国が
生活保護の
支給額を2013
年から
段階的に
引き下げたことについて、
最高裁判所は「
厚生労働大臣の
判断に
誤りがあり、
違法だった」として
処分を
取り消す判決を
言い渡しました。
最高法院就国家自2013年起分阶段下调生活保障金发放金额一事,判决称“厚生劳动大臣的判断存在错误,属于违法行为”,因此撤销了该项处分。
同様の裁判は全国で相次いで起こされていて、統一的な判断が示された形です。
类似的诉讼案件在全国各地接连发生,这次是首次作出了统一的判断。
原告側は、減額された分をさかのぼって支給するよう求めていて、およそ200万人とされる当時の受給者への国の対応が焦点となります。
原告方面要求追溯支付被削减的部分,国家对当时约有200万受益者的应对成为焦点。
厚生労働省が2013年から3年にわたり、物価の下落を反映するなどとして生活保護の支給額を最大で10%引き下げたことについて、全国の受給者は「健康で文化的な最低限度の生活を守るという法律に違反している」などとして取り消しを求める訴えを30件あまり起こしました。
厚生劳动省自2013年起三年间,以反映物价下跌等理由,将生活保障金的发放金额最多下调了10%。对此,全国的受领者以“违反了保障健康且有文化的最低限度生活的法律”等理由,提起了30余起要求撤销的诉讼。
このうち名古屋と大阪の裁判について、最高裁判所第3小法廷の宇賀克也裁判長は「デフレ調整で物価の変動率だけを直接の指標にした厚生労働大臣の判断には専門的な知識と整合性を欠くところがあり、その手続きは誤りで、違法だった」として処分を取り消す判決を言い渡しました。
在名古屋和大阪的诉讼中,最高法院第三小法庭的宇贺克也庭长宣判称:“厚生劳动大臣仅以通货紧缩调整中物价变动率作为直接指标的判断,缺乏专业知识和一致性,该程序存在错误,属于违法行为”,因此撤销了该处分。
国が定めた生活保護の基準額について、最高裁が違法と判断したのは初めてです。
最高法院首次裁定国家规定的生活保障基准金额为违法。
一方、国に賠償を求める訴えは退けました。
同様の裁判は全国で相次いで起こされ、各地の裁判所で審理が続いていて、統一的な判断が示された形です。
类似的诉讼在全国各地接连发生,各地法院也在持续审理,现在已经给出了统一的判断。
原告側は、減額された分をさかのぼって支給するよう求めていて、およそ200万人とされる当時の受給者への国の対応が焦点となります。
原告方面要求追溯支付被削减的部分,国家对当时约有200万受益者的应对成为焦点。
原告ら 「勝訴」などの紙を掲げる
最高裁判所の前では判決を受けて原告と弁護団が「勝訴」や「保護費引き下げの違法性認める」、「司法は生きていた」などと書いた紙を掲げました。
在最高法院前,原告等人举着写有“胜诉”等字样的纸张。判决宣布后,原告和律师团举起写有“胜诉”“承认削减保障费违法性”“司法依然存在”等字样的纸张。
集まった支援者は、拍手をして「おめでとう」などと声をかけていました。
聚集在一起的支持者们鼓掌,并喊着“恭喜”等祝贺的话。
林官房長官「内容を十分精査し 適切に対応」
林官房長官は27日午後の記者会見で「先ほど判決が言い渡されたばかりであり、今後、判決内容を十分精査し、適切に対応していく考えだ」と述べました。
林官房长官表示:“内容将被充分审查,妥善应对。”林官房长官在27日下午的记者会上表示:“刚刚才宣判,今后将充分审查判决内容,妥善应对。”
【Q&A】生活保護費どうやって決める?裁判の争点は?
生活保護とは、そもそもどのような制度で、今回の裁判でなにが争点となっているのか、まとめました。
【问答】生活保障费用是如何决定的?诉讼的争议点是什么?什么是生活保障制度,这次诉讼的争议焦点又是什么?对此进行了总结。
Q。生活保護はどういう制度?
