日本新聞: オリンピック【詳細】フェンシング男子エペ団体日本金メダル

東京とうきょうオリンピック、フェンシングの男子だんしエペ団体だんたいの決勝けっしょうで日本にっぽんがロシアオリンピック委員いいん会かいに45対たい36で勝かち、金メダルきんめだるを獲得かくとくしました。フェンシングで日本にっぽんが金メダルきんめだるを獲得かくとくするのは初はじめてでです。

フェンシング男子だんしエペ団体だんたいには山田やまだ優ゆう選手せんしゅ、加納かのう虹にじ輝てる選手せんしゅ、見延みのべ和かず靖やすし選手せんしゅ、宇山うやま賢けん選手せんしゅが出場しゅつじょうし、決勝けっしょうには見延みのべ選手せんしゅを除のぞく3人にんが臨のぞみました。

団体だんたい戦せんは先さきに45ポイントを取とったチームか、9試合しあいを戦たたかって合計ごうけいポイントの多おおいチームが勝かちとなります。

世界せかいランキング8位いの日本にっぽんは、1回戦かいせんでアメリカを相手あいてに最大さいだい8点てんリードされながら逆転ぎゃくてん勝がちして勢いきおいにのり、準々じゅんじゅん決勝けっしょうで世界せかいランキング1位いのフランスに競り勝せりかちました。

そして準決勝じゅんけっしょうで韓国かんこくを破やぶって迎むかえた決勝けっしょうはロシアオリンピック委員いいん会かいとの対戦たいせんとなりました。

日本にっぽんは1試合しあい目めで山田やまだ選手せんしゅが世界せかいランキング2位いのセルゲイ・ビダ選手せんしゅと対戦たいせんし5対たい4とリードする上々じょうじょうのスタートを切きりました。

その後そのごも日本にっぽんがリードする展開てんかいで試合しあいを進すすめ、5試合しあい目めでは宇山うやま選手せんしゅが素早すばやいフットワークと長ながいリーチを生いかして、ビダ選手せんしゅから6連続れんぞくポイントを含ふくむ8ポイントを奪うばって25対たい20とリードを広ひろげました。

37対たい33と4点てんリードで迎むかえた9試合しあい目めでもアンカーの加納かのう選手せんしゅが粘ねばるビダ選手せんしゅを攻せめ続つづけて突き放つきはなし、日本にっぽんが45対たい36でロシアオリンピック委員いいん会かいに勝かち金メダルきんめだるを獲得かくとくしました。

フェンシングで日本にっぽんが金メダルきんめだるを獲得かくとくするのは初はじめてでです。

山田やまだ優ゆう “めちゃくちゃうれしい”

決勝けっしょうの1試合しあい目めで世界せかいランキング2位いの相手あいてに5対たい4とリードし好こうスタートを切きった山田やまだ優ゆう選手せんしゅは「個人こじん戦せんで悔くやしい思おもいをした分ぶん、団体だんたい戦せんではみんなと自分じぶんを信しんじて頑張がんばれば結果けっかはついてくると思おもっていた。めちゃくちゃうれしいです」と話はなしていました。

加納かのう虹にじ輝てる “強つよい気持きもちで戦たたかった”

チーム最年少さいねんしょうの23歳さいでアンカーを務つとめた加納かのう虹にじ輝てる選手せんしゅは「先輩せんぱいたちがつないでくれたリードだったので、必かならず守まもり切きって金メダルきんめだるをとるという強つよい気持きもちを持もって戦たたかった」と試合しあいを振り返ふりかえっていました。

宇山うやま賢けん “振り返ふりかえっても悔くいはない”

男子だんしエペ団体だんたいのリザーブメンバーだった宇山うやま賢けん選手せんしゅはアメリカとの1回戦かいせんの8試合しあい目めで団体だんたいのキャプテンの見延みのべ和かず靖やすし選手せんしゅに代かわって出場しゅつじょうし、7ポイントをあげて反撃はんげきの口火くちびを切きりました。

