日本の
主力ロケット、H2Aロケットは29
日未明の50
号機の
打ち上げを
最後に
運用を
終える計画です。
日本的主力火箭H2A火箭计划于29日凌晨执行第50号火箭的最后一次发射后,结束其运营。
過去の
打ち上げの
成功率はおよそ98%と
高い水準に
達していて、
最終号機でも
成功し、
日本の
主力ロケットの
信頼性をさらに
高めることが
できるか
注目されます。
过去的发射成功率大约达到98%,处于很高的水平,人们关注最终号火箭是否也能成功,从而进一步提升日本主力火箭的可靠性。
H2Aロケットの最終号機となる50号機の機体は、28日午前に鹿児島県の種子島宇宙センターで組み立て棟から出され、およそ500メートル離れた発射地点に据え付けられました。
H2A火箭的最后一台——第50号机体,于28日上午从鹿儿岛县种子岛宇宙中心的组装大楼运出,被安置在约500米外的发射点。
打ち上げ業務を担当する三菱重工業によりますと、最終的な準備作業が続けられていて、今後の天候などに問題がなければ、29日午前1時33分に打ち上げられる予定です。
据负责发射业务的三菱重工业称,最终的准备工作正在持续进行中,如果今后的天气等没有问题,预计将在29日凌晨1点33分发射。
50号機には、環境省やJAXA=宇宙航空研究開発機構などが開発した温室効果ガスなどを観測する人工衛星「いぶきGW」が搭載されています。
50号机搭载了由环境省和JAXA(日本宇宙航空研究开发机构)等开发的用于观测温室气体等的人工卫星“IBUKI-GW”。
H2Aロケットは20年以上にわたり日本の主力ロケットとして数々の人工衛星を宇宙に運んできましたが、打ち上げ費用の高さなどから50号機で運用を終え、後継機のH3ロケットに完全に移行することになっています。
H2A火箭作为日本的主力火箭,二十多年来已将众多卫星送入太空,但由于发射成本高昂等原因,将在第50号火箭后结束运用,完全转向其后继机型H3火箭。
2003年に失敗した6号機を除いてすべての打ち上げに成功し、成功率はおよそ98%と高い水準に達していて、最終号機でも成功し、日本の主力ロケットの信頼性をさらに高めることができるか注目されます。
除去2003年失败的6号机外,所有发射都取得了成功,成功率达到约98%的高水平,最终号机也取得了成功,备受关注的是能否进一步提升日本主力火箭的可靠性。
科学・宇宙探査の進展に貢献してきたH2A
H2Aロケットは、20年以上にわたって日本の主力ロケットとして運用され、数々の人工衛星や探査機を宇宙に運んできました。
为科学和宇宙探测的发展做出贡献的H2A火箭,作为日本的主力火箭已被运用20年以上,将众多卫星和探测器送入太空。
例えば、小惑星リュウグウのサンプルを地球に持ち帰った「はやぶさ2」や、日本初の月面着陸に成功した「SLIM」などを打ち上げ、科学や宇宙探査の進展に貢献してきました。
例如,发射了将小行星龙宫的样本带回地球的“隼鸟2号”,以及首次成功实现日本登月的“SLIM”等,为科学和太空探索的进步做出了贡献。
また、気象衛星「ひまわり」や地球観測衛星「だいち」、それに日本版GPS衛星「みちびき」など、日々の生活に役立つ情報やサービスの提供につながる衛星を打ち上げてきたほか、宇宙から温室効果ガスを観測する「いぶき」や北極の氷の変化や海面の温度などを観測する「しずく」など、気候変動の監視に活用される衛星も打ち上げてきました。
此外,日本还发射了气象卫星“向日葵”、地球观测卫星“大地”,以及日本版GPS卫星“引路”等,为日常生活提供有用信息和服务的卫星;同时,还发射了用于从太空观测温室气体的“息吹”、用于观测北极冰层变化和海面温度等的“水滴”等卫星,这些卫星也被用于气候变化的监测。
そして、安全保障や大規模災害への対応などを目的に、政府が開発・運用している事実上の偵察衛星「情報収集衛星」については、あわせて18の衛星を打ち上げてきました。
此外,为了应对安全保障和大规模灾害等目的,政府开发和运营的事实上的侦察卫星“情报收集卫星”,迄今为止已经发射了18颗卫星。
