日本新聞: 専門家会合 “感染者ピークの可能性も医療ひっ迫続くおそれ”

新型しんがたコロナウイルス対策たいさくについて助言じょげんする厚生こうせい労働ろうどう省しょうの専門せんもん家か会合かいごうが開ひらかれ、感染かんせんは全国ぜんこく的てきには増加ぞうか傾向けいこうが続つづいているものの、増加ぞうかの速度そくどは鈍化どんかしていて、今後こんご、感染かんせん者しゃ数すうがピークを迎むかえる可能かのう性せいがあると指摘してきしました。一方いっぽうで、医療いりょう体制たいせいのひっ迫ひっぱくは当面とうめん続つづくおそれがあるとして、学校がっこうや介護かいご福祉ふくし施設しせつなどでの対策たいさく強化きょうかやワクチンの追加ついか接種せっしゅの加速かそくなどを改あらためて呼よびかけました。

専門せんもん家か会合かいごうは、全国ぜんこくの感染かんせん状況じょうきょうについてはまだ増加ぞうか傾向けいこうにあるとしたうえで、増加ぞうか速度そくどの鈍化どんか傾向けいこうが続つづいていることや、まん延まんえん防止ぼうし等とう重点じゅうてん措置そちが適用てきようされている地域ちいきのうち、広島ひろしま県けん、山口やまぐち県けん、沖縄おきなわ県けんなど7つの県けんで感染かんせん者しゃ数すうが減少げんしょう傾向けいこうか上あげ止どまりとなっていることや、ほかにも減少げんしょうの兆きざしが見みえている地域ちいきがあることなどから「今後こんご、新規しんき感染かんせん者しゃ数すうがピークを迎むかえる可能かのう性せいがある」と指摘してきしました。

ただ、検査けんさ体制たいせいのひっ迫ひっぱくなどで公表こうひょうされるデータが実態じったいと異ことなっている可能かのう性せいに注意ちゅういが必要ひつようだとしました。

また、療養りょうよう者しゃ数すうや重症じゅうしょう者しゃ数すう、それに亡なくなる人ひとの数かずについても増加ぞうかが続つづいているとし、オミクロン株かぶの感染かんせんが先行せんこうして拡大かくだいした沖縄おきなわ県けんでは、現在げんざいすべての年代ねんだいで感染かんせん者しゃが減少げんしょうしているものの、感染かんせん者しゃが減へり始はじめてから入院にゅういん患者かんじゃが減少げんしょうに転てんじるまで2週間しゅうかん程度ていどの遅おくれがあったと指摘してきしました。

感染かんせん者しゃの年代ねんだい別べつの割合わりあいは、全国ぜんこくでは、20代だいが減少げんしょうする一方いっぽう、10歳さい未満みまんと60代だいが増加ぞうかしていて、多おおくの地域ちいきでこのあと若わかい世代せだいを中心ちゅうしんに新規しんき感染かんせん者しゃ数すうが減少げんしょうしても、当面とうめんは医療いりょう体制たいせいのひっ迫ひっぱくが続つづき、高齢こうれいの重症じゅうしょう患者かんじゃが増ふえて重症じゅうしょう病床びょうしょうもひっ迫ひっぱくするおそれがあるとしました。

さらに、救急きゅうきゅう搬送はんそうの現場げんばではコロナ疑うたがい以外いがいの搬送はんそうも増加ぞうかしていて、搬送はんそうが困難こんなんなケースが去年きょねん夏なつの「第だい5波は」を上回うわまわる状況じょうきょうにあるとして、特とくに救急きゅうきゅう医療いりょうに大おおきな負荷ふかがかかっているとしました。

このほか、オミクロン株かぶの一種いっしゅで感染かんせん力りょくがさらに高たかいと指摘してきされている「BA．2」と呼よばれる系統けいとうのウイルスについては、国内こくないでも検出けんしゅつされていることから、今後こんご、この系統けいとうに置き換おきかわり、感染かんせんが再ふたたび増加ぞうかに転てんじる可能かのう性せいにも注意ちゅういが必要ひつようだとしました。

そして、必要ひつような対策たいさくとして専門せんもん家か会合かいごうは、オミクロン株かぶの特性とくせいを踏ふまえることの重要じゅうよう性せいを強調きょうちょうし、

▽感染かんせんが広ひろがっている場面ばめんとされる学校がっこうや保育ほいく所しょ、福祉ふくし施設しせつ、職場しょくばなどでの対策たいさくを進すすめ、

▽高齢こうれい者しゃなどへのワクチンの追加ついか接種せっしゅをさらに加速かそく化かすることや、高齢こうれい者しゃ以外いがいにも接種せっしゅの前倒まえだおしを行おこなうこと、

