Actualités japonaises: 五輪メディア関係者来日は1万6000人余取材と感染対策両立は

東京とうきょうオリンピックの開幕かいまくが23日にちに迫せまる中なか、海外かいがいのメディア関係かんけい者しゃも続々ぞくぞくと来日らいにちしています。その数かずは合あわせて1万まん6000人にん余あまりに上のぼる見通みとおしで、取材しゅざい活動かつどうのかたわら、新型しんがたコロナウイルスの感染かんせん対策たいさくをどこまで徹底てっていできるかが課題かだいとなります。

＜この記事きじでわかること＞

▽メディア関係かんけい者しゃの入国にゅうこく予定よてい

▽取材しゅざいのルールはどうなっている？

▽さまざまな工夫くふうで取材しゅざいする海外かいがいメディア

▽編集へんしゅう作業さぎょうはリモートで

▽来日らいにちしたメディア関係かんけい者しゃの声こえ

▽スポーツジャーナリストはどう見みる？

約やく200の国くにと地域ちいきから2000社しゃほどが来日らいにち

オリンピックの開幕かいまくを目前もくぜんに控ひかえ、東京とうきょう江東こうとう区くの「東京とうきょうビッグサイト」に設置せっちされた、各国かっこくの取材しゅざい拠点きょてんとなるIBC＝国際こくさい放送ほうそうセンターには、世界せかい各国かっこくのメディア関係かんけい者しゃが訪おとずれ準備じゅんびを進すすめるなどしています。

大会たいかい組織そしき委員いいん会かいによりますと、およそ200の国くにと地域ちいきから2000社しゃほどが来日らいにちし、メディア関係かんけい者しゃの人数にんずうは先月せんげつ21日にちの時点じてんで1万まん6000人にん余あまりに上のぼる見通みとおしとなっています。

また、国内外こくないがいのメディア関係かんけい者しゃの70％から80％が大会たいかいまでにワクチンの接種せっしゅを受うける見通みとおしだということです。

メディア関係かんけい者しゃには、新型しんがたコロナの感染かんせん防止ぼうしに必要ひつようなルールをまとめた「プレーブック」に基もとづく行動こうどうが求もとめられ、原則げんそくとして入国にゅうこく後ご14日間にちかんは公共こうきょう交通こうつう機関きかんを使つかえず、競技きょうぎ会場かいじょうやあらかじめ提出ていしゅつした用務ようむ先さきにしか行いけないことなどが決きまっています。

一方いっぽう、こうした行動こうどう制限せいげんについては、アメリカのおよそ10のメディアが、「取材しゅざいが制約せいやくされる」として組織そしき委員いいん会かいなどに連名れんめいで抗議こうぎの書簡しょかんを送おくるなど、一部いちぶで反発はんぱつも起おきています。

これに対にたいし組織そしき委員いいん会かいは「現下げんかの情勢じょうせいに鑑かんがみれば非常ひじょうに厳きびしい措置そちが必要ひつようで、すべての参加さんか者しゃと日本にっぽん居住きょじゅう者しゃのために重要じゅうようなことと考かんがえている。取材しゅざいの自由じゆうは尊重そんちょうし、可能かのうなかぎり円滑えんかつに取材しゅざいが行おこなえるようにする」とコメントしていて、取材しゅざい活動かつどうと徹底てっていした感染かんせん対策たいさくを両立りょうりつできるかが課題かだいとなっています。

メディア向むけプレーブックとは

「プレーブック」はIOCと大会たいかい組織そしき委員いいん会かいなどが、東京とうきょうオリンピックとパラリンピックに参加さんかする選手せんしゅや関係かんけい者しゃごとに新型しんがたコロナの感染かんせん防止ぼうしに必要ひつようなルールをまとめた手引てびき書しょです。

このうち、メディア関係かんけい者しゃに向むけたものは70ページ近ちかくにわたり、日本にっぽん入国にゅうこく後ごの検査けんさや隔離かくり、感染かんせん対策たいさく、それに取材しゅざい方法ほうほうなど、さまざまな場面ばめんでのルールが定さだめられています。

具体ぐたい的てきには、

▽日本にっぽんに出国しゅっこくする前まえの96時間じかん以内いないに2回かいの検査けんさを行おこなうことや、

▽入国にゅうこく後ご14日間にちかんは公共こうきょう交通こうつう機関きかんを使つかえず、競技きょうぎ会場かいじょうやあらかじめ提出ていしゅつした用務ようむ先さきにしか行いけないこと、

▽日本にっぽんの滞在たいざい期間きかん中ちゅうはスマートフォンのGPS機能きのうを活用かつようして行動こうどうが把握はあくされることになっています。

そのうえで、メディア関係かんけい者しゃの役割やくわりごとに検査けんさの頻度ひんどが詳細しょうさいに示しめされていて、選手せんしゅと距離きょりの近ちかい、競技きょうぎエリアで活動かつどうするカメラマンには毎日まいにち、検査けんさが求もとめられます。