H2Aロケットは2007年の13号機から打ち上げ業務が民営化され、それまでJAXA=宇宙航空研究開発機構が担当していた打ち上げ業務がロケットの製造をとりまとめる三菱重工業に移管されました。
H2A火箭自2007年第13号机起,发射业务实现了民营化,原本由JAXA(宇宙航空研究开发机构)负责的发射业务,移交给了负责火箭制造的三菱重工业。
民営化はH2Aロケットで海外の人工衛星などを打ち上げる「衛星打ち上げビジネス」の展開を目指して行われ、三菱重工業を中心に民間主導の受注活動が進められました。
民营化是以H2A火箭发射海外人造卫星等为目标,推动“卫星发射业务”的发展,并由三菱重工业为中心,积极开展以民间为主导的订单活动。
その結果、カナダの通信放送衛星やイギリスの通信衛星、それに韓国やUAE=アラブ首長国連邦の人工衛星など5つの海外衛星の打ち上げを受注し、宇宙に運ぶことに成功しています。
因此,成功承接了加拿大的通信广播卫星、英国的通信卫星,以及韩国和阿联酋(阿拉伯联合酋长国)的人造卫星等5颗海外卫星的发射任务,并顺利将它们送入太空。
なぜ成功率が高いのか
H2Aロケットは、2001年から去年9月までに49回打ち上げられ、このうち失敗したのは2003年の6号機の1回のみで、成功率はおよそ98%と高い水準に達しています。
为什么成功率这么高?H2A火箭自2001年至去年9月共发射了49次,其中只有2003年第6号火箭失败过一次,成功率高达约98%。
高い成功率を実現してきた理由について、ロケットの製造をとりまとめる三菱重工業は、6号機の失敗をきっかけに始めた取り組みの成果が大きいとしています。
关于实现高成功率的原因,负责火箭制造的三菱重工业表示,第六号机失败后开始的各项举措取得了显著成效。
政府の情報収集衛星を搭載して打ち上げられた6号機は、補助ロケットのうち1本を切り離すことができずに飛行ルートを外れ、地上からの指令で破壊されて失敗しました。
6号搭载政府情报收集卫星的火箭,由于未能分离一根助推火箭,偏离了飞行路线,最终在地面指令下被销毁,发射失败。
燃焼ガスの噴き出し口に穴が開き、補助ロケットを切り離すための装置が故障したことが原因と特定されましたが、この時、打ち上げチームは失敗原因への対策にとどまらない新たな取り組みを始めました。
燃烧气体喷出口出现了孔洞,分离辅助火箭的装置发生故障被确定为原因,但在此时,发射团队不仅仅停留在对失败原因的对策上,还开始了新的尝试。
三菱重工業の矢花純プロジェクトマネージャーによりますと、失敗後の打ち上げ再開、いわゆる「リターントゥフライト」を目指して行われたのが、失敗につながる兆候をすべての部署で洗い出すいわば“総点検”です。
据三菱重工业的矢花纯项目经理介绍,为了实现失败后的发射重启,即所谓的“重返飞行”,各个部门对所有可能导致失败的征兆进行了全面排查,可以说是一场“总检查”。
ロケットの細部にわたる部品や部品のまとまりごとの検査が行われ、担当部署以外の責任者も加わり複眼的なチェックが進められた結果、失敗の1年3か月後に行われた7号機の打ち上げに成功しました。
对火箭的各个细节部件以及部件组合进行了检查,并且除了负责部门之外,其他负责人也参与了多方面的检查,结果在失败一年三个月后,成功发射了第七号火箭。
その後、そうした評価方法は打ち上げチーム内で「品質評価」「トレンド評価」と名付けられて2つに体系化され、20年ほど続けられています。
之后,这种评价方法在发射团队内部被命名为“质量评价”和“趋势评价”,并被系统化为两种方式,持续了大约20年。
検査項目はおよそ5000に上り、検査結果をまとめたファイルは、ロケット1機当たり100冊近くに上るということです。
检查项目多达约5000项,汇总检查结果的文件,每一枚火箭大约有近100册。
打ち上げのたびに検査データを蓄積していくことで、過去のデータの傾向との比較が可能になり、ふだんと異なるデータが出た際、打ち上げチームはその理由の解析や検証を徹底してきました。
通过每次发射积累检测数据,可以与过去数据的趋势进行比较,一旦出现与平时不同的数据,发射团队会彻底分析和验证其原因。
