卵たまごの価格かかく 高こう止とまり続つづく その背景はいけいは

卵たまごの卸売おろしうり価格かかくの目安めやすとなる「JA全農ぜんのうたまご」の東京とうきょう地区ちくの平均へいきん価格かかくは、1月つきはMサイズ1キロあたり258円えんでした。

これは12月つきより32円えん、率りつにして11％値下ねさがりしたものの、統計とうけいを取とり始はじめた1993年ねん以降いこうで1月つきとしては2番目ばんめに高たかく、高こう止どまりが続つづいています。

特とくに1月つきは月末げつまつに近ちかづくにつれて値上ねあがりが進すすみ、31日にち時点じてんで1月つき上旬じょうじゅんより30％以上いじょう高たかい305円えんまで上昇じょうしょうしました。

農水省のうすいしょう “鳥とりインフルの感染かんせん相次あいつぎ 供給きょうきゅう減少げんしょう”

この理由りゆうについて農林水産省のうりんすいさんしょうは、1月つきに入はいってから大だい規模きぼな養鶏ようけい場じょうで鳥とりインフルエンザの感染かんせんが相次あいつぎ、卵たまごの供給きょうきゅうが減へったことを挙あげています。

鳥とりインフルエンザは1月つきだけで5つの県けんで34か所かしょ、処分しょぶんの対象たいしょうとなったニワトリなどの数かずは652万まん羽わにのぼり、1月つきとしては過去かこ最多さいたとなっています。

農林水産省のうりんすいさんしょうは「鳥とりインフルエンザの発生はっせい状況じょうきょうによっては価格かかくはさらに上昇じょうしょうする可能かのう性せいがあり、価格かかくの動向どうこうを注意深ちゅういぶかく見みていきたい。一方いっぽう、現時点げんじてんではスーパーなどで欠けつ品ひんするような状態じょうたいではなく、冷静れいせいな消費しょうひ行動こうどうを心こころがけてほしい」と話はなしています。

廃業はいぎょうを余儀よぎなくされる業者ぎょうしゃも

愛媛えひめ県けん西条さいじょう市しの冨田とみた泰広やすひろさん（52）は、およそ26万まん羽わのニワトリを飼育しいくする県内けんない有数ゆうすうの養鶏ようけい業者ぎょうしゃで、地元じもとで1年間ねんかんに生産せいさんされる卵たまごのおよそ1割わりにあたる3800トンを出荷しゅっかしてきました。

しかし、去年きょねん12月つきに所有しょゆうする養鶏ようけい場じょうで鳥とりインフルエンザが発生はっせいし、すべてのニワトリを処分しょぶんすることになりました。

実じつは2022年ねんにも、同おなじ敷地しきちの養鶏ようけい場じょうで鳥とりインフルエンザが発生はっせいし、このときも飼育しいくしていたニワトリをすべて処分しょぶんしました。

冨田とみたさんによりますと、処分しょぶんにあたって国くにからその費用ひようや手当てあて金きんが交付こうふされましたが、支払しはらいまで1年ねん近ちかくかかったということです。

再ふたたび事業じぎょうを始はじめるために、貯金ちょきんを取り崩とりくずした上うえで金融きんゆう機関きかんからも1億おく円えんを借り入かりいれて新あらたなひなの購入こうにゅうや防疫ぼうえき対策たいさくにあて、卵たまごの出荷しゅっかの再開さいかいにこぎつけたのは発生はっせいの半年はんとし後ごでした。

養鶏ようけい業者ぎょうしゃが再ふたたび事業じぎょうを始はじめるためには、処分しょぶんしたニワトリを埋うめる土地とちを自みずから用意よういする必要ひつようがありますが、今回こんかいその土地とちの確保かくほが難むずかしいことに加くわえて、国くにからの交付こうふ金きんが入はいるめども立たたないことなどから、冨田とみたさんは廃業はいぎょうはやむをえないと考かんがえています。

今いまでは県内けんないにあるおよそ150か所かしょの出荷しゅっか先さきを回まわり、廃業はいぎょうに向むけて卵たまごを入いれるケースの回収かいしゅうなどを行おこなっています。

冨田とみたさんは「大切たいせつに育そだてたニワトリを2回かいも処分しょぶんすることになり、精神せいしん的てきにつらいです。養鶏ようけいを続つづけたいという思おもいはありましたが、経営けいえい面めんでも限界げんかいにきています。全国ぜんこくの多おおくの養鶏ようけい農家のうかが同おなじように苦くるしんでいると思おもうので、国くにには真剣しんけんに支援しえん策さくを考かんがえてほしい」と話はなしていました。

専門せんもん家か “早期そうき再開さいかいに向むけて公的こうてき支援しえんの充実じゅうじつを”

畜産ちくさん経営けいえい論ろんが専門せんもんの酪農らくのう学園がくえん大学だいがくの日向ひゅうが貴久たかひさ教授きょうじゅは、鳥とりインフルエンザをきっかけに養鶏ようけい業者ぎょうしゃの廃業はいぎょうが相次あいついだ場合ばあいには、事業じぎょうの早期そうき再開さいかいに向むけて公的こうてきな支援しえんを充実じゅうじつさせることが必要ひつようだと指摘してきしています。

このなかで鳥とりインフルエンザの発生はっせいが相次あいつぐことによる卵たまごの価格かかくへの影響えいきょうについて、「卵たまごは生鮮せいせん食品しょくひんなので広域こういき的てきな流通りゅうつうがしにくい。卵たまごの供給きょうきゅうが減へった場合ばあいは近隣きんりんから融通ゆうずうして一時いちじ的てきにしのぐことはできるが、鳥とりインフルエンザなどで慢性まんせい的てきに続つづくと卵たまごが不足ふそくし、値段ねだんはどうしても高たかくなる」と述のべました。

そのうえで「特定とくていの地域ちいきで複数ふくすうの中小ちゅうしょうの養鶏ようけい業者ぎょうしゃがリタイアすることになった場合ばあいには、その地域ちいきの卵たまごの価格かかくに与あたえる影響えいきょうは大おおきい。通常つうじょう、3か月かげつから半年はんとしくらいかかるとされる卵たまごの出荷しゅっか再開さいかいまでの期間きかんをさらに短みじかくするため、資金しきんの貸し付かしつけなどの公的こうてきな支援しえんを充実じゅうじつさせることが必要ひつようだ」と指摘してきしています。