また、選手せんしゅなどと接せっする可能かのう性せいのあるメディア関係かんけい者しゃは4日にちに1回かい、接せっする機会きかいのない人ひとでも7日にちに1回かいの検査けんさが必要ひつようとされています。

ルールに違反いはんした場合ばあいには、参加さんか資格しかくの剥奪はくだつや国外こくがい退去たいきょの強制きょうせい措置そちに加くわえ、制裁せいさい金きんを科かされることがあると明記めいきされています。

「先遣せんけん隊たい」が街まちなかを取材しゅざい感染かんせん対策たいさくには細心さいしんの注意ちゅうい

海外かいがいメディアは、さまざまな工夫くふうをしながら取材しゅざい活動かつどうを進すすめています。

フランスのAFP通信つうしんは今こん大会たいかい、日本にっぽんで取材しゅざい活動かつどうに当あたるスタッフ150人にん余あまりのうち、競技きょうぎではなく街まちなかを取材しゅざいするおよそ20人にんの「先遣せんけん隊たい」を先月せんげつ、編成へんせいしました。

「プレーブック」の運用うんようが始はじまる7月つき以降いこうに来日らいにちした場合ばあい、入国にゅうこく後ご14日間にちかんの活動かつどう計画けいかく書しょの提出ていしゅつが義務ぎむづけられ、その間そのかんの行動こうどう範囲はんいは宿泊しゅくはく先さきと競技きょうぎ会場かいじょうなどに限定げんていされてしまい、街まちなかを取材しゅざいする時間じかんが少すくなくなってしまうためです。

取材しゅざい班はんを統括とうかつするヴァンサン・アマルヴィさんは、「先遣せんけん隊たい」を編成へんせいしたねらいについて「日本にっぽんの人ひとたちがオリンピックをどのように受け止うけとめているかを取材しゅざいするためだ」と説明せつめいしています。

「先遣せんけん隊たい」の1人にん、ビデオプロデューサーのサラ・ライさんは先月せんげつ中旬ちゅうじゅん、香港ほんこんから来日らいにちしました。来日らいにち前まえに新型しんがたコロナワクチンを2回かい接種せっしゅし、日本にっぽんの宿泊しゅくはく施設しせつで14日間にちかんの隔離かくりを終おえたため、今月こんげつからは街まち中ちゅうで自由じゆうに取材しゅざいすることができます。

今月こんげつ中旬ちゅうじゅんには、オリンピックに向むけた準備じゅんび風景ふうけいを取材しゅざいするため、地下鉄ちかてつに乗のって東京とうきょう都庁とちょうを訪おとずれ、周辺しゅうへんに張はられたポスターなどを撮影さつえいしました。取材しゅざいではマスクを常つねに着用ちゃくようしているほか、持ち歩もちあるいている消毒しょうどく液えきで手てをこまめに消毒しょうどくしていると言いいます。

また、組織そしき委員いいん会かいが提供ていきょうするスマートフォンのアプリに体温たいおんや体調たいちょうを毎日まいにち入力にゅうりょくしているほか、食事しょくじは混こみ合あう昼ひるどきはテイクアウトにするなど、感染かんせん対策たいさくに細心さいしんの注意ちゅういを払はらっているということです。

ライさんは「ふだんとは違ちがうオリンピックなので、ニュースもふだんと同おなじようなものは出だせません。特別とくべつな話題わだいを見みつけるのは、私わたしたちにとって挑戦ちょうせんです」と話はなしていました。

AFP通信つうしんは、街まちなかを取材しゅざいする「先遣せんけん隊たい」と、競技きょうぎを取材しゅざいするほかのメンバーが交まじわらないよう別べつ行動こうどうを徹底てっていしているということで「感染かんせん対策たいさくについては万全ばんぜんの態勢たいせいで臨のぞんでいるので、日本にっぽんの人ひとたちにとってのリスクはゼロに近ちかい」と強調きょうちょうしています。

豪州ごうしゅうのテレビ局てれびきょく派遣はけんは予定よていの3分ぶんの1に編集へんしゅうは自国じこくスタッフが

オーストラリアのテレビ局てれびきょく、セブン・ネットワークは、東京とうきょう江東こうとう区くのIBC＝国際こくさい放送ほうそうセンターにある取材しゅざい拠点きょてんの整備せいびなどを進すすめています。

感染かんせん対策たいさくのため、スタッフの座席ざせきの間隔かんかくを空あけ、向かい合むかいあって座すわらないようにしているほか、それぞれが「プレーブック」で求もとめられている定期ていき的てきなウイルス検査けんさを行おこなったかどうか確認かくにんするチェックシートを壁かべに張り出はりだすなどしています。

また、感染かんせんリスクを減へらすため、日本にっぽんに派遣はけんするスタッフの数かずを当初とうしょ予定よていしていた120人にんから3分ぶんの1の40人にんに減へらし、撮影さつえいした映像えいぞうの編集へんしゅうは日本にっぽんではなくオーストラリアにいるスタッフが行おこなうことにしています。

