日本新聞: 東京感染急拡大病床確保が課題医療現場は

東京とうきょう感染かんせん急きゅう拡大かくだい病床びょうしょう確保かくほが課題かだい医療いりょう現場げんばは

Jul 27, 2021 19:07 1

Furigana

感染かんせんの急きゅう拡大かくだいが続つづくなか、東京とうきょう都とは、都内とないの医療いりょう機関きかんに対にたいし、通常つうじょう医療いりょうの制限せいげんも検討けんとうして新型しんがたコロナウイルスの患者かんじゃ向むけの病床びょうしょうを確保かくほするよう要請ようせいしました。

都内とないでは、感染かんせんの急きゅう拡大かくだいに歯止はどめがかからず、27日にちは新あらたに2848人にんの感染かんせんが確認かくにんされました。

1週間しゅうかん前まえの火曜日かようびの倍ばい以上いじょうとなる1461人にんの増加ぞうかで過去かこ最多さいたとなりました。

都とが医療いりょう機関きかんに要請ようせい「新型しんがたコロナ患者かんじゃ用ように病床びょうしょうの転用てんよう・確保かくほを」

入院にゅういん患者かんじゃも増加ぞうかしていて、26日にち時点じてんでは病床びょうしょうの使用しよう率りつは45.5％になっています。

都とは、今後こんご、さらに感染かんせんが拡大かくだいし、入院にゅういん患者かんじゃが増加ぞうかすることを見据みすえて、病床びょうしょうをさらに増ふやすために26日にち、医療いりょう機関きかんに要請ようせいしました。

このなかでは、予定よていしている手術しゅじゅつの延期えんきや一部いちぶの診療しんりょう科かの停止ていしなどを例れいとしてあげ、通常つうじょうの医療いりょうを制限せいげんすることも検討けんとうして新型しんがたコロナウイルスの患者かんじゃ用ように病床びょうしょうを転用てんよう・確保かくほしてほしいとしています。

都とは、「現在げんざい、確保かくほしている病床びょうしょう」の5967床しょうを8月つき6日にちをめどに「最大さいだいで確保かくほできると」している6406床しょうまで増ふやすことを目指めざしていて、説明せつめい会かいを開ひらいて医療いりょう機関きかんに協力きょうりょくを求もとめていく方針ほうしんです。

“病床びょうしょうが満まん床ゆか状態じょうたいに” 競技きょうぎ会場かいじょうに医師いし派遣はけんの病院びょういんは

オリンピックの競技きょうぎ会場かいじょうにも医師いしを出だして対応たいおうにあたっている都内とないの病院びょういんでは、新型しんがたコロナの患者かんじゃを受け入うけいれる病床びょうしょうが満まん床ゆか状態じょうたいになっていて、さらなる患者かんじゃの入院にゅういんが難むずかしくなってきています。

東京とうきょう・墨田すみだ区くの「東京とうきょう曳舟ふね病院びょういん」は、医師いしと看護かんご師し、合あわせて8人にんをオリンピックの競技きょうぎ会場かいじょうに出だして対応たいおうにあたるとともに、新型しんがたコロナの中等ちゅうとう症しょうまでの患者かんじゃを受け入うけいれています。

東京とうきょうでは1日にちとしては過去かこ最多さいたとなる2848人にんの感染かんせんが確認かくにんされる中なか、病院びょういんでは、応援おうえんの医師いしを集あつめて対応たいおうすることにしていますが、入院にゅういん用ようの10床しょうは満まん床ゆか状態じょうたいになっています。

なかには同おなじ発熱はつねつ症状しょうじょうがあるために、搬送はんそう段階だんかいでは、熱中ねっちゅう症しょうなのか新型しんがたコロナなのか見分みわけが難むずかしく、感染かんせん対策たいさくを徹底てっていして対応たいおうに当あたらざるを得えないケースも相次あいついでいます。

医師いしが撮影さつえいした映像えいぞうには、50代だいの患者かんじゃの肺はいの状態じょうたいを調しらべる様子ようすがうつっていて、症状しょうじょうが重おもいため、重症じゅうしょう者しゃに対応たいおうできる病院びょういんに転院てんいんしてもらったということです。

