日本新闻: 「1人暮らしの自宅療養は“放置状態”」東京 50代会社員女性

こみあげるような、せき。

夜よるになると上あがる熱ねつ。

それでも、周まわりには誰だれもいません。

このまませきが止とまらず、息いきが苦くるしくなってしまったらどうしよう。

1人にん暮くらしで自宅じたく療養りょうようをした女性じょせいの話はなしです。

ワクチン2回かい接種せっしゅした8日にち後ごに、発熱はつねつなどの症状しょうじょう

女性じょせいは50代だいの会社かいしゃ員いん。

東京とうきょう都内とないで1人にんで暮くらしています。

リウマチの持病じびょうがあり、感染かんせんして重症じゅうしょう化かしないようにと、いち早いちはやく新型しんがたコロナウイルスのワクチンを接種せっしゅしていました。

発熱はつねつなどの症状しょうじょうが出で始はじめたのは7月つき25日にち。

2回かい目めの接種せっしゅを受うけた8日にち後ごだったといいます。

女性じょせい

「リウマチのため免疫めんえきの働はたらきを抑制よくせいする薬くすりを服用ふくようしていて、風邪かぜひとつでも症状しょうじょうがひどくなってしまうので、感染かんせん症しょうには気きをつけていました。インフルエンザのワクチンは毎年まいとし打うっています。新型しんがたコロナのワクチンも接種せっしゅ券けんが届とどいてすぐに打うちました。熱ねつが出でてきたときは、冷房れいぼうのなかにいることが多おおかったから夏なつ風邪かぜをひいたのかと思おもいました。でも熱ねつが下さがらなくて、だんだん味覚みかくと嗅覚きゅうかくもおかしくなってきて、もしかしたらって7月つき29日にちにかかりつけ医いにPCR検査けんさをしてもらいました」

基礎きそ疾患しっかんあっても「自宅じたく療養りょうよう」 1人にん暮くらしで不安ふあんな夜よる

7月つき31日にちに陽性ようせいという検査けんさ結果けっかが出でました。

血液けつえき中ちゅうの酸素さんそ飽和ほうわ度どは99％だったこともあり、かかりつけ医いに軽症けいしょうと診断しんだんされて女性じょせいは自宅じたく療養りょうようすることになりました。

基礎きそ疾患しっかんがあるため重症じゅうしょう化かするのではないかと心配しんぱいで保健所ほけんじょには宿泊しゅくはく施設しせつで療養りょうようしたいと伝つたえましたが、「より深刻しんこくな症状しょうじょうの人ひとが多おおいため今いまは絶対ぜったいに無理むりだ」と告つげられたといいます。

女性じょせい

「熱ねつは38度ど、高たかいときで39度ど前まえくらいまで上あがるような状態じょうたいで、こみ上こみあげるようなせきが出でました。通常つうじょうの風邪かぜのときとは違ちがう、肺はいからこみ上こみあげてくるような、痛いたみというか息苦いきぐるしさを感かんじるようなせきです。横よこになったりかがんだりすると一気いっきにせき込せきこんで、夜よるになると熱ねつが上あがって、1人にんということもあって夜よるがすごく不安ふあんでした」

届とどくはずの食料しょくりょう品ひんなど届とどかず実家じっかに頼たのんで…

女性じょせいは保健所ほけんじょとの電話でんわで、血液けつえき中ちゅうの酸素さんそ飽和ほうわ度どを測はかるパルスオキシメーターと、希望きぼう者しゃには無料むりょうで届とどけられるという食料しょくりょう品ひんの配送はいそうを依頼いらいしていました。

しかし、保健所ほけんじょや都とのフォローアップセンターの業務ぎょうむがひっ迫ひっぱくしているためか、届とどきませんでした。

女性じょせいは神奈川かながわ県けんの実家じっかに頼たのんで食料しょくりょう品ひんを部屋へやの外そとに置おいてもらい、朝あさと夜よるの1日にち2回かい、電話でんわやLINEで家族かぞくに体調たいちょうを報告ほうこくしていたといいます。

