A.写真を見ましたが、あれはトドですね。報道では体長1メートル50センチくらいとありましたが、大人のメスは体長2メートルくらいあるので、1メートル50センチくらいだとすると、今回のトドは子どもだと思います。
Q.どうして東京湾にトドがいるんでしょうか?どこから来たんでしょう?
A.群れからはぐれてたどり着いたのだと思います。とても珍しいケースです。トドはふだんはロシアのサハリン、もとの樺太周辺の海にいますが、10月の終わり頃になるとエサを求めて南下し、北海道の稚内市の宗谷岬の沖合に現れて1000頭を超える巨大な群れを作ります。
今回のトドは北海道の北の海にいたのが群れからはぐれてしまい、南下していて東京湾にたどり着いたのだと思われます。「陸に上がれるな」と思ってあの場所に来たのかもしれません。
Q.トドは一頭でももとにいた場所まで帰れますか?
A.群れがいない状況です。1頭だけで北海道の北まで自力で戻るのは難しいと思います。
Q.トドにとって東京湾はいい環境なのでしょうか。あの場所で生きていけますか?
A.トドのエサになるタコ・イカなどがあればしばらくは生きていけます。水温という面では今は冬なので、問題ないと思います。ただ、トドは元気なら海に潜って魚を捕って過ごします。上陸するのは弱っているときです。
上陸している時間が長い場合は、疲れているのかもしれませんね。
Q.トドは環境省が「準絶滅危惧種」に指定していますよね。
A.はい。そのとおりです。一方で北海道では定置網にかかったサケを食い荒らすなど漁業被害を及ぼしています。北海道付近に来る個体数を管理する計画も作られています。東京湾のトドは一頭ですから影響はないと思いますが、そっと見守ってあげてほしいと思います。