発熱はつねつ外来がいらいにも連日れんじつ大勢たいせいが訪おとずれていて、1日にちに検査けんさした35人にんのうち、半数はんすう近ちかい17人にんが陽性ようせいだった日ひもあったということです。

病院びょういんでのコロナ患者かんじゃへの対応たいおうと、競技きょうぎ会場かいじょうでの救護きゅうごの両方りょうほうを担になっている、副ふく院長いんちょうの三浦みうら邦久くにひさ医師いしは「退院たいいんできる人ひとが決きまったら新あらたな患者かんじゃが入院にゅういんし、病床びょうしょうはすぐに埋うまってしまう感かんじです。デルタ株かぶが流行りゅうこうしてから入院にゅういん期間きかんが長ながくなっていて、その分ぶん、受け入うけいれも減へってしまうので、需要じゅようと供給きょうきゅうのバランスが崩くずれてしまう」と病床びょうしょうのひっ迫ひっぱくについて話はなしています。

そのうえで「救急きゅうきゅう外来がいらい、発熱はつねつ外来がいらい、ワクチン接種せっしゅ、ホテル療養りょうよう者しゃへの対応たいおうと、出来できる事ことは全部ぜんぶやっているし、オリンピックで何なにかあれば対応たいおうしないといけない。限かぎられた人員じんいんの中なか、目めの前まえにいる人ひとを助たすけたいと思おもってやっていますが、終おわりが見みえない状態じょうたいです。医療いりょうスタッフの協力きょうりょくを得えて国難こくなんを乗り越のりこえていかないといけない」と話はなしていました。

記者きしゃ解説かいせつ感染かんせん急きゅう拡大かくだいの原因げんいんはどのような対策たいさくが必要ひつよう？

2848人にんという発表はっぴょうがあったが、この数字すうじどう見みればいいのか？

A.（藤ノ木ふじのき記者きしゃ）

非常ひじょうに多おおい。

今月こんげつ12日にちから東京とうきょう都とでは緊急きんきゅう事態じたい宣言せんげんが出だされ、今いまは2週間しゅうかんたったところ。これまでは、宣言せんげんが出でて2週間しゅうかん程度ていどたてば、感染かんせん状況じょうきょうが落ち着おちついてきていたが、今回こんかいは、思おもうように感染かんせん者しゃ数すうが減へっていない。

4連休れんきゅうの影響えいきょうで、検査けんさに偏かたよりが出でた可能かのう性せいもあるものの、厳きびしい感染かんせん状況じょうきょうにあると言いえる。

どのような原因げんいん？

理由りゆうはいろいろ考かんがえられるが、1つはインドで確認かくにんされた変異へんいウイルスの「デルタ株かぶ」への置き換おきかわりが進すすんでいること。

国立こくりつ感染かんせん症しょう研究所けんきゅうじょなどの推定すいていでは7月末げつまつには75％を超こえる見込みこみとなっている。デルタ株かぶはこれまで広ひろがっていた変異へんいウイルスと比くらべても1.4倍ばい程度ていど、感染かんせん力りょくが強つよいとされていて、これまでよりもさらに注意ちゅういが必要ひつようとなっている。

さらに、人出ひとでが十分じゅうぶんに減へっていないこと。

新型しんがたコロナウイルスの感染かんせんは、人ひとと人ひととが接触せっしょくすることで起おこる。緊急きんきゅう事態じたい宣言せんげんが出だされてからも、東京とうきょう都とでは繁華はんか街がいでの人出ひとではこれまでの宣言せんげんの際さいほどは減へっていなかった。

また、先週せんしゅうの4連休れんきゅうや東京とうきょうオリンピック、それに夏休なつやすみなど、人出ひとでが増ふえる要因よういんが多おおかったことも影響えいきょうしている可能かのう性せいがある。

今後こんごは？

ワクチンについては高齢こうれい者しゃへの接種せっしゅが進すすんでいることは、これまでの流行りゅうこうとは違ちがった要素ようそだ。ただ、高齢こうれい者しゃ以外いがいへのワクチンの接種せっしゅ状況じょうきょうなどを考かんがえると、まだ、ワクチンの効果こうかだけで日本にっぽん国内こくないでの感染かんせん拡大かくだいが収おさまるという状況じょうきょうではないとみられている。