花粉症対策における食生活の見直し
毎年繰り返される花粉症の季節が到来する中で、多くの人々はマスクの着用やうがい、手洗いといった外的対策に注力している。しかしながら、食生活を見直すことによる内的対策は、依然として十分に認識されているとは言いがたい。
実際、立川パークスクリニックが花粉症を有する20歳以上の男女500名を対象に実施した調査によれば、最も多く実践されている対策はマスクの着用であり、続いて手洗い・うがい、外出自粛、薬の服用、洗濯物の部屋干し、玄関先での衣服の花粉除去などが挙げられた。一方で、「発酵食品の摂取」や「腸内環境の整備」といった食を通じた対策は、それぞれ12番目、15番目と比較的低い順位にとどまっている。
同クリニック院長の久住英二氏は、花粉症は免疫系が花粉に過剰反応するアレルギー反応であることから、日常的な栄養摂取や生活習慣を通じて免疫バランスを穏やかに保つことが症状緩和の鍵であると指摘する。
特に、腸内細菌叢のバランスを整えることが重要であり、その中でも「酢酸菌」の有用性が注目されている。酢酸菌は、無濾過の酢である「にごり酢」や、かつて日本で流行し現在は欧米で健康食品として定着した「コンブチャ」に多く含まれている。近年の研究では、酢酸菌が免疫細胞を刺激し、アレルギー体質に傾いた免疫バランスを調整する可能性が示唆されている。したがって、日々の食事において通常の酢をにごり酢に切り替えるだけでも一定の効果が期待できるという。
また、花粉は呼吸器だけでなく食物に付着し、体内に取り込まれることで腸でもアレルギー反応を引き起こす場合がある。酢酸菌は腸内で短鎖脂肪酸の一種である酢酸を産生し、この酢酸は花粉などの異物が腸壁から吸収されるのを防ぐIgA抗体の生成を促進する。
その結果、腸管のバリア機能が強化されると考えられる。さらに、酢酸の産生を助ける役割を果たすのが食物繊維であり、花粉症の時期には特に積極的な摂取が推奨される。
加えて、妊娠中の女性が高食物繊維食を摂取し、腸内の酢酸産生を高めることで、胎児の制御性T細胞分化に関連する遺伝子の発現が変化し、将来的な喘息やアレルギー性疾患の発症リスクが低減することも報告されている。
さらに、魚介類に多く含まれるタウリンも免疫細胞の機能を支え、自律神経のバランスを整えることで炎症反応を抑制し、アレルギー症状の緩和に寄与する可能性がある。
このように、マスクや薬物療法といった従来の対策に加え、にごり酢や食物繊維、さらにはタウリンの摂取を意識した食生活の改善が、花粉症の症状緩和に資するものといえる。加えて、十分な睡眠や鼻うがいなどの生活習慣も併せて実践することが望ましい。