A。憲法が保障する「健康で文化的な最低限度の生活」を守るため、生活に困った人たちに国が必要な支援を行い、自立を助ける制度です。
为了保障宪法所规定的“健康且有文化的最低生活水平”,国家为生活困难的人们提供必要的支援,并帮助他们实现自立的制度。
対象は、ただちに活用できる資産がなく、仕事がない、または仕事をしても必要な生活費を得られない、年金や手当などの社会保障を活用しても生活費が足りない人たちです。
对象是指没有可以立即利用的资产,没有工作,或者即使工作也无法获得所需生活费,即使利用养老金和津贴等社会保障也无法满足生活费用的人们。
最新の統計では、ことし3月時点でおよそ164万世帯、およそ200万人が受給しています。
根据最新统计,截至今年3月,大约有164万个家庭、约200万人正在领取救济。
今年度の予算の総額はおよそ3兆7000億円で、国が4分の3、地方自治体が4分の1を負担します。
本年度的预算总额约为3.7万亿日元,其中国家承担四分之三,地方自治体承担四分之一。
Q。1世帯あたり、どれぐらいの額が支給されているのか?
A。世帯の状況によって異なります。
支給される「
保護費」の
内訳は、
食費や
洋服代、
光熱費など生活費にあてる
生活扶助や、
家賃にあてる
住宅扶助、
医療扶助や
葬祭扶助など8
種類あります。
被发放的“救助金”包括8种内容,如用于生活费的生活救助(包括餐饮费、服装费、水电费等)、用于房租的住房救助、医疗救助、丧葬救助等。
このうち、今回の裁判で争われている生活扶助は、保護を受ける人の年齢や世帯の人数、暮らしている地域などで細かく分類したうえで基準額が定められています。
在这之中,本次诉讼中有争议的生活补助,根据接受保护者的年龄、家庭人数、居住地区等进行了详细分类,并制定了基准金额。
この基準額は、専門家による厚生労働省の部会で5年に1度、一般の所得が低い世帯の生活にかかる費用を比較するなどして消費の実態とかけ離れていないか検証されます。
这一基准金额由专家在厚生劳动省的分科会上,每五年一次,通过比较一般低收入家庭的生活费用等方式,检验其是否与实际消费状况相符。
そして、部会の報告を受けた厚生労働大臣が、最終的には経済の情勢などを踏まえて、新たな基準額を決めることになっています。
然后,收到部门会议报告的厚生劳动大臣,最终会根据经济形势等因素,决定新的基准金额。
ことし10月以降の生活扶助の基準額は、例えば東京23区の場合、3歳から5歳の子どもが1人いる30代の夫婦で15万3400円、75歳の単身の高齢者世帯で7万1900円です。
今年10月以后,生活补助的基准金额,例如在东京都23区,30多岁夫妇带一个3至5岁孩子的家庭为15万3400日元,75岁单身高龄老人家庭为7万1900日元。
年金などの収入がこれらの基準額を基にした生活費を下回った場合、差額が「保護費」として支給されます。
如果养老金等收入低于以这些基准金额为基础的生活费,差额将作为“救助费”发放。
Q。今回、およそ30件も裁判が起こされたのはなぜ?
A。 これまでにない方法で生活扶助の基準額が大幅に引き下げられたからです。
因为生活补助的基准金额以前从未以这样的方式被大幅下调。
今回の裁判で争われているのは、2013年に厚生労働大臣が決めた生活扶助の基準額です。
本次诉讼争议的,是2013年厚生劳动大臣决定的生活补助基准金额。
専門家による部会が消費の実態に基づき検証した結果を踏まえておよそ90億円、当時の物価の下落を踏まえた「デフレ調整」としておよそ580億円を、それぞれ削減するという内容でした。
基于专家小组根据消费实际情况进行验证的结果,计划分别削减约90亿日元,以及考虑到当时物价下跌作为“通缩调整”削减约580亿日元。
この「デフレ調整」には、厚生労働省が物価の動向をもとに算出した「生活扶助相当CPI」という独自の指数が使われました。
在这个“通货紧缩调整”中,厚生劳动省使用了根据物价走势计算出的独有指数——“生活补助相当CPI”。
この指数は専門家の部会で検証されたものではなく、指数に基づくと物価の下落率はマイナス4。
该指数并未经过专家小组的验证,根据该指数,物价的下降率为负4。
78%となり、
総務省の
消費者物価指数の(ー2。
35%)2
倍近い下げ幅となりました。
独自の指数を使用したことが大幅な減額の要因となり、原告は「不当だ」として相次いで裁判を起こしました。
使用了独自的指数成为大幅减额的原因,原告认为“这是不合理的”,因此相继提起了诉讼。
Q。裁判の争点は?