三菱重工業 矢花プロジェクトマネージャー
「実際に検証できるものと、解析しかできないものを識別して対応していくことで、失敗につながる危ういところがわかる勘どころが芽生えた。
三菱重工业 矢花项目经理:“通过区分可以实际验证的事项和只能进行解析的事项并加以应对,我逐渐培养出了能够察觉导致失败的危险之处的直觉。”
過去と
同じような
失敗をすることは、
少なくともないだろうという
自信が
持てた」
長年H2Aロケットの運用を行うなかでは、メーカーの撤退などにより部品が枯渇することもあったということです。
我有信心,至少不会再犯和过去一样的错误了。在长年运营H2A火箭的过程中,也曾因制造商退出等原因导致零部件短缺。
「設計を変えたために他で問題が出る経験を何回もしてきた。
由于更改了设计,我多次经历了在其他地方出现问题的情况。
1つの
部品を
変えるたびに、
他の
部品への
影響はないか
細かく
検討してきた」
H2Aの課題と後継機
H2Aロケットは、20年以上にわたる長期的な運用のなかで、打ち上げの成功を積み重ねてきた一方で、課題も指摘されてきました。
每当更换一个部件时,我们都会仔细研究是否会对其他部件产生影响。H2A火箭的课题与后继机型H2A火箭,在长达20多年的长期运行中,虽然不断积累了发射成功的经验,但也被指出存在一些课题。
そのひとつが打ち上げ費用の高さです。
1
回当たり、
およそ100
億円の
打ち上げ
費用はアメリカの
宇宙開発企業、スペースXが
打ち上げる「ファルコン9」
など海外の
ロケットに
比べて
割高だとされ、
衛星打ち上げ
ビジネスの
価格競争が
激化するなか、より
低価格での
打ち上げが
求められてきました。
每次发射的费用大约为1000亿日元,被认为比美国航天企业SpaceX发射的“猎鹰9号”等海外火箭要昂贵,在卫星发射业务的价格竞争日益激烈的背景下,人们要求以更低的价格进行发射。
また、発射場のある種子島宇宙センターの設備の老朽化が進み、保守や維持管理にかかるコストの増大も課題となってきました。
此外,拥有发射场的种子岛宇宙中心设施老化日益严重,维护和管理成本的增加也成为了一个课题。
こうした
中で、
後継機として
開発されたのがH3
ロケットです。
在这种情况下,被作为后继机型开发出来的就是H3火箭。
これまで築いてきた日本のロケットへの高い信頼性を維持しながら、打ち上げ能力の向上とコストダウンを両立させることを目指して開発されました。
在保持迄今为止建立起来的日本火箭高度可靠性的同时,旨在实现提升发射能力和降低成本的双重目标而开发。
特にコスト面では、打ち上げ費用をおよそ50億円と、H2Aの半分程度に抑えることを目指しています。
特别是在成本方面,目标是将发射费用控制在大约50亿日元,约为H2A的一半。
H3ロケットは2023年に1号機の打ち上げに失敗し対策を講じたあと、ことし2月の5号機まで4機連続で成功していて、今年度中には価格を低く抑えた新たな形態での打ち上げが計画されています。
H3火箭在2023年首次发射失败并采取了对策后,至今年2月的5号机为止,已经连续4次成功发射,并计划在本年度内以降低成本的新形式进行发射。
H3ロケットがH2Aロケットで指摘された課題を乗り越え、日本の主力ロケットの国際的な存在感をさらに高めていけるか、注目されています。
H3火箭能否克服H2A火箭所指出的问题,进一步提升日本主力火箭在国际上的存在感,备受关注。
専門家「信頼性の次はコストが鍵」
専門家は、H2Aロケットは非常に意義のあるロケットだったと話します。
专家表示:“继可靠性之后,成本是关键。”专家称,H2A火箭是一枚非常有意义的火箭。
宇宙工学に詳しい大同大学 澤岡昭名誉学長
「今回打ち上げに成功すれば、50回中49回成功という大変立派な成績となり、その信頼性は世界的にも高い。
如果这次发射成功,大同大学宇宙工程专家、名誉校长泽冈昭表示,将是50次中成功49次的极其优异成绩,其可靠性在世界范围内也非常高。
日本が
宇宙開発先進国として
世界から
認知され、
お墨付きを
