ勢力せいりょくタリバンが再ふたたび権力けんりょくを掌握しょうあくして以降いこう、国際こくさい社会しゃかいは、タリバンの統治とうちの進め方すすめかたや人権じんけん状況じょうきょうなどを見極みきわめたいとしていて、支援しえんが停滞ていたいしています。

こうした中なか、首都しゅとカブールなど都市とし部ぶでは食料しょくりょう品ひんの値段ねだんが上あがっていて、食料しょくりょうを十分じゅうぶんに手てにすることが困難こんなんになっています。

特とくに地方ちほうでは一層いっそう深刻しんこくで、西部せいぶヘラート州しゅうにある避難ひなん民みんキャンプには、食たべることができなくなった多おおくの人ひとたちが支援しえんを求もとめて身みを寄よせるようになっています。

しかし、国連こくれんなどの支援しえんが滞とどこおる中なか、食料しょくりょうはほとんど届とどかず、長引ながびく干かんばつの影響えいきょうも重かさなって、人々ひとびとの生活せいかつは日増ひましに厳きびしくなるばかりです。

事態じたいを打開だかいしようと、避難ひなん民みんの中なかには食料しょくりょうを買かうため、金銭きんせんと引き換ひきかえに、裕福ゆうふくな家いえに幼おさない子こどもを嫁とつがせ、相手あいてからいわゆる「結納ゆいのう金きん」などを受け取うけとって暮くらしを支ささえる親おやが少すくなくないといいます。

また、苦くるしい生活せいかつから脱だっしようと、みずからの臓器ぞうきを売うりに出だし、生活せいかつ費ひとしている人ひともいるなど、人々ひとびとは人道的じんどうてきな危機ききに直面ちょくめんしています。

自分じぶんの臓器ぞうきを売うる “家族かぞくが生いきていくためほかに何なにができる”

ヘラート州しゅうには、国連こくれんの機関きかんなどが支援しえんする避難ひなん民みんキャンプがあります。

キャンプには、20年ねんにわたる戦闘せんとうや長引ながびく干かんばつで家いえを追おわれた人ひとたちなど、およそ7000世帯せたいが身みを寄よせ合あいながら暮くらしています。

ここに3年ねん前まえから暮くらすアブドゥルサラムさん（48）は、夜間やかんに警備けいび員いんとして働はたらいていますが、収入しゅうにゅうは1日にち100アフガニ、日本にっぽん円えんでおよそ110円えん、家族かぞく9人にんで1日にち1回かい食たべるのが精せいいっぱいだといいます。

さらに母親ははおやの病気びょうきの治療ちりょうのため借金しゃっきんを抱かかえています。

家いえには換金かんきんできるものは何なにもなく、追い詰おいつめられたアブドゥルサラムさんが決意けついしたのが、自分じぶんの臓器ぞうきを売うることでした。

数すう日にち後ご、キャンプの近ちかくに“臓器ぞうき売買ばいばいを仲介ちゅうかいしている病院びょういんがある”と聞きき、その病院びょういんを訪おとずれると、血液けつえき検査けんさを受うけさせられ、同おなじ血液けつえき型がたの臓器ぞうきの「注文ちゅうもん」が入はいったら連絡れんらくするといわれたといいます。

臓器ぞうきは日本にっぽん円えんでおよそ33万まん円えんで売うれるといわれ、今いまも病院びょういん側がわからの連絡れんらくを待まっています。

家族かぞくが生いきていくために、ほかに何なにができるのか。

アブドゥルサラムさんは3歳さいと6歳さい、そして9歳さいの3人にんの娘むすめたちを嫁とつがせることを考かんがえています。

アブドゥルサラムさんは「臓器ぞうきを売うっても家族かぞくが食たべていけなければ、娘むすめは3人にんいるので売うるしかないだろう」と話はなしていました。

3歳さいの娘むすめ嫁とつがせる「必要ひつように迫せまられなければ誰だれも子こどもは売うらない」

先行さきゆきが見みえない中なか、娘むすめを実際じっさいに嫁とつがせた人ひとがいます。

同おなじキャンプで暮くらすアブドゥル・カユームさん（52）です。

アブドゥルさん一家いっか7人にんは、主おもに国際こくさい機関きかんからの食料しょくりょう支援しえんに頼たよってきましたが、タリバンが復権ふっけんしてから、食料しょくりょうを一いち度ども受け取うけとっていないといいます。

足あしが不自由ふじゆうで働はたらくことができないアブドゥルさんに代かわって仕事しごとをしているのが、12歳さいの長男ちょうなんのハミドゥラさんです。

毎日まいにち、町まちでゴミ拾ひろいをして生計せいけいをたてていますが、手てにするのは1日にち、日本にっぽん円えんでおよそ22円えん。それだけでは到底とうてい食たべていくことはできません。

生活せいかつが日増ひましに苦くるしくなる中なか、アブドゥルさんは去年きょねん9月つき、末っ子すえっこの3歳さいの娘むすめ、ナディアちゃんを、裕福ゆうふくな親戚しんせきの家いえに嫁とつがせることを決断けつだんしました。

いわゆる「結納ゆいのう金きん」が目当めあてで、ナディアちゃんの場合ばあい、14万まん5000アフガニで、日本にっぽん円えんでおよそ16万まん円えん。

年頃としごろになるまで育そだてることを条件じょうけんに前金まえきんとしておよそ6万まん円えんを受け取うけとったといいます。

アブドゥルさんは「罪深つみぶかいことをしたと思おもっているが、心こころを鬼おににした。必要ひつように迫せまられなければ、誰だれも3歳さいの子こどもは売うらない。でも、金きむが底そこをついたら、ほかの2人にんの娘むすめも売うらなければならない」と話はなしていました。

アフガニスタンで深ふかまる人道じんどう危機ききで追い詰おいつめられた人ひとたちは、苦渋くじゅうの選択せんたくを迫せまられています。

WFP＝世界せかい食糧しょくりょう計画けいかくアフガニスタン事務所じむしょのシェリー・タックラール広報こうほう官かんは「95％のアフガニスタンの人ひとたちが食たべることができず、救すくいようのない選択せんたくを迫せまられている。多おおくの家族かぞくが希望きぼうのない状況じょうきょうの中なか、助たすけを求もとめている」と国際こくさい社会しゃかいに支援しえんを呼よびかけています。