宇山うやま選手せんしゅは「自分じぶんの仕事しごとができる日ひを待ち望まちのぞんでずっと準備じゅんびしてきた。リードがひらいていて苦くるしい展開てんかいだったが、僕ぼくが点差てんさをつめないとどうしようもないので逆ぎゃくに“おいしい”と思おもっていた。僕ぼくの勢いきおいにアンカーの加納かのう選手せんしゅが反応はんのうしてくれて、いい形かたちの逆転ぎゃくてん劇げきが見みせられた」と振り返ふりかえりました。

そのうえで、「決勝けっしょうは何なにも考かんがえずに自分じぶんの今いままでのフェンシングのすべてをぶつけようと挑いどんだ。振り返ふりかえっても悔くいはないです」と話はなしました。

キャプテン見延みのべ和かず靖やすし “強つよい日本にっぽんを示しめせた”

フェンシング男子だんしエペ団体だんたいのキャプテンを務つとめる見延みのべ和かず靖やすし選手せんしゅは「全員ぜんいんの調子ちょうしがよくて、強つよい日本にっぽんを示しめせたと思おもう」と笑顔えがおで語かたりました。

1回戦かいせんの途中とちゅうで、リザーブの宇山うやま賢けん選手せんしゅと交代こうたいしたことについては「誰だれがエースを務つとめてもいいくらいの4人にんがそろっているのが日本にっぽんの強つよみだと思おもっていたので、思う存分おもうぞんぶん暴あばれてほしいと思おもっていた。期待きたいどおりの結果けっかを宇山うやま選手せんしゅも出だしてくれたと思おもう」と振り返ふりかえっていました。

そして、「僕ぼくたちの後うしろにいるたくさんの応援おうえんしてくれた人ひとやきょうを迎むかえるにあたって練習れんしゅう相手あいてになってくれた人ひとの思おもいがつまった金メダルきんめだるです。応援おうえんありがとうございました」と話はなしていました。

全身ぜんしんへの突つきが有効ゆうこうとなる「エペ」

フェンシングは全身ぜんしんへの突つきが有効ゆうこうとなる「エペ」。

剣けんで相手あいての胴体どうたいを突つく「フルーレ」。

上半身じょうはんしんへの突つきに加くわえて、斬きりも有効ゆうこうになる「サーブル」の3種目しゅもくがあります。

「エペ」での金きん日本にっぽんフェンシングに大おおきな意味いみ

日本にっぽんフェンシング界かい、悲願ひがんのオリンピック金メダルきんめだるの快挙かいきょを達成たっせいした男子だんしエペ団体だんたいの日本にっぽんチーム。これまで日本にっぽん選手せんしゅは「フルーレ」でしかオリンピックのメダルに届とどいておらず、「エペ」での金メダルきんめだる獲得かくとくは日本にっぽんのフェンシングにとって大おおきな意味いみを持もちます。

日本にっぽんは1964年ねんの東京とうきょうオリンピックで男子だんしフルーレ団体だんたいで4位いに入賞にゅうしょうしたのをきっかけにフルーレ中心ちゅうしんとした強化きょうかが長ながく行おこなわれてきました。このため、かつては「アジアの選手せんしゅでは『エペ』『サーブル』では勝かてない」という考え方かんがえかたも広ひろまっていて、いまでも競技きょうぎ人口じんこうは「フルーレ」が最もっとも多おおいといわれています。

また2008年ねんの北京ぺきん大会たいかいでは男子だんしフルーレ個人こじんで、太田おおた雄貴ゆうきさんが日本にっぽんのフェンシングでオリンピック初はつのメダルとなる銀メダルぎんめだるを獲得かくとくし、2012年ねんのロンドン大会たいかいでは太田おおたさんを中心ちゅうしんとする男子だんしフルーレ団体だんたいで銀メダルぎんめだるを獲得かくとくするなど「フルーレ」での活躍かつやくが目立めだち注目ちゅうもくも集あつめてきました。

こうしたなかフェンシング協会きょうかいでは、「エペ」の強化きょうかにも力ちからを入いれてきました。その1つが「サーシャ」の愛称あいしょうで呼よばれるウクライナ人じんのオレクサンドル・ゴルバチュクコーチを2008年ねんから招まねいたことです。