行動こうどう範囲はんいが制限せいげんされる中なか、これまで10大会たいかいのオリンピックを取材しゅざいしてきたというリポーターのクリス・リーズンさんは、電話でんわやインターネットで取材しゅざいした情報じょうほうを元もとに、東京とうきょうの感染かんせん者しゃ数すうやオーストラリア代表だいひょうの予定よていなどについて、IBCの前まえからリポートを収録しゅうろくしていました。

クリスさんは「今こん大会たいかいのような経験けいけんは初はじめてだ。競技きょうぎの取材しゅざい以外いがいに、日本にっぽんが新型しんがたコロナという試練しれんにどのように対応たいおうし、立ち向たちむかうのか注目ちゅうもくしている」と話はなしていました。

来日らいにちした海外かいがいメディアからはさまざまな声こえ

オリンピック取材しゅざいのため来日らいにちしている海外かいがいメディアからは、さまざまな声こえが聞きかれました。

オーストラリアのテレビ局てれびきょく、セブン・ネットワークのリポーターは、東京とうきょうからの報告ほうこくとして、都内とないの新型しんがたコロナウイルスの感染かんせん者しゃ数すうが一いち日にち1000人にんを超こえたほか、ロシアオリンピック委員いいん会かいの7人にん制せいラグビーのチームスタッフが感染かんせんし、ほかのメンバーがホテルで隔離かくりされていることなどを紹介しょうかいしていました。

また、フランスの通信つうしん社しゃの取材しゅざい統括とうかつ責任せきにん者しゃは「多おおくの会場かいじょうが無む観客かんきゃくとなる今こん大会たいかいの取材しゅざいは、これまでとは全まったく違ちがう新あたらしい経験けいけんで興味深きょうみぶかい。開幕かいまくまでの準備じゅんびがどのように進すすむのか、そして日本にっぽんの人ひとたちがオリンピックをどのように受け止うけとめているのかなどを伝つたえていきたい」と話はなしていました。

一方いっぽう、オーストラリアのテレビ局てれびきょく、ナイン・ネットワークの記者きしゃは「すべての競技きょうぎがスムーズに行おこなわれてほしい。世界せかいにとってとても難むずかしい1年間ねんかんだったが、オリンピックは人々ひとびとをまとめることができると思おもう。開幕かいまくがとても楽たのしみだ」と話はなしていました。

専門せんもん家か「メディアの視点してんが日本にっぽんの印象いんしょうに大おおきな影響えいきょうフラットに」

夏なつと冬ふゆ合あわせて7大会たいかいのオリンピック取材しゅざい経験けいけんがあるスポーツジャーナリストの生島いくしま淳あつしさんは、オリンピック報道ほうどうは競技きょうぎ結果けっかだけでなく、大会たいかい運営うんえいを検証けんしょうしたり、開催かいさい都市としについて伝つたえたりすることも大事だいじな要素ようそだと指摘してきします。

そのうえで、コロナ禍かで開ひらかれる今こん大会たいかいについて「行動こうどう基準きじゅんが定さだめられている時点じてんで、多おおくのジャーナリストがストレスを抱かかえているというのは、想像そうぞうに難かたくない。日本にっぽんがどういう風かぜにオリンピックを運営うんえいしていくのか、街まちはどういった様子ようすなのかを報道ほうどうするのは海外かいがいメディアにとって必要ひつようなことなので、そこであつれきが起おきるのは想像そうぞうがつく」と述のべました。

そうした中なか、海外かいがいメディアの役割やくわりについて「海外かいがいから来きた観客かんきゃくがSNSに投稿とうこうするということがないので、実じつはメディアの視点してんが日本にっぽんの印象いんしょう、東京とうきょうの印象いんしょうに大おおきな影響えいきょうを及およぼすことは間違まちがいない。海外かいがいの人ひとがどう見みているのかということが東京とうきょうにとってプラスになったりするので、あまり白しろい目めで見みることなく、フラットな気持きもちで迎むかえたい」と、その重要じゅうよう性せいを指摘してきしました。

そして「これまで幾度いくどとなく取材しゅざいしてきたジャーナリストであっても、こういった不自由ふじゆうな環境かんきょう下かでの取材しゅざいは初はじめてで、前回ぜんかいまでのスタンダードを盾たてにいろいろ交渉こうしょうをしてくると思おもう。知恵ちえを集合しゅうごうさせていくことが、オリンピック・パラリンピックの競技きょうぎ運営うんえいの財産ざいさんになり、ひいては将来しょうらい的てきに国際こくさい大会たいかいの運営うんえいのアイデアにつながっていくと思おもう」と述のべ、メディアの取材しゅざいと感染かんせん対策たいさくの両立りょうりつを模索もさくすることはスポーツイベントの新あらたな形かたちを生み出うみだすきっかけになり得えるという認識にんしきを示しめしました。