米ディズニー・テーマパーク事業、海外観光客減少の影響と今後の成長戦略
ウォルト・ディズニー社は、米国内のテーマパークにおける外国人観光客の減少傾向について警鐘を鳴らしている。この現象は、長年にわたり同社の収益を牽引してきた高収益部門である「エクスペリエンス」事業が、今後他部門に追い抜かれる可能性を示唆するものである。
同社は米国時間2月2日に開催された四半期決算説明会において、テーマパークおよびクルーズ部門のゲスト支出が2025年最終四半期の売上高増加に大きく寄与したと報告した。一方で、米国テーマパークにおける海外からの来場者数減少という逆風が、2026年第1四半期のエクスペリエンス事業の成長を抑制する可能性があると警告している。
ディズニーのエクスペリエンス事業の売上高は、昨年第4四半期に前年同期比6%増の100億ドル、営業利益も同6%増の33億ドルに拡大した。その要因として、米国パークの入園者数が1%増加したこと、ゲスト一人当たりの支出が4%上昇したこと、さらに新規クルーズ船の導入によってクルーズラインの予約が増加したことなどが挙げられる。
一方、ディズニーはDisney+およびHuluのストリーミングサービスにおいても営業利益が4億5000万ドルと、前年同期比72%増という著しい成長を記録し、ウォール街のアナリスト予想および同社のガイダンスを大きく上回った。
しかし、今年後半に退任予定のボブ・アイガーCEOの後継者選定をめぐる不透明感から、2月2日午後にはディズニー株が7%下落した。アイガー氏は決算説明会で、エクスペリエンス事業とストリーミング事業の間で「健全な競争」が生じており、どちらが今後の収益の中核となるかが問われている状況であると述べている。
業界コンサルタントであるインターナショナル・テーマパーク・サービス社CEOのデニス・スパイゲル氏は、米国テーマパーク業界が71年の歴史を経て成熟し、前年比成長の達成が年々困難になっている状況を指摘した上で、今後は米国外からの成長が中心になるとの見解を示した。
同氏によれば、業界は拡張を続けているものの、リピーターの来場に依存しており、新規アトラクションへの投資コストも増加し続けているという。
アイガー氏はまた、ディズニーランド・パリにおける新エリア「ワールド・オブ・フローズン」や、アブダビに建設予定の100億ドル規模の屋内型テーマパークといった国際プロジェクトに言及し、これらは事業拡大の大きな可能性を示していると強調した。
特にアブダビ進出については、同地域におけるテーマパーク・エンターテインメントの中心地となり得るとスパイゲル氏も評価している。
世界旅行ツーリズム協議会(WTTC)のデータによれば、昨年の米国への海外からの訪問者数は6%減少した。背景には、トランプ政権時代の関税政策や地政学的緊張などが挙げられる。特にカナダ人観光客の減少が顕著であり、2025年上半期には2024年と比較して約19%の落ち込みが見込まれている。
一部の地方テーマパークでは、カナダ人来場者が最大30%減少した例も報告されており、今後もこの傾向が続く可能性は否定できない。
ディズニーの米国テーマパーク来場者のうち25~30%が海外からの旅行者であることから、こうした国際情勢や観光動向の変化が同社の事業に与える影響は極めて大きいと言える。
なお、ディズニーの次期CEOについては依然として不透明であり、同社取締役会は今週中に後継者選定の投票を実施する予定である。ボブ・チャペック氏が3年足らずで退任した後、2022年11月にアイガー氏が復帰して以来、経営の安定性が問われる状況が続いている。