当時とうじ、中学生ちゅうがくせいだった団体だんたいの中心ちゅうしんメンバー山田やまだ優ゆう選手せんしゅの「エペ」の才能さいのうを見出みいだしたのも彼かれで、協会きょうかいの関係かんけい者しゃは彼かれの指導しどうやノウハウが10年ねん以上いじょうをかけて日本にっぽんのトップ選手せんしゅたちに浸透しんとうしてきたと評価ひょうかしています。

また東京とうきょうオリンピックに向むけては若わかい世代せだいの実力じつりょくの底上そこあげにも力ちからを入いれてきました。全国ぜんこく各地かくちで定期ていき的てきに行いっている「エペ」のキャンプには、選手せんしゅだけでなく指導しどう者しゃの参加さんかも促うながし、選手せんしゅが活躍かつやくしやすい環境かんきょうを整備せいびしてきました。

そして世界せかいランキング4位いの山田やまだ選手せんしゅ、10位いの見延みのべ和かず靖やすし選手せんしゅと上位じょういの選手せんしゅをそろえて東京とうきょうオリンピックに臨のぞんだ男子だんしエペ団体だんたい。山田やまだ選手せんしゅは大会たいかい前まえ、「大会たいかいに向むけ、わくわくしている。日本にっぽんではフルーレが注目ちゅうもくされてきたが、エペでメダルをとって“時代じだいはエペ”だとアピールしたい」と抱負ほうふを語かたっていました。

日本にっぽんは誰だれかが劣勢れっせいになっても別べつの選手せんしゅがポイントを取り返とりかえすチームとしての総合そうごう力りょくの高たかさを武器ぶきに、準々じゅんじゅん決勝けっしょうで世界せかいランキング1位いのフランスに競り勝せりかつとその勢いきおいに乗のって決勝けっしょうまで勝かち上あがりました。そしてロシアオリンピック委員いいん会かいと対戦たいせんした決勝けっしょうでも試合しあいを優位ゆういに進すすめて金メダルきんめだるを獲得かくとく。日本にっぽんの「エペ」の力ちからを世界せかいに示しめしました。

太田おおた雄貴ゆうきさん「エペで金メダルきんめだるは大おおきい」

フェンシングの男子だんしフルーレで北京ぺきんオリンピックは個人こじん、ロンドンオリンピックでは団体だんたいの銀メダルぎんめだるを獲得かくとくした太田おおた雄貴ゆうきさんは報道陣ほうどうじんの取材しゅざいに対にたいし、「1回戦かいせんが山場やまばだと思おもっていた。1試合しあい目めは難むずかしいですし、アメリカは勢いきおいがあるので、ここで苦くるしみながら勝かてればチャンスはあるのではないかと思おもっていたら、そのような展開てんかいになった。フランス戦せん以降いこうはかなり安心あんしんして見みることができた」と、男子だんしエペ団体だんたいの戦たたかいについて振り返ふりかえりました。

日本にっぽんの強つよさについては「準決勝じゅんけっしょうと決勝けっしょうで第だい3試合しあい・第だい4試合しあいまでに5点てん差さもしくはそれ以上いじょうの点差てんさを作つくれていたので、自力じりきの差さがあるとすごく感かんじた。どの国くにも3人にんがそろっていない中なかで、日本にっぽんが4人にんそろっていたのは非常ひじょうに強つよい原げん動力どうりょくになったのではないかと思おもう」と分析ぶんせきしていました。

今後こんごのフェンシング界かいに与あたえる影響えいきょうについては「今回こんかいの金メダルきんめだるを見みてフェンシングを始はじめようと思おもった小学生しょうがくせいたちが10年ねん後ご20年ねん後ごに世界せかいの舞台ぶたいで輝かがやいてくれればうれしいと思おもう。ルールがわかりやすいエペで金メダルきんめだるをとってくれたことは大おおきい。フェンシングの普及ふきゅうにはエペは欠かかせないと思おもっていたのでその意味いみでうれしい」と述のべました。