UAゼンセンが5日発表したカスハラに関する調査結果は、サービス業の組合員を対象にインターネットでアンケートを行ったもので3万3000人余りから回答がありました。
それによりますと、「2年以内でカスハラの被害にあったことがあるか」尋ねたところ、46.8%が「被害にあった」と回答しました。
4年前に行った調査での回答は56.7%で、前回に比べ10ポイント近く減りましたが、およそ2人に1人が被害にあったとしています。
また、客の推定年代別では
▽60代が29.4%ともっとも多く
次いで
▽50代が27.2%
▽70代以上が19.1%となっています。
客からの要求内容では
▽不手際などに関する謝罪が29.2%
▽商品の取り替えや再サービスの要求が16.3%
▽上司による謝罪が15.1%などとなっています。
一方、従業員の心身への影響としては
▽「いやな思いや不快感が続く」が50.5%
▽「腹立たしい思いが続く」が15.1%
▽「すっきりしない気持ちが続く」が8.9%
▽「同じようなことがおこりそうで怖い」が8%
▽「心療内科などに行った」が0.8%などとなっています。
調査について専門家の分析結果も公表されカスハラの特徴の分析では
▽スーパーやドラッグストアなどでは女性従業員に対する60代の男性客によるポイント制度をめぐるトラブルが多いとしているほか
▽パチンコ関連や医療・介護・福祉の分野では60代と70代による女性に対するセクハラ行為が比較的多いのが特徴だなどとしています。
UAゼンセン流通部門の佐藤宏太執行委員は「カスハラが従業員の精神に悪い影響を与えることが分かった。女性が最前線で働いている場合が多いので被害にあう女性も多いと考えている。結果を今後の対策につなげていきたい」と話しています。
東京都 全国初の防止条例制定に向け検討進める
カスハラをめぐっては、東京都が全国初の防止条例の制定に向けて検討を進めています。
これまでに示された方針によりますと、カスハラを「就業者に対する暴言や正当な理由がない過度な要求などの不当な行為で就業環境を害するもの」などと定義づけるとともに、罰則は設けないとしています。
また、何人もカスハラを行ってはいけないとして、客のほかに、公的サービスを提供する役所の窓口や学校などを利用する人などもカスハラを行う対象とします。
また、官民を問わず、都が実施する施策に協力して対応マニュアルを作成するなどの対策を求めるとしています。
都はこうした方針をもとに条例案を取りまとめ、ことし秋の都議会への提出を目指しています。