▽1つの密みつでも避さけ、外出がいしゅつの際さいには混雑こんざつした場所ばしょや感染かんせんリスクの高たかい場面ばめんを避さけるほか、不ふ織お布ぬのマスクの正ただしい着用ちゃくようや手て指ゆびの消毒しょうどく、換気かんきなど、改あらためて基本きほん的てきな感染かんせん対策たいさくを徹底てっていするよう呼よびかけました。

脇田わきた座長ざちょう「高齢こうれい者しゃへの広ひろがりをいかに抑おさえるかが重要じゅうよう」

厚生こうせい労働ろうどう省しょうの専門せんもん家か会合かいごうのあと開ひらかれた記者きしゃ会見かいけんで、脇田わきた隆たかし字じ座長ざちょうは「今回こんかいの感染かんせん拡大かくだいは、はじめは若者わかもので広ひろがり、子こどもや高齢こうれい者しゃに広ひろがって、まだ拡大かくだいが続つづいている。特とくに重症じゅうしょう化かリスクのある高齢こうれい者しゃに広ひろがると、重症じゅうしょう者しゃ、死亡しぼう者しゃ数すうの増加ぞうかにつながるため、高齢こうれい者しゃへの広ひろがりをいかに抑おさえていくかが重要じゅうようになる。高齢こうれい者しゃの感染かんせんは介護かいご福祉ふくし施設しせつで起おきているので、こうした施設しせつで高齢こうれい者しゃへのワクチンの追加ついか接種せっしゅを速すみやかに進すすめ、職員しょくいんには積極せっきょく的てきに検査けんさして、万が一まんがいち感染かんせんした場合ばあいは早はやめの医療いりょうを提供ていきょうすることが大事だいじだ。緊急きんきゅう事態じたい宣言せんげんなどさらに強つよい措置そちをとるより、それぞれの場所ばしょに応おうじた対策たいさくを徹底てっていし、重症じゅうしょう者しゃ、死者ししゃを減へらしていくことが重要じゅうようだ」と話はなしていました。

また、感染かんせん力りょくがさらに高たかいと指摘してきされる「BA．2」と呼よばれる系統けいとうのオミクロン株かぶについては「国内こくないでは『BA．2』に置き換おきかわっているというデータはまだなく、置おき換がわりが進すすんでいる状況じょうきょうではないという認識にんしきだ。会合かいごうでは今いまの感染かんせんのピークが近ちかづきつつあるかもしれないという議論ぎろんがあったが『BA．2』に置き換おきかわると、再ふたたび感染かんせん者しゃ数すうが増加ぞうかするおそれもあるため、監視かんしを行おこなうとともに感染かんせん状況じょうきょうの推移すいいを見みていく必要ひつようがある」と話はなしていました。

後藤ごとう厚あつし労相ろうしょう “東京とうきょう・大阪おおさかの1000床しょう増設ぞうせつ確実かくじつに人材じんざい確保かくほ”

後藤ごとう厚生こうせい労働ろうどう大臣だいじんは厚生こうせい労働ろうどう省しょうの専門せんもん家か会合かいごうで「岸田きしだ総理そうり大臣だいじんと東京とうきょう都と知事ちじ・大阪おおさか府知事ふちじが会談かいだんし、国くにと東京とうきょう都と・大阪おおさか府ふが協力きょうりょくし、相互そうごに補完ほかんし合あって臨時りんじの医療いりょう施設しせつを合計ごうけい1000床しょう、共同きょうどうで増設ぞうせつすることにした」と述のべました。

そのうえで「東京とうきょう都と・大阪おおさか府ふが宿泊しゅくはく療養りょうよう施設しせつを転換てんかんすることなどにより設置せっち・運営うんえいを担当たんとうし、最大さいだいの課題かだいである人材じんざい確保かくほについては国くにが全面ぜんめん的てきに支援しえんし、全国ぜんこくの公的こうてき・公立こうりつ病院びょういんなどから看護かんご師し派遣はけんを調整ちょうせいする」と述のべ、確実かくじつに人材じんざいを確保かくほするため、公立こうりつの病院びょういんなどに対にたいし、法律ほうりつに基もとづいて看護かんご師しなどの派遣はけんを要求ようきゅうする考かんがえを明あきらかにしました。

1週間しゅうかんの新規しんき感染かんせん者しゃ数すう減少げんしょうの地域ちいきあるもほとんどは拡大かくだい続つづく

厚生こうせい労働ろうどう省しょうの専門せんもん家か会合かいごうで示しめされた資料しりょうによりますと、8日にちまでの1週間しゅうかんの新規しんき感染かんせん者しゃ数すうは、全国ぜんこくでは前まえの週しゅうと比くらべて1.19倍ばいと増加ぞうかのペースは下さがり、減少げんしょうしている地域ちいきがある一方いっぽう、ほとんどの地域ちいきではまだ拡大かくだいが続つづいています。

まん延まんえん防止ぼうし等とう重点じゅうてん措置そちが適用てきようされている地域ちいきのうち、