(聞き手 国際部・田村銀河)
音は大きくて、軽い衝撃波も伴っていたと思います。そのあと噴煙が広がりました。 海岸線はふだんはリーフ(さんご礁)が広がり、波がないんですが、白波が立ち、高くなった波が押し寄せる様子が確認できました。
私も家を離れて、オフィスに避難しました。津波のおそれのある海岸に近い人は車で親類の家などに避難し、高い所に住んでいる人は家にとどまっていたと思います。
爆発音がして「どうなっているかな」と思っていたところ、しばらくして波が高くなったように見えたので、意外と時差は少なく、早めに到達したなという感じでした。
道路の灰は少しずつ掃除され、車はそれなりに通っています。でも店はまだ完全にはあいておらず、特にレストランは数が少なくて、あいている店に人が集まっています。
水道も電気を使ってポンプでくみ上げるので、電気が止まると水道は出なくなってしまいます。被害を受けた海岸沿いに住んでいた人たちは、親戚の家や車を住居代わりにしているので、給水のニーズが高まっていると思います。 水を供給する会社がいくつかありますが、きのう(17日)はそういう所に水を求める人たちが列を作って並んでいる状況が見られました。水や電気が完全に復旧すればその状況も変わるのでしょうが、今の段階では飲み水としてボトル水のニーズが高く、それを買い求める人が多かったです。 また、多くの家では雨水を屋根のタンクにためて飲んでいますが、火山灰が降りだしたため、政府があまり飲まないように指導しています。ふだんは雨水で生活している人も、市販のボトルを買いに走ったということもあると思います。
複数の水道業者もその水をきれいにして売っていると思うので、トラブルがなければ、必要な量をなんとか供給できるかなと思います。 ただ、アクセスがよくない場所の人もいるので、政府も水を供給する活動を展開しています。 私たちの所もだいたい水道が通っていますが、水質の問題があるので、飲み水は大きなボトルで買っています。 それを予備でもう1つ買ったり、使ったあとの水をボトルにためたりして、電気が止まって水道が使えなくなったときのために備えています。
ただ、これまでは週におよそ1便、ニュージーランドから貨物便が来て、食料などを含めた輸入品を運んで来ることになっていたので、その運航がこのあとどういう影響を受けるかが大きいと思います。
したがって実際にニーズがどこにあるかというのは、今後の政府側も含めた調査で確認をする必要があると思います。 ただ想定されるニーズとしては、津波で家屋等の被害がある人については飲み水かもしれないし、電気が止まっていれば電力の復旧といったことが考えられます。 いずれにしても現地を確認しないと最終的なことは分からないと思います。
水産業では、津波で船が陸に打ち上げられたりして、被害が出ているものと思われます。
それから、こうした災害はこれからも発生しうると思います。 まだ火山も完全に休止したわけではないし、サイクロン(熱帯低気圧)の時期でもあるので、そうした自然災害に対してこの国がどう対応できるかという観点からの支援も求められると思います。 そういった災害と関連して、インフラでは護岸や道路も弱い所があるので、それをしっかりしたものにしていく。 いま日本でもいろいろと検討していますが、いざとなった場合の窓口が限られるため、空港の整備をするといった支援も必要になると思います。
Q 噴火の際の様子は?
Q トンガ国内では避難が呼びかけられていた?
Q 津波到達までの時間は?
Q 行方不明者・死者などの情報は?
Q 首都ヌクアロファの現在の状況は?
Q 飲み水の需要が高いと報道されているが、なぜ?
Q 水の供給は十分だと感じている?
Q トンガは輸入に頼る国。物資不足の影響はない?
Q 短期的、中長期的にどういったニーズが発生しそう?
Q 漁業や農業の被害は?
Q 支援へのニーズは今後高まりそうか?
電話で呼びかけた先は、南太平洋の島国トンガです。
今月15日に海底火山で大規模な噴火があり、津波の被害を受けました。通信状況が悪く、通話が何度も切れる中、世界にほとんど知られていなかったトンガの状況について、現地在住の日本人が語ってくれました。