A。厚生労働省が行った引き下げが「健康で文化的な最低限度の生活」を守るという法律に違反したどうかが大きな争点になりました。
厚生劳动省所实施的削减是否违反了保障“健康且有文化的最低生活标准”这一法律,成为了主要的争论焦点。
原告側は「そもそも物価指数を用いて生活扶助を見直す手法は過去にとられたことがない。
原告方认为,“本来用物价指数来调整生活补助的方法在过去从未被采用过。”
重大な
変更にもかかわらず、
専門家の
検討や
検証も
行われていない」と
主張しました。
尽管有重大变更,但他主张“既没有经过专家的审查,也没有进行验证”。
厚生労働省の独自の計算方法については「生活保護世帯があまり購入していないパソコンやテレビの価格の下落が大きく反映され、実態とかけ離れていた」などとして違法だとしました。
关于厚生劳动省独自的计算方法,指出“由于生活保护家庭很少购买的电脑和电视价格大幅下跌被过度反映,导致结果与实际情况相差甚远”,因此被认为是违法的。
一方、国は「当時、世界的な金融危機の影響で国民の生活水準が大きく低下するなか、生活保護の水準は据え置かれ、不均衡になっていた。
另一方面,政府表示:“当时,受全球金融危机影响,国民的生活水平大幅下降,而生活保障的标准却保持不变,导致出现了不均衡。”
その不均衡を
是正するためデフレ
調整をした」と
反論しました。
独自の計算方法については「見直しにあたって専門機関に意見を求めなければいけないという法令上の決まりはない。
关于独自的计算方法,“在进行审查时并没有法律规定必须征求专业机构的意见”。
大臣には
極めて広い権限があり、
裁量の
範囲内で
行った」としました。
部长拥有极其广泛的权限,并表示“这是在裁量范围内所做的”。
また、当時の手続きでは住んでいる地域や年齢、家族の数によっては額が増える世帯もありましたが、厚生労働省は世帯間のバランスを取る「ゆがみ調整」として、額が増える世帯も、減る世帯もその幅を一律に2分の1にする処理を独自に行いました。
此外,根据当时的手续,居住地区、年龄、家庭人数不同,某些家庭的金额会增加,但厚生劳动省作为调整家庭间平衡的“扭曲调整”,对金额增加的家庭和减少的家庭,独自进行了将增减幅度统一为一半的处理。
この処理が適切だったかどうかも争点になりました。
Q。これまでの裁判所の判断は?
A。 全国で起こされている31件の裁判のうち、12件で高等裁判所の判決が言い渡されていて、このうち7件は引き下げは違法だとして取り消しが認められ、5件は違法ではないとして訴えが退けられました。
在全国提起的31起诉讼中,已有12起由高等法院作出判决,其中7起认定降低是违法的,因此判决撤销,另外5起则认定不违法,诉讼被驳回。
おととし11月の名古屋高等裁判所の判決では「厚生労働省が行った『デフレ調整』などは、統計などの客観的な数値との合理性が十分に図られていないほか、専門的な知識とも整合性を欠く。
在前年11月名古屋高等法院的判决中指出:“厚生劳动省所进行的‘通货紧缩调整’等措施,不仅与统计等客观数据的合理性尚未得到充分论证,而且也缺乏与专业知识的一致性。”
裁量の
範囲を
逸脱していることは
明らかで、
生活保護法に
違反し、
違法な
対応だった」として
引き下げを
取り消し、
国に対し、
原告に1
人あたり1
万円の
慰謝料を
支払うよう
命じました。
明显超出了自由裁量的范围,违反了生活保护法,是非法的应对措施,因此撤销了降低决定,并命令国家向原告每人支付1万日元的精神赔偿金。
一方、大阪高等裁判所はおととし4月「生活保護法では専門家で作る基準部会などの検証を要件とはしていない。
另一方面,大阪高等法院在前年四月表示,“生活保护法并未将由专家组成的基准委员会等的验证作为必要条件。”
厚生労働大臣の
判断に
不合理な
点はなく、
見直し後の
基準が
健康で
文化的な
生活を
維持するのに
十分ではないとは
言えない」
などとして
訴えを
退ける判決を
言い渡しました。
厚生劳动大臣的判断没有不合理之处,不能说修订后的标准不足以维持健康和有文化的生活,因此驳回了起诉。
Q。最高裁判決の影響は?
A。 今回審理されているのは名古屋と大阪の2件ですが、判決は全国で起こされている同種の裁判に影響することになります。
目前正在审理的是名古屋和大阪的两起案件,但判决将会影响到全国范围内正在进行的同类诉讼。
また、引き下げを違法とする判決が出た場合、受給者は当時、正当な額をもらえていなかったということになります。
此外,如果法院判决认定下调是非法的,那么当时领取者就等于没有拿到应得的金额。
当時の受給者はおよそ200万人で、補償の問題になる可能性があります。
当时的受益者大约有200万人,可能会成为补偿的问题。