女性じょせい

「保健所ほけんじょとの最初さいしょの電話でんわのときに『食べ物たべものは段ボールだんぼ-るで届とどきますから安心あんしんしてください』と言いわれたんですが、2回かい目めの電話でんわのときにも届とどいてなくて、『送おくり切きれてないです』とのことでした。食欲しょくよくがまるでないし味あじもにおいも分わからないので、母ははと弟おとうとに頼たのんでレトルトのおかゆとかゼリーとかアイスとかのどごしがよいものを持もってきてもらって。シーツとかタオルとか汗あせをかいたままでは嫌いやなので熱ねつを出だしながら洗濯せんたくや洗い物あらいものをして。つらかったですね、それは」

「自宅じたく療養りょうよう者しゃはほとんど放置ほうちに近ちかい」

女性じょせいにとって何なによりつらかったのは、悪化あっかしたときにすぐに頼たよれる人ひとがいないのに、症状しょうじょうの変化へんかにどうやって気きづけばいいのか、という強つよい不安ふあんでした。

女性じょせい

「自宅じたく療養りょうよう者しゃはほとんど放置ほうちに近ちかいのだと感かんじました。眠ねむるときは携帯けいたいを枕元まくらもとに置おいていました。ひとりなので自分じぶんの症状しょうじょうがこの先このさきどうなるのか分わからない。パルスオキシメーターもないし、悪化あっかしたときになすすべがないという不安ふあんが強つよかったです。自宅じたく療養りょうようしていた人ひとが重症じゅうしょう化かしたとか救急きゅうきゅう車しゃを呼よんでも搬送はんそうされないというニュースを見聞みききしていたし、どんな症状しょうじょうになったら危険きけんなのかも分わからないので、もしかしたら誰だれにも気きづかれず死しぬかも知しれないと生うまれて初はじめて意識いしきしました」

食料しょくりょう品ひんが届とどいたのは「療養りょうよう終了しゅうりょう」の3日にち後ご

その後そのご、徐々じょじょに夜よるに発熱はつねつすることはなくなり失うしなわれていた味覚みかくや嗅覚きゅうかくも少すこし戻もどってきて、8月つき5日にち、保健所ほけんじょから「きょうで療養りょうようは終おわりです」と伝つたえられました。

自宅じたく療養りょうよう者しゃ用ようの食料しょくりょう品ひんが届とどいたのは、その電話でんわの3日にち後ごでした。

女性じょせい

「急きゅうに感染かんせん者しゃが増ふえて保健所ほけんじょも混乱こんらんしているのでしょうが、後手ごてに回まわってしまっているなという印象いんしょうでした。私わたしの場合ばあいは家族かぞくのサポートがありましたが、本当ほんとうに1人にんで年配ねんぱいの方ほうなどは、どうしていいかわからなくなってしまうのではないでしょうか」

ワクチン接種せっしゅ後ごの感染かんせんそれでも自分じぶんができることを

今月こんげつ10日にちから会社かいしゃにも復帰ふっきした女性じょせい。

いまも味覚みかくや嗅覚きゅうかくは完全かんぜんには戻もどっておらず、おいしいと思おもえるのは味噌みそ汁じるだけだといいます。

ワクチン2回かい接種せっしゅ後ごの感染かんせん。

これまで以上いじょうに感染かんせん対策たいさくに気きをつけているということです。

女性じょせい

「ワクチンを打うったあともかなり注意ちゅういはしているつもりでした。でも、どこかで自分じぶんは感染かんせんしないという気持きもちで過すごしていたかもしれません。自分じぶんの意識いしきも甘うまかったなって反省はんせいしてるんです。ワクチン2回かい打うっても感染かんせんしましたが、ワクチンを打うっていなかったらもっとひどくなっていたのではないかと思おもうし、わりと回復かいふくして、後遺症こういしょうはあっても日常にちじょう生活せいかつを送おくれるようになったのでやはり受うけて良よかったです。治療ちりょう薬やくがない限かぎりは危険きけんは続つづくし、何なにもなかった日常にちじょうにはとうてい戻もどれないので、個人こじんの意識いしきがゆるむ段階だんかいではないと思おもいます。ワクチンを打うてる環境かんきょうにある人ひとは打うって、自分じぶんができることはやっていくということだと思おもいます」