得られたという
意味で、
非常に
意義の
あるロケットだった」
「同じロケットが長期間、継続的に打ち上げられ、ロケットエンジニアの育成に果たした役割も大きい。
日本被世界公认为宇宙开发的先进国家,并获得了权威认证,这枚火箭具有非常重要的意义。同一型号的火箭能够长期、持续地发射,对火箭工程师的培养也起到了重要作用。
継続的な
打ち上げがないと、
関係する
企業は
トップ級の
エンジニアを
他の
部署に
移さざるを
得ず
技術が
途絶えて
しまう。
如果没有持续的发射,相关企业不得不将顶级工程师调往其他部门,技术就会中断。
技術は
紙に
書いたものではなく
人から
人へ
伝わるもので、
生の
情報が
伝わる
必要が
ある。
技术不是写在纸上的东西,而是从人传人,需要传递真实的信息。
その鎖をつなげたことは、
将来の
日本の
宇宙開発にとって
非常に
重要なことだった」
ー後継機となるH3ロケットについては。
将那条链连接起来,对日本未来的宇宙开发来说是非常重要的事情」——关于作为后继机型的H3火箭
「ライバルとなるアメリカのスペースXのファルコン9ロケットに負けないコストまで下げられるかというと非常に難しい壁にぶつかってくる。
是否能够将成本降到不输于作为竞争对手的美国SpaceX的猎鹰9号火箭,可以说会遇到非常困难的障碍。
それを
どうやって
突破するか、
信頼性の
次はコストが
鍵だ」
H2A 子どもたちに与えた影響も大きく
H2Aロケットの発射場がある鹿児島県の種子島には、打ち上げを一目見ようと、全国から多くの子どもたちが訪れてきました。
如何突破这一点,可靠性之后,成本就是关键。”H2A 对孩子们的影响也很大。在拥有H2A火箭发射场的鹿儿岛县种子岛,为了一睹火箭发射的风采,来自全国各地的许多孩子们纷纷前来参观。
東京都内に住む橋本龍之介さん(16)もその1人で、8年前に小学3年生の時に種子島を訪れ、H2Aロケット37号機の打ち上げを見守りました。
居住在东京都内的桥本龙之介(16岁)也是其中之一,8年前在他小学三年级时曾前往种子岛,见证了H2A火箭37号机的发射。
ごう音とともに
飛び立って
いくロケットに
目を
奪われたといいます。
橋本龍之介さん
「地上にあったロケットがすごい速度で見えなくなり、宇宙に一直線に飛んでいく姿に非常に感動しました。
桥本龙之介先生说:“地面上的火箭以惊人的速度消失,笔直地飞向宇宙,这一幕让我非常感动。”
迫力に
圧倒され、
人生を
変えるターニング
ポイントでした」
その後、都内の中高一貫校に入学した橋本さんは、モデルロケットを製作して打ち上げる部活動を自ら立ち上げます。
被那种震撼所压倒,那是改变人生的转折点。之后,桥本进入了东京都内的一所初高中一贯制学校,自行创立了制造并发射模型火箭的社团。
3年前、モデルロケットの性能を競う大会に初めて出場した際は、紙と粘土で作ったロケットがうまく飛ばず「制御不能のミサイル」と酷評されたといいます。
三年前,第一次参加比拼模型火箭性能的比赛时,用纸和黏土做的火箭没有顺利飞行,被严厉评价为“无法控制的导弹”。
その後、モデルロケットに詳しい専門家を訪ねて助言を受け、専用のソフトを使って設計を見直すなど改良を重ねた結果、2025年に国内の中高生が競う大会で優勝し、フランスで開かれた世界大会にも出場しました。
之后,他们拜访了熟悉模型火箭的专家并获得建议,反复改进设计,包括使用专用软件重新审查设计,最终于2025年在日本国内由中学生和高中生参加的比赛中获得冠军,还参加了在法国举办的世界大赛。
「大きさもH2Aにはほど遠いですが、自分たちでいちから作り上げたロケットが飛んでいる姿を見るのはすごく楽しくて、少しずつ近づけているような気がします。
虽然大小还远不及H2A,但看到我们亲手从零开始制造的火箭飞上天空,真的非常开心,感觉我们正一点一点地接近目标。
将来的には、より
多くの
人が
宇宙にアクセス
できる未来がくると
思うので、
宇宙開発に
関われるような
人になりたい」。
将来,我认为会有更多的人能够进入太空,所以我希望成为能够参与太空开发的人。